更新日: 2019.10.10 21:54
【トロロッソF1山本尚貴】木曜前日に語った周囲の期待と感謝と重圧「限られた時間でどれだけマシンを自分のものにできるか」
明日の走行はTEAM MUGEN時代のチームメイト、ピエール・ガスリーに代わっての走行になることも、ポジティブな面が多いようだ。
「まさかTEAM MUGENで一緒に走っていたときに、2年後、鈴鹿でF1のマシンをシェアすることになるなんて、たぶん僕だけじゃなくて誰も思わないでしょうね。でも、考えてみればそこから何か、いろいろと始まっていたのかな」と、まずはガスリーとの縁を懐かしがる山本。
「彼のドライビングスタイルも分かっていますので、FP1の限られたラン数のなかで自分好みにセットアップするというよりは、今チームが持っているベースのセットアップでまずはF1を理解するということが一番だと思います。そこからセットアップをガチャガチャ変えることよりも、そのあとピエールが乗ることも考えないといけない。彼はどちらかというとアンダーステアなステアリングのクルマを好むので、そういうことも分かっているので、今のクルマの状況だと、ピエールはうまく走れそうだとか走れないとか、そういう方向性の確認はまったく知らないドライバーよりはできるかもしれないですね」と山本。
「チームが大切に作ってきたクルマなので、壊すわけにはいかないですけど、レーシングドライバーはリスクを背負いながらギリギリのところを攻めていかないといけない。自分が置かれている状況を考えれば、当然、クルマを壊すわけにはいかないけど、みなさまに求められていることもよく分かっている。僕も本当に思い出作りでF1を運転することだけだったら全然、普通に運転はできるんですけど、そのためにここに来ているわけではない」と、周囲の期待も痛いほど感じている山本。自身の具体的なプランも頭の中に描けている。
「90分という限られた時間でタイヤのセット数も決まっていますし、チームが作ってくれているプログラムもあるんですけど、リクエストさせてもらって、ちょっとでも自分がクルマを習熟できるようなワーク(メニュー)を作ってもらいました。時間がたくさんあって練習すれば速く走れるようになるドライバーはたくさんいると思うんですけど、ただ、そうも言っていられない。この限られた時間のなかでどれだけ習熟度が高くて、どれだけマシンを自分のものにできるのかということがドライバーとしてひとつ求められていると思っているので、それが明日、できるのかできないのかは自分の実力だと思います」
31歳のベテランドライバーとして、やるべきことは百も承知している山本尚貴。
「とは言っても、こんな機会、なかかなもらえるものではないので、みなさんに感謝しつつ思い切って楽しみたいなと思っています。想いはいろいろいっぱいあるんですけど、結果がすべてなので走りで応えたいと思います」
この初日の印象からはプレシャーよりも純粋にF1で走る喜びを感じてる様子が見られた山本尚貴。これまで国内では小細工とは無縁で、考え抜いて正攻法で突き進む姿が山本尚貴の走りだった。明日のF1初走行も、悔いのない山本尚貴らしい走りでF1関係者を唸らしてほしい。