更新日: 2021.07.08 14:29
【F1第9戦無線レビュー:予選】「ちょっと速すぎた?」ミディアムでのQ3進出を狙い、あえて速度を落としたラッセル
【Q2】
セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がミディアムタイヤを履いて、真っ先に出て行った。たった1台の走行だったが、平凡なタイムに終わる。
ペレス:トウが足りなかったね
トラフィックを嫌って単独で走ったのだろうが、他者のスリップストリームが使えないことを嘆いていた。担当エンジニアの判断に、ちょっと不平を言ったようにも見える。ちなみに先行車の後ろについて空気抵抗を減らして直線速度を上げる、いわゆるスリップストリームは、F1では主にtowという単語を使う。本来は、ロープなどで引っ張る動作を意味する。
![セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)](https://cdn-image.as-web.jp/2021/07/07163142/asimg_XPB_1096298_1200px_2260e5585d9dfea-660x440.jpg)
一方、ソフトで最初のアタックを終えたラッセルは、こんな奇妙な言葉を発した。
ラッセル:申し訳ない。ちょっと速すぎた?
アーウィン:いや、なんとかなるだろう
ウイリアムズ側の予選後の説明によれば、「ソフトタイヤのロングランペースはひどいことがわかっていたので、何としてもミディアムでQ3に進みたかった」とのこと。そのためソフトで自己ベストを出さないよう、ラッセルには「最終コーナーでスロットルを戻せ」と指示したとのことだ。
しかしドライバーたるもの、頭ではわかっていても、遅く走るのは決して簡単ではない。この時点でラッセルは総合9番手タイムで、下手をするとレーススタートは中古ソフトになってしまう。しかしその後ラッセルはミディアムに履き替えると、ソフトでの自己ベストをコンマ1秒更新し、見事にQ3進出を果たした。
ラッセル:話してくれ、話してくれってば
アーウィン:(笑い声を交えて)Q3に行ったよ
ラッセル:やったぜ、ボーイズ! 凄い! 正しい一発だった
Q2終盤、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)から怒りの無線が飛び込んできた。真っ先に最後のアタックに出て、かなりいいペースで自己ベストを縮めていく。しかし隊列の最後にいたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に最終コーナーで邪魔され、大きくタイムロス。14番手に終わった。
アロンソ:何てこった!XXX信じられない!
よほど汚い言葉を吐いたのだろう。Q3進出はほぼ確実の速さが合っただけに、アロンソの気持ちはわかる。ただし直後に言っていた「3、4番手も可能だった」は、ちょっと盛りすぎの感もある。
そして角田も、苦しみながらもQ3に進んだ。
角田:やったぞ、ありがとう。素晴らしいトラックポジションだった。みんな、愛してるよ!
I love you,guys!という表現に、角田の歓喜が伝わってくる。