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投稿日: 2018.12.07 11:10

ホンダF1副TD本橋の2018年総括(1):トロロッソとのコミュニケーション改善のきっかけとなったアゼルバイジャンのミス


F1 | ホンダF1副TD本橋の2018年総括(1):トロロッソとのコミュニケーション改善のきっかけとなったアゼルバイジャンのミス

 本橋らの努力によってトロロッソ・ホンダは2018年シーズン開幕前のテストからオープンで密接な関係を築くことができ、第2戦バーレーンGPではホンダ復帰以降、最高位となる4位を獲得した。しかし、チームとのコミュニケーションにおいては、まだ課題が残っていた。それが露呈したのは第4戦アゼルバイジャンGPだった。

「エネマネ(エネルギーマネージメント)の設定に関してのコミュニケーションでミスがありました。エネマネの基本的な設定はラップタイムを最速にすることです」

「しかし、それは1台で走っている状況であって、前後にマシンがいるレースになると別のエネマネが必要になってきます。特にアゼルバイジャンはセクター2の市街地とセクター3の高速区間で使い方が予選とレースではまったく違います。その辺の詰めが甘かったのです」

「しかも、あのときはセーフティカー明けだったことも、わたしにとっては追い討ちをかける状況となってしまいました。セーフティカー明けのときはどうゆうエネマネにしておくべきか。要はバッテリー残量になるんですが、バッテリー残量をどの辺りにしておくと、次のリスタートのときに抜かれないのか、あるいは抜けるのか、という読みが甘かったわけです」

バクーでは、SC明けにチームとドライバーの間でコミュニケーションが足りていなかったという

「もちろん、それを行うにはホンダ側の設定も重要ですが、ドライバーの操作も大きく関係してきます。その辺のコミュニケーションがうまく取れてなかった」

「単純にバッテリー残量の数字的な問題だけじゃなくて、刻々と変わる状況においてホンダとトロロッソ、そしてドライバーの認識が一体となっていなかった。その点において、私たちは素直に反省し、チームやドライバーも理解してくれました」
 
 マクラーレンとの難しい3年間を過ごした直後ということもあり、トロロッソはホンダに対して、彼らの自尊心を傷つけることがないよう敬意を払って接してきた。しかしそれが逆に遠慮につながり、両者の『見落とし』につながったのが、アゼルバイジャンの失敗だった。

 ベストレースとワーストレースを1カ月の間に経験したトロロッソ・ホンダ。しかし、その経験が糧となり、やがて中盤戦で花を開かせることとなる。

■本橋正充ホンダF1副テクニカルディレクター:2018年総括(2)に続く


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