更新日: 2020.04.01 11:21
F1 Topic:シーズン開幕の目処は立たず。それでも「1年延期」を宣言できない運営事情/レース再開への課題(1)
ところが、今シーズンのようにシーズンが開幕しない状態が続くと、支払いもその分遅れる。しかし、チームはスタッフへの給料を毎月支払わなければならない。それが1カ月や2カ月なら、まだ耐えられるだろうが、モナコGPが中止となって1カ月長くなって3か月もの間、チームは支出ばかりが増えるという経営的に厳しい状態が続く。
もしカナダGPが延期されれば、さらにその状態が延びることになり、そのころには小規模チームにとっては、債務超過に陥る可能性もある。
F1の最高責任者であるキャリーが「今シーズンはあきらめて、来シーズンに備えよう」と言えないのは、このためだ。人々の健康も大切だが、チームが破綻すれば、経済的に窮地に立つ人々を大量に発生させ、病気に感染するよりも悲惨な結果を招く恐れがあるからだ。
そうしたなか、10チーム中7チームがファクトリーを構えているイギリスでは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で財政的に打撃を受けている人を対象に、住宅ローンと家賃の支払いを3カ月猶予する救済策を講じられるという報道もなされている(イギリス政府は速やかに法案を可決させたい考えだが、まだ可決されてない)。
もし、これが可決されれば、チーム経営者は雇用者に対して、住宅ローン分の給与の支払いを猶予することができる。ただし、この法案によって救われる対象者は、適用期間が終了する2020年6月以降、感染拡大の影響を受ける前と同程度の収入を得られる見通しがある人となっている。
つまり、6月以降にF1が開幕され、チームがスポンサーから契約金を受け取り、スタッフに正規の給与を支払うことが条件となる。
6月のカナダGP、そして7月のオーストリアGPとイギリスGPがどうなるか。この決定は、F1のチーム経営者にとって、今後のチームの命運を賭けた重要なものとなるだろう。