更新日: 2016.12.16 16:52
ホンダF1密着総集編(1):“GP2エンジン”から1年、大幅に進化した16年パワーユニット
■GP2エンジンとはもう言わせない
ターボに関しては、2016年は第7戦カナダGPと第13戦ベルギーGPでトークンを使用してアップデートした。
「カナダGPのアップデートで、デプロイ量は15年から約2倍に増えました。それは、ドライバーからの『ロングラン中のエネルギーの回生量がこれまでより長くなった』というフィードバックでも確認しています。これでスペック的にはようやくライバル勢と肩を並べることができました」
さらにベルギーGPでのアップデートでデプロイに関しては、ライバルをリードした。
「ベルギーGPでのアップデートは、これまでよりも少ない排熱エネルギーで、これまでと同様の回生量を得られるようにターボを改良しました。この改良でライバルたちよりもオー・ルージュ後のストレートでのデプロイは長いとジェンソンも言っていましたから」
性能面での向上は、ICE(エンジン)でも行われた。スペック1で開幕戦に臨んだホンダがスペック2を投入したのは第10戦イギリスGPだった。アップデートしてきたきたのは、インテークシステム(吸気系)だった。さらに第13戦ベルギーGPでスペック3を投入。
バトンは「プラクティスモードからレースモードに変えたときの出力アップは大きい」と語り、長谷川総責任者も「ベルギーGPのアップデートだけで、コンマ1~2秒のゲインはあったと思う」と語っていた。
このように、ホンダが2016年に投入したパワーユニット「RA616H」は、1年前のRA615Hから大きな進化を遂げた。もちろん、それでもホンダのパワーユニットのポジションは、メルセデス、フェラーリ、ルノーに次ぐ4番目のメーカーであるから、やらなければならないことは山積している。しかし、屈辱の2015年を経験したホンダにとって、2016年の戦いでもっとも大切だったことはしっかりと前進することだった。
長谷川総責任者も「満足はしていませんが、進化を見せることができた」と評価していた。