F1メカ:メルセデス、レッドブル、マクラーレンのカウルに見る空力コンセプトの印象
メルセデスAMGとレッドブル、マクラーレンのエンジンカウルを見比べてみましょう。まずは、3車のサイドビューから(マクラーレンの画像は左右反転)。
Mercedes AMG W07
Red Bull RB12
McLaren MP4-31
エンジンカウルは中央部とサイドで分割するのが一般的です。例えば、メルセデスAMG W07はこんなふう。中央部とサイド部の分割線が確認できます。
どんなに精密に組み付けても、パネルとパネルの合わせ目で段差が生じ、その段差が空気の流れを乱してしまうのでしょう。それを嫌って(?)、レッドブルは左右と中央のカウルを一体化して成形しています。メンテナンス性は悪くなりますし、精度高く成形する技術も必要でしょう。
タグホイヤーのバッジを付けている実質ルノーのパワーユニットは、メルセデスAMGなどに対してパワー面でハンデを負っているので、空力の邪魔になる要素を少しでも減らしたい。そんな姿勢がカウルの設計に表れています。加えて、レッドブルはドラッグ(空気抵抗)を極力減らす空力コンセプト、という指摘を多く聞きます。強いレイク角もそうですが、ドラッグを増やさずに必要なダウンフォースを発生させる考えを徹底しているよう。
メルセデスAMGはパフォーマンス面で圧倒的優位に立っているので、レッドブルのような細かな気遣いは無用ということでしょうか。エンジンカウルは分割しています。一方、マクラーレンもメルセデスAMGと同様で、エンジンカウルは分割型。
ホンダ製パワーユニットは2015年に比べて大幅に進化したとはいえ、メルセデスAMGと肩を並べるレベルにまでは達していないでしょう(と、考えるのが普通です。後発ですので)。パワーのハンデを低ドラッグの空力コンセプトで補おうと設計しているのがレッドブルなら、マクラーレンはパワーがあることを前提にした空力コンセプトに見えます。
サイドポンツーンまわりのごてごてした処理を見ると、いかにもドラッグが大きそう。
真相はわかりませんけどね。そんな印象です。
Text : Kota Sera
※この記事は「世良耕太のときどきF1その他いろいろな日々」より転載しています。