ゴールまでは隠れていたパパ・フェルスタッペン@スペインGP現地情報
ムッシュ柴田がパドックからの、あれこれをレポート。2016年スペインGPはF1の歴史に残るレースとなりました。いつも息子を見守っている、18歳ウイナーの父ですが、今回はチェッカーを受けるまで身を潜めていたみたいですよ。
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土曜日の夕方、最終コーナーに見事な虹がかかってました! 今年のバルセロナ、日中は爽やかに晴れるんですが、夕方から雨が降り出す毎日。そのため、せっかく路面についたラバーが朝になると、すっかり洗い流されてしまっています。
さて土曜日はサポートレースで、うれしい出来事がありました。
GP3選手権に今季から参戦している福住仁嶺選手が、デビュー戦で堂々の3位表彰台に上がったんです。海外でのレースはカート時代に経験しているとはいえ、4輪は今回が初めて。ハンドクラッチも初体験で「練習のときはホイールスピンばっかりでした」と不安そうでしたが、本番では見事にスタートを決めて、4番グリッドから3番手に。そのまま危なげなく走り切って、表彰台に上がりました。
つきっきりでアドバイスを送っていた鈴木亜久里さんも、本当にうれしそう。
一方、GP2参戦中の「先輩」松下信治選手。タイトル獲得に向けて髪形も変え、気合い満々でしたが、しょっぱなから、ちょっと苦戦です。
決勝レース1は序盤に右サイドからぶつけられ、それでもホイールが割れた状態のまま激走したんですが、7位を走行中にチームメイトのセルゲイ・シロトキンの単独スピン、リタイアのあおりを食らって、12位に終わりました。
そしてF1の決勝当日は、真っ赤な朝焼け。レースの大波乱を予感させるような……っていうのは、もちろん後づけの感想です(笑)
午後は雲ひとつない青空が広がって、路面コンディションの急変は望めない。このままなら優勝争いの権利を持っているのはフロントロウを独占したメルセデス2台だけだったはずでしたから。
少なくとも、この紳士は、そう信じて疑わなかったはず。コースに向かうメルセデスのマシンをグリッドから満足そうに眺める、メルセデス・ベンツ総帥ディーター・ツェッチェ博士です。
ところが2台は、スタート直後にまさかの同士討ち。マックス・フェルスタッペンがオランダ人初、そして史上最年少のウイナーとなってしまいました!
レース中は極力カメラに映らないようにしていたパパのヨス・フェルスタッペン。息子の優勝を見届けてからは喜んでインタビューを受けていました。
本来の実力もさることながら、状況すべて味方につけてしまう、強烈な引きの強さを持っているマックス。オランダ人ファンたちは、これから長い間F1を存分に楽しめそうです。
そんな歓喜に包まれたピットを、メルセデスの1台が、ひっそりとガレージへと運ばれていました──。