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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.07.18 23:24
更新日: 2023.07.18 23:41

TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

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国内レース他 | TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

TKRI

ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第3戦 SUGOスーパー耐久3時間レース

2023年7月8日(金)〜7月9日(日)
スポーツランドSUGO(宮城県)
入場者数:
7月8日 2,700人
TKRI7月9日 4,100人

ついに勝った!
速さと総合力で初の総合優勝を果たす

FREE PRACTICE
 3月に鈴鹿サーキットで行われた開幕戦から4ヶ月近く。TKRIにとっての参戦2戦目となるスーパー耐久シリーズ第3戦SUGOを迎えた。例年同様第2戦はスキップしていたが、その間にシリーズは非常に多くの動きがあった。第1戦の後、シリーズのワンメイクタイヤがブリヂストンに変更されており、特性も変化。チームは第2戦には参加しなかったが、第3戦を前に一度使用しておくべく、もてぎ等でテストを行い第3戦のレースウイークに臨んだ。

 迎えた第3戦の舞台であるスポーツランドSUGOは、TKRIにとってもST-Zクラスでの初優勝を飾るなど思い出深いコース。DAISUKE、そして第2戦は別チームで戦い、ひさびさに集結した元嶋佑弥と中山友貴のふたりは、酷暑のなかで迎えた7月6日(木)の特別スポーツ走行から、和気あいあいの雰囲気のなかでセットアップを進めていった。

 走行2日目となる7月7日(金)も暑さのなかで2回の専有走行が行われたが、TKRI 松永建設 AMG GT3は午前は元嶋からDAISUKE、さらに中山へと交代。午後は元嶋とDAISUKEがドライブしつつ、予選に向けた作業を進めた。結果的には午前は2番手、午後は3番手と悪くない調子だが、ライバルたちも速い。またブリヂストンタイヤの使い方はまだチームとしても学んでいる最中で、すべてを理解しているわけではなかった。

QUALIFY
 7月8日(土)の予選日は、事前の天気予報どおり午前のフリー走行は雨のためウエットコンディションとなったが、昼ごろから天気予報が好転。午後1時45分から行われた公式予選を前に少しずつ雨が止み、ウエットパッチが残るもののコンディションはドライとなった。ただ、グループXの予選が行われる頃から雨がパラパラと降り、DAISUKEがアタックしたAドライバー予選は難しいコンディションとなった。DAISUKEは#14 AMG GT3についていくかたちでどんどんタイムを上げていったが、1分23秒729で4番手という結果となる。

 続くBドライバー予選でもコンディションは不安定で、元嶋の速さが発揮しきれない。「悔しいです」と元嶋が振り返るように、結果は3番手。合算でTKRI 松永建設 AMG GT3は4番手からスタートすることになった。中山も3番手につけ、予選を締めくくった。

TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート
TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

RACE
 4番手からのスタートと、チームがもつスピードを考えるとやや悔しい結果となった予選日から一夜明け、スーパー耐久第3戦は決勝日となる7月9日(日)を迎えた。午前に行われたグループ2の決勝レースの後、SUGOは晴れ間が広がり厳しい暑さとなったが、午後1時55分からのグループ1のフォーメーションラップ開始前から、雲が広がった。

 TKRI 松永建設 AMG GT3のスタートドライバーを務めたのは元嶋。得意のダッシュを決める作戦ではあるが、ライバルも5台中4台がプロを揃えた。オープニングラップから激しい攻防が展開されるなか、元嶋は1コーナーで3番手に浮上すると、SPコーナーでアグレッシブなオーバーテイクを披露。一気に1周目でトップに立つことに成功する。

 ただ、フォーメーションラップ開始時から舞いはじめた雨が、5周を過ぎるころになると少しずつ強さを増してしまう。コース上はオイル旗が提示されたが、元嶋はしっかりとマシンをコントロール。その後もしばしば雨が舞う状況があったが、元嶋は前日の悔しさを晴らすかのようにギャップを広げ始めていった。

 元嶋は54周という長いスティントを走り切り、大きなマージンを築いてピットインを行った。これまでであれば中山にステアリングを託すタイミングだが、今回はDAISUKEが第2スティントを担当することになった。この時点でライバルもAドライバーが乗車しており、DAISUKEにとっては真っ向勝負。元嶋が築いたマージンをいかに守るかにかかったが、DAISUKEは期待に応え、好タイムを刻んでいく。マージンをしっかりと守り続ける素晴らしい走りを続けていった。

 しかし、スタートから1時間50分が経とうかというタイミングで、馬の背コーナーでST-Z車両がコースアウトを喫してしまった。この車両回収のためにフルコースイエローが導入される。FCYならば良かったが、その後回収に時間がかかるとしてセーフティカーランに切り替えられてしまった。これで元嶋が築き、DAISUKEが守ってきたマージンが削られることになってしまった。

 とはいえ、DAISUKEがこなさなければならない時間はまだ終わらない。レースは77周目、残り1時間01分というタイミングでリスタートを迎えたが、先頭からリスタートに臨んだDAISUKEは、その時点で2番手につけていた#1 GT-Rに対してスパートをかけ、その差を広げることに成功した。

 DAISUKEは91周まで走り、最後のスティントを中山友貴に託す。セーフティカーランによりマージンは削られてしまったが、ピット作業を早く終わらせれば、トップを争う#1 GT-Rを先行することができる。ただここでやや時間がかかり、#1 GT-Rが先行。コースに戻った中山はチーム全員の思いを乗せ追い上げを始めたが、ここでなんと#1 GT-Rにピット作業違反のペナルティが!

 これでトップに立った中山は、攻めたレースを走り切り、最終コーナーの急勾配を駆け上がり感動のトップチェッカーを受けた。

 TKRIとして2020年にスーパー耐久に挑戦開始してから4年。奇しくもその初戦はこのSUGOだった。そしてついに今、チームは思い出の地でスーパー耐久の頂点に立ってみせた。

TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート
TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート

TKRI 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート
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DRIVER’S VOICE
DAISUKE

昨年からずっと勝てそうで勝てないレースが続いていたので、やっと勝てた! という気分です。自分の実力からするとまだまだでしたが、メンバー、チームメイトの実力を含めて考えると、総合力は本当に高いチームですから。スーパー耐久はこうしてチームで戦う感じがやっぱり良いですよね。そういう力を示して勝つことができたので、本当に格別です。ST-Zでも優勝できましたし、ここは相性が良いんでしょうね。この週末も走り出しはタイヤのことも分からずどうしようかと思いましたが、やはり総合力ですね。次戦も元嶋選手の地元ですし、また勝ちを目指したいです。

元嶋 佑弥  YUYA MOTOJIMA
2021年にST-Zで優勝したことはありましたが、ST-Xに上がってからレベルが高いライバルのなかで、DAISUKE選手と中山選手と3人でいろんなことをトライしながら戦ってきたので、こうしてようやく結果に結びついたことがすごく嬉しいです。今回は特別なラッキーがあったわけでもないですし、3人のドライバーの速さ、クルマの速さ、そしてチームの総合力で勝つことができたので、良いレースだったと思いますね。次戦もクルマの相性は良いと思いますし、今回の結果でチャンピオンシップも良いところにつけられたようなので、しっかり戦い、また優勝したいですね。

中山 友貴  YUUKI NAKAYAMA
やりましたね! これでちゃんと美酒に酔うことができます。今度こそと思いながら何度も戦ってきてなかなか優勝を掴むことができませんでしたが、今回もセーフティカーが入りリードがリセットされたので、『またか』と思いましたね。相手がGT-Rだったので抜くのは大変だと思っていましたが、最後は相手のペナルティもありトップに立つことができました。終盤は一気に楽になったのですが、その時間がいちばん長かったです(苦笑)。チームとしての初の総合優勝でしたので、最終コーナーを立ち上がってチェッカーが見えた時には本当に最高の気分でしたね。

河野 高男 監督  TAKAO KOHNO
決勝についてはペースはありましたし、DAISUKE選手も乗れていたので、勝てるかもしれないとは思っていました。元嶋選手のスタートがとにかく最高でしたね。セーフティカーがなければ楽勝だったかもしれません。最後のピットでも少し時間がかかりましたが、1号車にペナルティが出ることも分かっていましたから。とにかく今回はドライバー3人が本当に頑張ってくれました。勝てるときはこういうものなんですよね。このチームのベースの力はあると思っていましたし、あとはいかにまとめるかでした。今季まだ勝てると思っていますし、そのくらいの勢いで頑張っていきたいですね。


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