更新日: 2024.05.08 18:05
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
「数年前の2017年、僕はレース1をポールからスタートするはずだったのに、失格になったのをみんな覚えているかな? それは僕にとってWTCCでの初めてのレースだったんだ」
「こうして数年後にポールポジションからスタートできることをうれしく思うし、適切なタイミングでクルマの能力を最大限に引き出すことができた。埋め合わせをするチャンスを得たんだから、明日のレースに全力を注ぐ必要があるね」
迎えた現地土曜、午前11時30分からのオープニングヒートは、息苦しい暑さのなかでタイヤを温存することが最大の課題となるなか、フロントロウに僚友のサンティアゴ・ウルティア(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)を従えたエルラシェールが、グリッド最上位からほぼ独走状態へ。
オーバーテイクの機会さえない圧倒的なワン・ツー勝利を収めたにも関わらず、レース後のWTCR世界ツーリングカー・カップ元王者は「自分の思いどおりにはことが運べなかった」とし「仕事は終わったが簡単ではなかった」と明かした。
「ストリートトラックではスタート時に何が起こるかわからないが、レース中はずっと賢くプレーするべく、背後のサンティ(ウルティア)から良いサポートを受けることができた」とエルラシェール。
ただし気温34度の条件で路面温度も50度近辺まで激しく上昇し、36周を走破したコクピット内部も「60度を超えるような状況だった」と続ける。
「タイヤが長く持たないのでかなり大変だったよ、可能な限り速く走らせつつ、マネジメントしてライフを節約しなければならなかった。この条件で36周というのはかなり長い。とくに運転席は65度に達するような状況だしね。でもチームにとって良いポイントになったし、チャンピオンシップはまだ長いよ」
続くレース2も、予選トップ10リバースの採用で中国人ドライバーがポール発進を決めると、その背後に並んだエステバン・グエリエリ(ゴート・レーシングチーム/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)とボルコヴィッチのホンダ艦隊が追走する状況で、ポジション変動の脅威なく“ライト・トゥ・フラッグ”を達成する結果に。
一方で、タイトル争いの主役となるエルラシェールとミケリスは、オープニングラップのターン1で接触し、エラントラN TCRにダメージを与えたエルラシェール自身はレース中盤でリタイアを喫する事態に。
このインシデントに対し、スチュワードは「問題を徹底的に検討した結果、168号車(エルラシェール)のドライバーがT1で105号車(ミケリス)を押し、クルマをスライドさせてポジションを奪ったという衝突の責任があると判断した」とし、次戦ミドオハイオでの3グリッド降格とペナルティポイントを与える裁定を下した。
その北米大陸でのFIA TCRワールドツアー第3戦ミドオハイオは、6月8~9日の週末にスポーツカー・コースで争われる。