4月27日、ヨーロッパ・モナコの市街地にて2023/2024ABB FIAフォーミュラE世界選手権の第8戦モナコE-Prixが行われ、ジャガーTCSレーシングのミッチ・エバンスが優勝、ニック・キャシディが2位となり、ワン・ツーフィニッシュを飾った。
全16戦中の第8戦を迎え、早くもシーズンの折り返しとなったシーズン10。大会開幕前には来季シーズン11より導入される新型マシン『GEN3 EVO』の発表も行われ、伝統のモナコでのE-Prixは華々しい開幕となった。
午前中の予選では、デュエルを制したパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)が今季3度目のポールポジションを獲得。2番手はストフェル・バンドーン(DSペンスキー)となり、2列目にはジャガーTCSレーシングのキャシディとエバンスが続いた。
迎えたスタートは、大きなアクシデントもなくクリーンに展開。トップ集団はポジションをキープしながら1分41秒台というスローペースで周回を開始する。
その後首位ウェーレインはアタックモードを使用し、バンドーンが首位に浮上する。一方中団勢では激しいポジション争いがおこり、5周目にはエドアルド・モルタラ(マヒンドラ・レーシング)が痛恨のクラッシュ。レース最初のセーフティカー(SC)が導入された。
9周目に再開となり、バンドーンがアタックモードを使用。これでエバンスとキャシディがポジションを上げ、ジャガーがワン・ツー体制に。以降、トップに立ったエバンスはペースアップし、対するキャシディは後続を抑えながら間隔を調整することでチームメイトに2度のアタックモードを使用させる。
エバンスが作戦を完遂すると、2台は順位を入れ替え、同様にキャシディも2度の使用義務を消化した。この間、3番手のジャン-エリック・ベルニュ(DSペンスキー)がジャガーTCSの牙城を崩すべくペースアップし、序盤のペースより7秒も速い1分34秒台で攻めるも、エバンスが巧みなブロックで2番手を守り抜いた。
キャシディが2度目のアタックモードを開始したタイミングで2台は順位を入れ替えなおし、ふたたびエバンスがトップに立つ。
いよいよ終盤に差し掛かろうかという25周目、ニコ・ミューラー(ABTクプラフォーミュラEチーム)がバトルの末にクラッシュを喫し、SCが導入。27周目に再開となり、残りは規定の3周とアディショナルラップの2周で計5周だ。
トップを走るジャガーの2台は、再開後からハードにプッシュ。残るバッテリー残量をフルに使って1分32秒台にまでペースを上げ、後続に隙を与えずに残り5周を駆け抜けた。
エバンスは今季初勝利となり、同時にモナコE-Prix初制覇となった。2位のキャシディはポイントランキングでも2位に急浮上。3位にはバンドーンが入り、DSペンスキー移籍後の初表彰台となった。ポイントランキングは、5位フィニッシュのウェーレインがトップをキープ。7点差で2位キャシディ、さらに6点差でジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)が続いている。
唯一の日本国籍チームであるニッサン・フォーミュラEチームは、予選で14、15番手に沈んだものの、決勝では激しいポジション争いを潜り抜け、オリバー・ローランドが6位、サッシャ・フェネストラズが8位で2台ともに入賞となった。
次回大会は、ヨーロッパのドイツで行われる第9/10戦ベルリンE-Prix。5月11日(土)から12日(日)にかけて同国市街地の特設サーキットにて開催される予定だ。