今宮純の初日インプレッション:“奇跡”への回廊、跳ね馬のスタートに刮目せよ
フェラーリは聖地に2016年パワーユニットの最終・決戦バージョンを投入。新CTOマッティア・ビノットさんの決断だ。金曜インプレッションとしてはドライバビリティがフレンドリーで、ふたりろもアクセルオン時にブレる動きが、かなり減った。フリー走行2回目に合計60周のロングラン、燃費改善とデプロイ改良も確認できたのではないか(最後の3トークン使用は、そこを狙ったと見てとれる)。ふたりのコメントも控えめ、決勝ペースにアップデート効果を実感できたのではないか。
スパではスタート・ダッシュが良かったフェラーリ。ポールポジションでなくとも2列目から決めれば、1コーナーまでは600m以上、前に出たら抑えられるだけの直線スピードは確認できている。金曜時点で言うのは早いが、モンツァのスタートは“奇跡”への回廊だ。
最後に今週モンツァ「話題の人」について。木曜に引退発表したフェリペ・マッサ、最近切れ味が薄れていたのは確かだった(今年、彼に対して失礼なコメントをしたかもしれない)。マッサがウイリアムズに来てから最初のいい仕事はピットストップの改善だった。スタッフの前で見せ、バルテリ・ボッタスも学んだ。今年の彼らがピット最速賞を連続受賞しているのはマッサのおかげと言っていい。「ハッピー・リタイアメント」を祈ります。
叩かれているマックス・フェルスタッペンについてシンプルな私見を。18歳は反抗期、まわりから言われれば言われるほど逆らいたくなる年頃だ。騒動の原点は、そこではないか。父親はウザったいし、同じ年輩キミ・ライコネンは、よけいにそうだろう。諭すのは若いセバスチャン・ベッテルが適任だ。1980年代にはGPDA会合で重鎮が言い含め、90年代にはセナがエディ・アーバインを殴り、ミハエル・シューマッハーにも説教した。いまは、そういう人物がいない。ルール云々を言っても反抗期だから逆らうばかり……。
オランダのハイネケン・ビールが初の冠スポンサー、緑に染まった伝統のイタリアGP。2000年は16万人以上の満員、今年はそれ以上か。メルセデス対フェラーリ対レッドブル、そこにマクラーレン・ホンダが上がってきたら言うことなし。今年の後半戦は1戦ごとに、コンペティション濃度が高まってきている。