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投稿日: 2017.07.26 19:26
更新日: 2017.07.26 19:33

混沌とするインディカー王者争い。チャンピオンの条件は残り5戦で1勝以上?


海外レース他 | 混沌とするインディカー王者争い。チャンピオンの条件は残り5戦で1勝以上?

 残り5戦のうちの3戦はロードコースであることを考えると、ディクソンのタイトルという目は結構ありそうだ。高速オーバルで速さをみせるホンダに乗る彼はポコノでも速いはずだ。ダブルポイントのインディ500で九死に一生を得るアクシデントでリタイアしながらポイントリーダー。このことがガナッシのチーム力、ディクソンのドライバーとしての完成度の高さを証明している。

 次なる候補はランキング2番手のカストロネベスではなく、3番手につけているパジェノー。2016年チャンピオンにはパワーのようなムラがない。ディクソンに近い確実性の持ち主だ。そして、ガナッシの2+2体制に比べ、チーム・ペンスキーの4カーは遥かに効率性が高い。それをもっともじょうずに活用し、実力を伸ばしているのがパジェノーだ。

円熟味を増すディフェンディングチャンピオンのシモン・パジェノー

 昨年の実績を見ても、残りレースのうちの2戦(ミド・オハイオとソノマ)で彼は勝っている。精神的優位を彼は感ずることができるだろう。他のレースでのウイナーは、ポコノがパワーで、ワトキンス・グレンがディクソンだった。

 2003年以来のレースが開催されるゲートウェイ(全長1.2マイルのオーバル)が残りレースに入っていることもパジェノーには朗報かもしれない。彼は今年、フェニックスの1マイルオーバルで優勝している。ホンダのエアロキットを使うディクソンはこの手のコースでは不利にある。

 ただ、4人全員がタイトルの可能性を持っていることで、チーム・ペンスキーでは足の引っ張り合いが起こるケースも心配される。実際、2015年の最終戦ではファン・パブロ・モントーヤとパワーがレース中に接触。ディクソンが優勝し、モントーヤの前でディクソンのチームメイト3人がフィニッシュするというミラクルサポートもあってディクソンが大逆転でタイトルを手にしている。

ランキング7位の佐藤琢磨。王者争いにはポコノ戦での活躍が必須だ

■琢磨はポコノ戦がキーポイント

 レイホール辺りが地元のミド・オハイオで2年前のように優勝してかき回すことになれば、タイトル争いの行方はさらに混沌とする。ポコノでは過去4シーズンでスピードを見せている琢磨が勝つ可能性だって考えられる。

 こんな結末もドラマになるだろう。インディカー20年目、チーム・ペンスキーでの18年目を戦っているカストロネベスがチャンピオンになるというものだ。2003年に勝っているゲートウェイでもう1勝を挙げるなどして、これまで取り逃がし続けてきたインディカータイトルをついに42歳で獲得。そして、2018年にスタートするアキュラ・ペンスキーのデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル清々しくスポーツカーへと転身していく。というストーリーはなかなかに美しい。

ランキング2位につける無冠の帝王エリオ・カストロネベス

 いずれにせよ、残り5戦で1勝以上がチャンピオンの条件だと思われる。そしてもちろん、序盤のクラッシュに巻き込まれてリタイアなど、ポイントの取りこぼしをしないことも必要だ。そう考えると、やっぱりディクソンとパジェノー、ふたりのシュアなドライバーが有利に戦うことになりそうだが、果たして……。


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