更新日: 2018.03.14 20:04
【F1新車分析】ルノーRS18:前年型からさらにスリム化。まずは第2集団の先頭へ
(6)ブローディフューザー、控えめに復活?
エキゾーストは5度以上の傾斜を付けてはならないと規定されている。ルノーはその許容範囲を、最大限利用したと思われる。そしてウェストゲートの2本の細いパイプも、エキゾーストの横ではなく下に位置している。
極力上に向いたエキゾーストから放出された高熱の排ガスは、リヤウィングに噴き付けられる。メインプレート下部に断熱材が張られているのは、そのためだ。これは言うまでもなく、今季禁止されたモンキープレートの代替案であろう。ただし面白いのは、去年のルノーはモンキープレートを付けていなかったことだ。
(7)段階的なパワーアップ
パワーユニットに関してルノーは、まずは信頼性重視の方針だ。そしてシーズン中に投入する2基目、3基目で、本格的にパフォーマンスを上げて行く計画を掲げている。昨年は度重なるトラブルに苦しんだだけに、開幕戦までにベンチで少なくとも7万km回すことを目標としている。
パワーユニットのコンセプトは、昨年大きく変えたものを踏襲している。変更点は大きく3つあった。まずERSシステムの搭載位置を全面的に見直し、重心低下と重量配分を向上させたことだ。そして二つ目はラジエターとインタークーラーのサイズを、小さくしたこと。この変更は、軽量化とドラッグ軽減に大きく寄与している。
そして3つ目が、熱エネルギーの温度を上げたことだ。2016年までのルノー製パワーユニットのERSは、内燃機関が排出するガスの温度をいったん下げて回生エネルギーとして利用していた。しかしより効率良くエネルギーを取り出すため、温度をほぼ平準化させた。
現状でのRS18は、車体面ではレッドブルやマクラーレンに、パワーユニットではメルセデスやフェラーリに劣っていることを、ルノーは自覚している。そこでまずは信頼性を確立し、一歩一歩着実に戦闘力を上げて行くことを決断したようだ。