【小松礼雄のF1本音コラム】タイヤに苦しんだメキシコGP、ロマン失格問題で痛感したF1チームに必要な政治力
僕らのクルマはもともと低速コーナーがあまり良くないのですが、それに加えて標高2200mの高地だと空気が薄いので、モナコ仕様の空力パッケージで走ってもモンツァ仕様(低ダウンフォースで走るサーキット)よりもダウンフォースがかからないのです。
もちろん、空気が薄いということは冷却も厳しくなるので、さらにダウンフォースを失うことになります。そのレベルのダウンフォースで苦手な低速コーナーの続くメキシコでタイヤを滑らせずに走ることができませんでした。
ルノーの(ニコ)ヒュルケンベルグやザウバーのルクレールは50周以上走ったスーパーソフトでベストタイムを記録していましたが、僕らのタイヤの使い方ではとても同じことはできませんでした。2019年に向けて改善しなければいけない点が明らかに示された週末でした。
残りあと2戦で30点差ですが、最後まで選手権4位に向けて戦うことは諦めません。ブラジルGPはコースレイアウト的にも勝負できるレースだと思うので、目標はトップ3チームに次ぐポジションである7、8位でフィニッシュすることです。
とにかくその位置でダブル入賞を果たすことが自分たちにできるすべてです。もちろん、それだけではルノーに届きませんが、レースですから何が起きるか判りません。今年の集大成になる様なレースをしたいと思います。
最後に、11月1日にFIA国際控訴裁判所において行われた審問についても少し触れたいと思います。イタリアGPで6位フィニッシュを果たしたロマンがフロアの規定違反を問われて失格裁定となり、それを不服としたハースが控訴したために今回の審問が開かれました。審問には裁く側の弁護士が5人、そしてFIA、ハース、第三者の立場としてルノーが出席しました。
僕らの主張した点は、レギュレーションが解釈の余地を残すものだったため、モンツァで走らせたクルマを違法とすることができないということです。
審問では弁護士を通してそれぞれの立場で主張し合ったのですが、うちの弁護士は本当によくやってくれました。細かい技術的なところを正確に理解し、1時間半以上の間、素晴らしく的確に筋道を立てて弁論を展開しました。個人的には法廷のようなところに行くのはこれが初めてだったのですが、そこに行くまでの過程も含めてとても良い勉強になりました。
正直、審問に来る前は一度下されてしまった裁定をひっくり返すのは困難だと思っていました。しかしFIA側の弁護士が「もし、我々のルールに曖昧な点があるのであれば、ハースが勝つべきだ」と発言したのを聞いて、もしかしたら勝つチャンスがあるかも……とは思いました。
■判決で感じたハースのこれからの課題
■F1の世界でのチーム力
■F1で政治力が必要な理由
続きはF1速報WEBで掲載中