投稿日: 2019.01.14 07:00
更新日: 2019.01.14 15:36
更新日: 2019.01.14 15:36
新代表ビノットにのしかかるタイトル獲得の重圧【F1コラム 今フェラーリに、何が起きているのか/後編】
翻訳・まとめ Kunio Shibata
しかしあのタイミングでの発表を、非難する声も出た。もはやナンバー2の役割を果たす必要はないとばかりにライコネンがポールポジションを獲得し、レースでもセバスチャン・ベッテルに抜く隙を与えなかったことで、勝利したルイス・ハミルトンがタイトル争いでいっそうの優位に立ったのだから。
さらにフェラーリは日本GPの予選で、天候を読み間違える致命的なミスを犯す。この時点でのアリバベーネとビノットの確執はいっそう深刻化しており、アリバベーネは公然とビノットの部下たちを非難した。
そんな状態のままシーズンは閉幕し、年が明けてすぐにフェラーリはアリバベーネの更迭とビノットの昇格を発表した。その決定はエルカン独自のものというより、マルキオンネが生前決めていた路線を踏襲したと見るべきであろう。一方でビノットは、「アリバベーネを切らないなら、私が出て行く」と上層部に迫り、実際にメルセデスと接触もしていた。
内部抗争を勝ち抜いてチーム代表に昇りつめたビノットだが、就任早々の彼を待っているのはタイトル獲得という重圧である。同時にビノットには、世界チャンピオンと将来のスター候補というふたりのドライバーの操縦も託される。
すでにアブダビでのテストから、ベッテルとルクレールはあからさまにライバル心をむき出しにしていた。両者の手綱を取りつつメルセデスと互角以上の戦いを繰り広げるには、高いマネージメント能力はもちろん、相当に強靭な精神力が必要であろう。
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