更新日: 2023.08.22 15:48
【読者参戦記】2023エコカーカップ夏の陣。大混戦の富士スピードウェイで『エコドライブ』に挑戦
8月19日、静岡県の富士スピードウェイで開催された『エコカーカップ 2023』の『Enjoy60(エンジョイ60)』クラスに、3車分のエントリー枠をご用意いただきました。事前にご応募いただいた読者さまがご自身のお車でエントリーし、無事レースを完走いたしました。今回は、オートスポーツweb読者レポータ―として出走した3チームの模様を『読者参戦記』というかたちでお届けいたします。
今回参戦した『エコカーカップ』は、ハイブリッド車や低燃費車の最新テクノロジーを最大限に活用し、『速く』『安全に』『低燃費で』走行し、総合力を競う参加型レース。なかでもエンジョイ60クラスは、“十分安全に走行できるであろうラップタイム”として4分45秒の基準タイムが設定され、初心者やサーキット未経験者でも気楽に参加できる1時間耐久レースです。
多岐にわたる参戦車種は細かくクラスが分けられており、今回オートスポーツwebチームからはG-1クラスにチーム『すずきわーくす』のスズキ ジムニー、G-3クラスに『チームりんりん』のトヨタ 86、『小原笑店レーシング』のHV-2クラスにマツダ アクセラハイブリッドで出走いたしました。ちなみに私、新米編集部員のヤマウラも『チームりんりん』さまから一緒に参戦させていただきました。
さて、迎えたエコカーカップの朝は早く、5時45分開放の東ゲートには長蛇の列ができております。
そして参加受付を済ませると、今大会に協賛している企業のステッカーの配布があります。今回は当社も協賛させていただいているので、参加した全車にはこちらの『autosport web』ステッカーを貼付していただきました。
ステッカーとゼッケンの貼り付けを行い、車検を済ませるといよいよ20分間の練習走行へ。クルマにはステアリングを操作するドライバー1名と、安全確認やタイム計測を行ってドライバーを補助するパッセンジャー1名が同乗します。
まずは基準タイムである4分45秒の走行ペースを確認。走行を終えたみなさんは、コーナーの数十メートル手前でアクセルを閉じ、なるべくブレーキを踏まずに旋回速度をコントロールするという燃費走法に苦戦し、「エコドライブの奥深さを体感した」と口をそろえておりました。
アクセラハイブリッドをドライブする松浦さんは「作戦によってそれぞれのクルマ速度域が結構違うため、思っていたよりも接触の危険性は高く、レースならではのドキドキ感が得られた。正直、やばいのに手を出したと思った」と早くもエコカーカップならではの難しさを体感された模様です。
さらに、みなさんがコメントしていたのは「エアコンを点けるかどうか」。真夏のレースということもあり快適さを取るか、それとも燃費を優先するのか……。そんな葛藤を抱きながら、2度のピットイン義務をいかに消化するかなど決勝の作戦を細かく練り、いよいよスタートへ向けてグリッドへ出発です。
迎えた60分の決勝レーススタート。くじ引きで決まったグリッド順は各クラスが入りまじる状況ですが、それぞれが目指すペースは同じ基準タイムである4分45秒のため、問題はなし。各々が異なる作戦で『エコドライブ』に集中していきます。
アクセラハイブリッドで参戦する『小原笑店レーシング』は1周目でピットインを敢行し、混戦を避けて自分のペースを確保する作戦へ。しかし、ピットインですでに時間を要しているはずのアウトラップでもエコドライブに徹してしまうという、痛恨のペース配分ミスを冒してしまいました。
レースは中盤へと進み、コース上はどのコーナーも十人十色のペースで走るクルマであふれかえる大混戦状態。『チームりんりん』から参加させて頂いた私も、スタートの撮影を終えて急いでピットへと戻り、いよいよ自分の担当スティントへ。
ペース配分的にプッシュの許されるアウトラップでは、エコドライブ中の他車をどんどんオーバーテイクしていきます。気分はスーパーGTでGT300クラスを交わしていくGT500クラスのドライバーといった感じでしょうか。(初トヨタ 86は『なんていいクルマなんだ』と驚愕の乗りやすさでした。)
レース後半には雲も広がりはじめ、雷鳴の轟く“富士ウェザー”も深まりだしたなか、60分間の決勝レースを走り切り無事にチェッカーフラッグを受けることができました。走行を終えたクルマは、ホームストレートのサイドウォールの開口部からすぐにピットロードへ向かって運営の検査員さんに燃費計のチェックを受け、エンジョイ60クラスは戦いの幕を閉じました。
無事に完走を果たしたオートスポーツweb枠参戦の各チームは、『エコカーカップ 2023』をどのように楽しんだのでしょうか?
●チームりんりん りんりんさん(トヨタ 86)G-3クラス5位
「今回初めてエコカーカップに参戦しました。富士スピードウェイは『ママチャリ日本GP』や走行会などで数回ほどドライブしたことがありましたが、今回は『エコドライブ』ということで、燃費を意識した走行を心がけました。競技自体は、TGRコーナーからアドバンコーナーまで気持ちよく走行できてしまうため、最終コーナー立ち上がりからホームストレート上でアクセルを抜いてターゲットタイムを上回らないようにすることも多々ありました。次回リベンジすることがあったら全体的にもっと上手い走行を心がけ、challenge180にも出場してみたいと思います」
●すずきわーくす 水下さん(スズキ ジムニ―)G-1クラス4位
「縁あって、ジムニーというサーキットには違和感満載の車で参戦させていただきました。大好きな名古屋のネットラジオ局HeartFMさんのステッカーを貼った愛用ヘルメットで参加した60分間のレースは、とにかく楽しかったです! エンジョイ60では、安全に周回することができる基準タイムが設定されるので、速さはあまり気にせずに安心して走行することができました。ただ、ライン取りや各操作の精度はサーキットの全開走行と同じように要求されると感じ、ドラテクを見直す良い機会にもなりました」
●小原笑店レーシング 松浦さん(マツダ アクセラハイブリッド)HV-2クラス2位
「以前から興味があったエコカーカップ。オートスポーツwebで募集があったのでダメもとで応募したところ見事当選! 東北マツダ南吉成さんと相談し、MSC(マツダセーフティチェック)と以前効果のあったクーラント(トムス製)交換&冷却水経路のクエン酸洗浄を実施して臨みました。エアコンOFFで燃費だけは気を使った結果、まさかの0.2ポイント差でクラス優勝までわずかに届かず……。見た目の順位ではまったくわからず奥が深い楽しいレースでした。エコドライブがつまらないと思ってる方に是非参戦してほしいです。終わってみるとかなり悔しい! 次回はクラス優勝めざします!」
50台以上のクルマが参戦し、ディーラーチームや某タクシー会社、サーキットが初めての親子や友達チームなど、様々な雰囲気のチームがイベントを楽しんでいた『エコカーカップ』。実際に走行してみても、ゆっくり走ってペースをコントロールする必要から、サーキット走行にはつきものである『速く走れない』という悩みから解放されたことを感じ、サーキット初心者にとって一番優しいレースなのではないかと感じました。次回は2024年の2~3月あたりに開催される予定とのことなので、興味のある方はぜひ参戦してみてはいかがでしょうか。