更新日: 2022.04.10 11:31
F1第2戦金曜会見:ガスリー、前戦での出火によりPUとギヤボックスを全交換「再発しない保証はないが、できることはやった」
そして開幕戦では、メルセデスの苦戦が改めて確認された。ルイス・ハミルトンは3位表彰台こそ射止めたものの、フェラーリ、レッドブルに比べてメルセデスの戦闘力不足は否めない。彼らの直近の課題が、ポーパシング(激しい縦揺れ現象)への早急の対処だ。
──ポーパシングは、車高やタイヤ圧変更などで、ある程度補正できますよね。しかしその結果、どれほどパフォーマンスを低下させているのでしょう。
ハミルトン:正確な数字は教えてもらっていないけど、大きいことは確かだね。でもその種の妥協は、程度の差はあるけど誰にとっても同じだと思う。一方で僕らの前を走ってたマシンは、低速域のダウンフォースがすごかった。繰り返すけど、どこも多かれ少なかれポーパシングへの対処は必要だけど、それによって失うものはずいぶん違う。そして僕らの場合、それは決して小さくはない。
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ハミルトン、そしてダニエル・リカルド(マクラーレン)に対しては、サウジアラビアでF1を開催することについて、政治的な質問も飛んだ。
──ある人権保護団体は、サウジアラビアでこの2週間で97人が処刑されたことを発表し、年末までにその数は500人に達するだろうと予測しています。それを踏まえて、ここでレースをすることに抵抗はないのでしょうか?
リカルド:もちろん状況は知っているし、情報も得ている。でもここに来ることで、何か変化を起こしたり、ポジティブな影響を与えたりするチャンスもあると思うんだ。ここに来ないのとは対照的にね。F1は多くのことをやっている。今週末の現地スタッフの40%は女性だし、600人の恵まれない子供たち、孤児が今日サーキットに招待されている。僕らがここにいることでいい変化を生み出し、いい影響を与えることができるよう努力しているところだよ。それが今のところ、僕らにできるすべてだと思ってる。
ハミルトン:僕の立場は、昨年ここで話ししたことと変わっていない。僕が何を言っても、何かが変わることはないということだ。確かに心が揺さぶられるいくつもの事例がある。死刑囚の14歳の子から手紙が届いたと聞いてもいる。14歳なんて、自分が何のために生きているのかわからない年齢だ。ダニエルが言うように、僕らは努力する機会を与えられている。ここにいる間に、自分たちにできることを少しずつでも実行していくことが大切だと思う。最終的には、本当に変化をもたらすのは権力者たちの責任だけどね。でも僕らはまだ十分に見ていないし、もっと見る必要がある。
この会見を終えてまもなく、サーキットのすぐ近くにある石油備蓄施設が、ミサイル攻撃を受けて炎上した。サウジアラビアと交戦状態にある隣国イエメンの武装組織が、犯行声明を出したとのことだ。黒煙や炎が収まらないなか、F1は初日フリー走行を敢行した。このまま開催を続けるべきか、長時間の会議が行われ、公式には「満場一致で」開催続行が決まったという。
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