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投稿日: 2023.08.05 09:00
更新日: 2023.08.10 15:27

iCraft 2023スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート


国内レース他 | iCraft 2023スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート

ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第4戦 『スーパー耐久レース in オートポリス』
2023年7月29〜30日 オートポリス(大分県)
予選(土):晴れ/ドライ 入場者数:2700人
決勝(日):晴れ/ドライ 入場者数:4200人

OHLINS Roadster NATS(マツダロードスターND5RC)
金井亮忠/山野哲也/野島俊哉

緻密な戦略組み立てでライバルを圧倒、2連勝でST-5ランキング首位浮上!

 今季初優勝を飾ったSUGO大会から3週間。#72 OHLINS Roadster NATSのメンバーは、今季第4戦の舞台となる大分県のオートポリスにやってきた。標高800mの高地にあるサーキットで最大高低差が52mある起伏に富んだコースであることが特徴だ。

公式予選

 前回優勝を飾った72号車はウエイトハンデが15kg増え、合計30kgを積んでレースウイークに臨んだ。その状況を考慮し、予選で前に出るよりも決勝で確実に優勝を狙っていく作戦で練習走行を進めていったが、土曜日のフリー走行では2番手タイムを記録するなど上位につける走りを披露した。

 今回も金井がAドライバーを担当。レースウイークに入ってタイヤが冷えている状態で乗ることが少なかったこともあり、序盤のセクター1では攻めきれなかった部分はあったものの後半でしっかりとカバーし、2分15秒566のベストタイムを記録。ST-5クラスの2番手につけた。

 続くBドライバー予選では山野が担当。ライバルのロードスター2 台が2分14秒台で先行するが、山野は現状をしっかり把握して堅実なアタックを披露し、2分15秒133をマークした。これでふたり揃っての総合結果ではST-5クラス2番手となり、決勝レースで優勝を狙えるポジションを獲得した。

金井亮忠

「今週は冷えたタイヤで走行する機会がなくて、計測周の1コーナーでは攻められずに終わってしまいました。クラス2番手で終えられたことはポジティブに捉えています。今週末は3人とも良いアベレージで走れて安定しています。チームのピット作業もレベルアップしています。その総合力で、優勝を勝ち取りにいきたいです」

山野哲也

「予選の順位よりも大事なのは決勝。ここオートポリスの決勝でライバルにどうやって差をつけるか。ライバルは17号車。車両特性が違うことで、異なる戦略をとってくるだろう。まったく読めないレースになると思う。富士24時間の時のように我々がベストだと思うレースを意識して臨みたい。シリーズを考えるとこのオートポリスで優勝をしないチャンピオンは獲得できない。勝つための最善の策を講じていきたい」

決勝

 今回はST-1クラスとST-4クラスを除く全クラス混走で争われた5 時間耐久レース。途中に3度のドライバー交代を伴うピットストップが義務付けられている。これまでのレースは金井や野島がレース前半を担当し、最後に山野が締めくくるという戦略をとっていたが、今回は重いウエイトハンデを背負いながらもライバルに勝つために戦略を熟慮。その結果、山野をスタートと最終スティントで起用し、中盤に金井と野島がそれぞれの役割をこなしていくという戦略でいくことを決めた。

 朝方に降った雨の影響で路面には一部濡れた箇所が残っていたが、各車ともドライタイヤを履いて5時間のレースがスタート。72号車に乗り込んだ山野は、1周目からライバルと白熱した接近戦を披露した。1周目は3番手に落ちるも、2周目の3コーナーでは88号車と65号車のロードスター2台を追い抜きトップに浮上。その後も激しいバトルを続けるも、山野はしっかりとトップを守っていった。

2023スーパー耐久第4戦オートポリス OHLINS Roadster NATSを先頭とするST-5クラスのトップ争い
2023スーパー耐久第4戦オートポリス OHLINS Roadster NATSを先頭とするST-5クラスのトップ争い

 その一方で、ポイントランキングを争う17号車マツダ・デミオはエンジン交換を行ったため20秒ストップのペナルティを受け、ポジションを下げた。72号車と65号車のトップ争いは10周を過ぎても続いていたが、開始30分を迎えるところ山野から無線が入る。ロングスティントに向けてタイヤセーブに入ると言う。その後65号車にトップを譲りしばらく追走モードとなった。冷静に周回を重ねた山野は再び差を詰めていき、開始から1時間20分が経過した35周目に、見事にトップを奪い返した。

 その後、65号車が38周目にピットインしたのに対し72号車は45周目まで走行。1回目のピットストップでタイヤ4本交換と給油を行い、金井がマシンに乗り込んだ。一方の65号車は1回目のストップが給油のみだったためトップに返り咲いたのだが、72号車は自分たちのやるべきことを淡々と遂行。燃費とタイヤを意識した走行で周回を重ねていった。

 5時間レースでは3回のピット作業だけでは足りないため、金井のスティントで一度給油のみのピットインを敢行。全車が2回目のピットを終えた時点で2番手以下に大きな差をつけてトップに躍り出ることとなった。スタートから2時間20分が経過した86周目に2度目のピットインを行い、ここでは給油と左タイヤ2本のみを交換する作戦に出た。またドライバー交代も行われ、野島がマシンに乗り込んだ。金井のスティント同様に着実にラップを刻んでいき、ライバルを全く寄せ付けない走りを披露。2番手以下との差は1分を超えた。

 チェッカーまでの残り50分というところで最後のピットストップを行い、山野が乗り込んだ。今度は右タイヤ2本のみを交換し、最終スティントに向かった。エンジン回転をセーブする安定した走りを披露。レースを通して何度かFCYが導入されたが、72号車は最後までトラブルやアクシデントなく走り切り128周でチェッカーフラッグを受けた。これでSUGO大会から2連勝を飾り、ST-5クラスのランキングでもトップに浮上。チームの念願であるシリーズチャンピオンに、また一歩近づいた。

金井亮忠

「完璧な勝利でした。こんなに後続を引き離して勝てるとは思っていませんでした。僕はAドライバーで75分という最低乗車時間の縛りもあったので、僕のところでスプラッシュを行うことになりました。レース中にSCなどが入ることも想定して柔軟に動けるように、久しぶりにスタートではなく第2スティントを担当しました。この決勝に向けて作戦会議も念入りにやって、どんな状況でも対応できるようにシミュレーションして臨みました。それが結果に現れて良かったです」

山野哲也

「今日のレースは完璧だった。30kgのウエイトを積んだなかでの優勝は格別だ。後続との時間差を考慮し、1回目のピットストップでタイヤ4本交換を行うことを決断。その結果、金井選手が75 分を走り切って、野島選手の時に左2本のみを交換した。ラストは右2本という初めてタイヤ交換サイクルに挑戦した。ドライバーとチームが情報交換しながら、その時々にできる最良な方法を選んだ。結果としてベストな戦略だった。ランキングトップにはなったが、ウエイトが増加することから、これからさらに厳しくなると思う。ライバルもさらにレベルアップしてくるだろう。残り2戦、我々ができることを精一杯やり切りたい」

野島俊哉

「チームの当初の作戦どおりに進めることができました。タイヤ的には苦しい部分もありましたけど、そこはドライバー3人でカバーしあえば大丈夫だろうと話し合いながら走ることができました。タイヤのマネジメントや燃費も含め、みんな高いレベルでまとめられたのが勝因です。何と言っても、学生たちの頑張りがすごくて、ピットワークも完璧でした。ポイントランキングでトップになりましたが、17号車もペナルティがあったなかで2位に来ているので、楽観視はまだ出来ません。次の岡山も頑張りたいと思います!」

猪爪俊之監督

「完璧なレースでした。SUGO、APと連勝できて、ポイントも逆転できました。いつもは金井がスタートして野島で繋ぎ、山野がゴールを担当するというのがパターンだが、今回は相手に先行されると良くないと思い、あえてスタートを山野に変更、序盤から勝負を仕掛けました。今回も学生たちのピットワークが素晴らしく、ポイントランキングでトップになりましたが、チャンピオンを取るには次戦の岡山大会がとても大事な1戦になります。 少し時間が空くので、この2連戦のダメージを徹底的にチェックして岡山の準備したいと思います」

2023スーパー耐久第4戦オートポリス ST-5クラスを制したOHLINS Roadster NATS
2023スーパー耐久第4戦オートポリス ST-5クラスを制したOHLINS Roadster NATS


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