更新日: 2018.12.30 08:10
【F1座談会企画(2)ドライバー編】大きく動いた2019年のドライバーラインアップ。“次世代スーパースター候補”を探せ
──フェラーリへの昇格が決まったシャルル・ルクレールが高く評価されているようですが、彼の長所はどういったところでしょうか?
柴田「並の一流ドライバーって、良いクルマで速く走れるのが普通なんだけど、ルクレールにはやっぱり物語性がある。この人が走ると何か起きそうだな、何かやってくれるんじゃないか、とね。そこは(フェルナンド)アロンソのミナルディ時代、若い時に共通していると思う」
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──たしかに決勝レースになると、ルクレールは予選順位から確実にポジションを上げてくるイメージがありますね。
尾張「上位のドライバーの中で、予選順位と決勝順位に大きな差がなかったのはハミルトンやセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とボッタス。ただしボッタスは予選順位が平均5.1番手以上なので、平均2.8番手のハミルトンや平均3.9番手のベッテルよりも良くて当然。逆にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は予選平均順位がキミ・ライコネン(フェラーリ)より上なのに、レースでの平均順位はトップ3チームの中で唯一、ポジションアップしていたのだから、今年は速いだけでなく、安定感も備わってきたといえる」
──中団チームの中で、レースでポジションを上げていたドライバーは誰になるのですか?
尾張「セルジオ・ペレス(レーシングポイント・フォースインディア)、アロンソがそうだった。ルクレールとピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、そしてカルロス・サインツJr.(ルノー)も平均順位でプラス1以下だったので、レースでしぶとい走りをしていたといっていいね。レースでポジションを上げていたドライバーは、じつはほかにもブレンドン・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)ら5人がいるけど、予選平均順位が15番手以下のドライバーはレースで順位が上がって当然なので評価の対象外ということで」
柴田「予選一発が遅いドライバーは一流とは言えないよね」
尾張「年齢を考えると、ガスリーを昇格させるのは順当。リカルドはフェルスタッペンと比べると全然ダメだった。ペナルティでグリッドダウンはあったけれど、それは皆同じ。ただ、リカルドは運の悪さもあったけどね。その点でいうと、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)は評価が高くない。予選は良く見えるけれど、チームメイトのサインツJr.と比べると、実は負けている(サインツJr.の平均予選順位が10.4位だったのに対して、ヒュルケンベルグは12.0位)。2019年にチームメイトとダニエル・リカルドにやられてしまう可能性もあるけれど、逆に今まで良いクルマにしか乗ってこなかったリカルドがルノーへ行ってどうなのかというのもある。このふたりの比較も見てみたいよね」
柴田「ルノーが2018年限りでサインツJr.を放出したのはどうして? やっぱりヒュルケンベルグの方が評価が高かった?」
尾張「そうでしょうね、契約のこともあると思いますけど。ルノーはサインツJr.がマクラーレンに移籍することを前提に動いてましたから。というのも、もともとはオコンがルノーに来ることが決まっていたから、ルノーとしては、どのみちサインツJr.が抜けなければならなかった」
柴田「ヒュルケンベルグって評価が高いんだけど、これまで目立った実績がないんだよね」
尾張「それも含めての実力ですよ。ただ松崎淳さん(フォースインディアのタイヤエンジニア)が言うほど速くはないと思うし、レースで結果を出さないとやはり認められません」