更新日: 2019.10.01 17:28
チームオーダーで混乱、後手の対応で掴みかけていた勝利を取りこぼしたフェラーリ【今宮純のF1ロシアGP分析】
すると首位ベッテルもペースがしだいにダウン(0.5秒以上)。序盤に逃げようとしたツケがまわり、26周目にピットへ(静止時間3.0秒)。ルクレールの後方となった彼だがパワーユニットにMGU—K(運動エネルギー回生システム)の異常データが確認された。
ピットまで戻れるか、直ちにストップさせるか――。緊急判断は27周目、「15コーナーで避難路に停止せよ」、ピットまであと100mでもそうせざるを得なかった、とマッティア・ビノット代表は語っている。ハイブリッドPUの高圧電流系トラブルの恐れがあり、ベッテルはガードレール奥まで行かずに止め、コクピットから飛び降りるほかなかった。コース脇に停車されたままなので15時01分にバーチャルセーフティカー(VSC)発動――。
待っていたとばかりにメルセデス軍団が動く。ここまでミディアムでステイアウトさせてきたのはVSCやSC導入チャンスをうかがっていたから。その絶好機をフェラーリからもらったのだ。
VSC中の28周目、首位ハミルトン(静止時間2.6秒)、2番手ボッタス(静止時間2.5秒)がダブルストップを実行。クルーメンバーたちは正確にソフトへの交換をこなした。ピットストップ後ハミルトンは首位を維持、ボッタスは3番手となった。こうなるとルクレールは“1対2”の終盤スプリントレースに。
さらに15時04分、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の事故によりSC導入だ。31周目、ミディアムを履いていたルクレールは2度目のピットインで同じメルセデス勢と同じソフトへ交換(静止時間2.5秒)、3番手に下がるが他に選択肢はない――。
SC導入が解除された32周目にリスタート。1番手ハミルトン~2番手ボッタス~3番手ルクレール、ここからいい仕事をしたのがボッタスである。35周目と39周目にはDRS圏内に接近されるが、しのいだ。そしてその後も1秒以上のギャップを固くに守りぬく。
ハミルトン護衛兵の役割を果たし、彼自身6度目の2位で“1-2”をまっとうしたボッタス。テニスの最強ダブルス・コンビのようにふるまった終盤の20ラップ、メルセデスペアの強さとチーム・オーガナイズの組織力を思い知った。いよいよ<コンストラクターズV6>へカウントダウン――。
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