MotoGP現地トピックス:中上貴晶の後任にイデミツ・ホンダが長島哲太を起用か?
MotoGPの現地情報を二輪ライターの遠藤智氏がお届け。今回は第12戦イギリスGPのトピックス。イギリスの地で今季初優勝を飾った中上貴晶。その中上が所属するイデミツ・ホンダ・チーム・アジアは、来季は中上の後任として長島哲太の起用が濃厚に?
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後半戦に入って調子を取り戻しつつあるホルヘ・ロレンソ。その理由のひとつは、新型カウルの効果にあるが、チームメートのアンドレア・ドビジオーゾは、今大会スタンダードカウルを使用して優勝した。
高速サーキットのシルバーストーンでは、新型カウルは最高速にやや影響し、高速での切り返しポイントではハンドリングが重くなるのがデメリット。が、ロレンソは新型カウルで出場。ヤマハ時代から気に入ると使い続ける傾向があるロレンソだが、ドゥカティでもそれは変わらなかった。
今大会トップグループに加われなかったが、優勝したドビジオーゾと約3秒差の5位。今季のベストレースと自ら評価した。
予選は2番手だったが、フリー走行、予選と抜群の速さを見せたアレックス・マルケス。決勝はチームメートのフランコ・モルビデリとの一騎打ちとなったが、アドバンテージを感じさせる走りだった。
そして、レース中盤に前に出てモルビデリにリードを広げようとしたが10周目のヘアピンでフロントから転倒。この転倒を見たモルビデリはペースを落とし3位。チャンピオン争いをするトーマス・ルティの前でフィニッシュして、その差を30点とした。
すでに7勝を挙げているモルビデリにとって最優先課題はタイトル獲得。残り6戦、ルティの走りを見ながらの戦いとなりそうだ。
2年連続ポールポジションを逃し、決勝でも2年連続表彰台を逃す4位。優勝を目標にしていたカル・クラッチローだけに、フラストレーションがたまるレースだった。
それでも予選ではフロントローの3番手、決勝ではインディペンデントチーム1位となる4位でフィニッシュ。パルクフェルメでは家族の祝福を受けて満面の笑みだった。
今回はマルク(・マルケス)との戦いになると思っていたというクラッチロー。終わってみれば、アンドレア・ドビジオーゾ、マーベリック・ビニャーレス、バレンティーノ・ロッシという順で、ある意味想定外の結果に……。次のサンマリノGPでは頑張るよとホームGPの雪辱に気合を入れていた。
シルバーストーンのバンピーな路面に多くのライダーが苦戦したが、もっとも苦戦したのが小柄なダニ・ペドロサだった。
問題はひとつ。ブレーキングポイントで暴れまくるマシンのコトンロールが不可能だったところにある。
その問題の解消に3日間を費やし、予選7位、決勝7位。ペドロサにとっては、最善を尽くしての結果だったが、「今回のレースのことは忘れたい」と悔しさをにじませた。
トーマス・ルティ(30)の来季のMotoGP参戦がイギリスGP開幕前に発表された。
移籍するのは、エストレージャ・ガリシア・マーク・VDSで、チームオーナーのファン・デル・マーク・ストラッテン氏は、「何人かの候補がいたが、チームスタッフ全員一致でトーマスに決めた」とコメントした。
Moto2クラスは、同チームのフランコ・モルビデリが総合首位。そのモルビデリとチャンピオン争いをするルティを獲得。来季の同チームのMotoGPチームは、ルーキーふたりの体制となる。
ルティは2005年に125ccクラスでタイトルを獲得した。以後、250ccクラス、Moto2クラスで活躍。念願のMotoGP参戦が決まり、本当に嬉しいとモチベーションを高めていた。