更新日: 2022.09.27 21:39
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第12回】速度で勝るライバル勢を追い抜いたミックと、またも疑問の残るレース運営
ミックの決勝レースについては評価していいと思っています。FP2でのハイフューエルランでは、ウチのクルマでは最高速が315km/hほどしか出ていなかったのに、アルファタウリやアルファロメオなど中団勢のチームは330km/h出ていたので、レースでは誰も抜けずに抜かれるだけだと思っていました。
ペースに苦しんでいたケビンを抜いたミックは安定して走っていて、後ろにいたバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にアンダーカットされないかどうかを心配していましたが、その後ふたりの差は4秒まで開きました。第2スティントでソフトを履くためにレース後半まで引っ張ることも問題なかったです。
さらにミックは、ソフトタイヤを履いてから最高速に差のあるランス・ストロール(アストンマーティン)をタイヤの差を活かして抜きました。その前にいたニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)はより直線で速かったので2周かかりましたがオーバーテイクに成功、次に角田裕毅(アルファタウリ)も抜きました。ソフトタイヤが上手く機能しており、ペースがあったのでこのままいけばピエール・ガスリー(アルファタウリ)に詰まっている数台、少なくともエステバン・オコン(アルピーヌ)のあたりまでは抜けると思っていました。他がハードで苦しんでいたところ、ミックはソフトで本当にいいペースで走ってくれました。
レース終盤、リカルドが止まったのでSCが出ました。この時ミックは12番手を走っていて、前のオコンと周冠宇(アルファロメオ)、ガスリーがハード、ニック・デ・フリース(ウイリアムズ)がミディアムタイヤだったので、この4台がリスタートで苦労するのが目に見えていました。残り周回を数を考えてもピットインすることはないでしょうし(ピットインした場合はミックの後ろになります)、ミックのタイヤは悪い状態ではなかったので、再スタートでオーバーテイク絶対にできると思ってレース再開を待っていたのですが、なんとSCが出たままレース終了となりました。
SCの運用については昨年の最終戦でも問題になりましたが、どうして今回もあのような形で終わったのか、レースコントロールが何をやっているのか不満が残ります。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)がピットインしたので、SCはジョージ・ラッセル(メルセデス)の前に入りましたが、SCは何故先頭のフェルスタッペンの前で入らなかったのか。SCの後ろにいたクルマを前に出さなかったのも、規則にあっていません。
リカルドのクルマの撤去にも時間がかかりました。フェルスタッペンがピットストレートに戻ってきた時点で残り5周あったのに、最後の1周でリスタートできないなんてありえないと思います。見ているファンの方々もかわいそうでしたね。F1は世界選手権です。国際的な大企業も凄いお金をかけて参戦しています。みんなそれ相応のレベルで戦っているんです。それがレースコントロールとかガバナンスがうまく機能していないせいでアマチュアの大会かと思うことがあります。みんな世界選手権レベルでやっていなければいけないのに、レースコントロールの人たちが世界選手権レベルかというと、決してそうじゃないと今回も感じました。ぜひ、早急に取り組み方を見直してもらいたいものです。