更新日: 2018.05.25 16:19
第102回インディ500プレビュー:優勝候補最右翼はカストロネベス。琢磨は苦境から抜け出せるか?
ジョセフ・ニューガーデンはペンスキー入り初年度にチャンピオンになった男。今シーズンも現在ポイントリーダーで、今いちばん勢いに乗っている。ミスが少なく、生来の運も持っていると見える彼の過去6回のインディでベストフィニッシュは2016年の3位だ。
彼らを打ち負かしてPPを獲得したカーペンターは、レースでも強いだろう。彼は決勝モードのプラクティス4日間で一度もトップ10を外していない。ダートオーバル育ちのカーペンターがペンスキーの通算17勝目を阻み、悲願のインディ500初優勝を飾ったら、アメリカンドリームの実現として全米が湧き上がるだろう。
フルシーズン参戦初年度のスペンサー・ピゴットは、競争力のあるオーバル用マシンを初めて与えられてスピードを着々と上げて来ているが、世界最大のレースでの今年の目標は優勝争いに絡み、上位で完走することだろう。
ダニカ・パトリックのキャリア最後のレースでの目標は、デイトナ500で果たせなかったレースでの完走に置かれているはずだ。トップ10入り6回の実績が示す通り、彼女のゴールまでマシンを運ぶ能力は高い。マシンにポテンシャルはあり、上位にポジションを保って戦うチャンスは十分。チェッカーフラッグを大歓声を浴びながら受け、ステアリングを置くハッピーエンドを迎えられる可能性大だ。
ブルデーとディクソンは粘り強いレースで勝機を伺う戦いを見せるだろう。ブルデーはレース用のマシンセッティングもハイレベルに仕上げている。ディクソンには強豪チームならではの総合力の高さがある。
ダークホースは予選10番手のカナーン。2013年ウイナーはインディでいつも速く、戦い方も最も深く理解している。アンドレッティ勢が彼に続く。
レースモードでのプラクティスを多く重ねていたチームだからだ。決勝で力を発揮することを彼ら自身も強く期待している。予選12なんてのアンドレッティ三世=マルコ、予選14番手だった2014年ウイナーのライアン・ハンター-レイはどこまでシボレー軍団に食い下がれるだろう。
現在のインディカーシリーズで最も走りにキレのあるアレクサンダー・ロッシは、最後列グリッドからのスタートというハンディキャップをどこまで跳ね返せるか。全車をパスして1ラップの周回遅れを取り戻してトップ争いまで駆け上がった第2戦フェニックスと同じ戦いぶりを見せることができたらエキサイティングだ。
今シーズン序盤での活躍で大きな注目を集めて来ているルーキーのロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は予選18番手。スーパースピードウェイへの順応も良いが、月曜のプラクティスでは初アクシデント。チームメイトのジェイムズ・ヒンチクリフがまさかの予選落ちを喫し、チームはトーンダウン気味だが、栄えあるルーキーオブザイヤー受賞を目指す。
予選でルーキー最速だったのはレイスト。クラッシュせずに完走できればルーキー最上位でのフィニッシュも可能だろう。
最後に佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。昨年度ウイナーは思わぬ苦戦を強いられてきている。予選2日目に一気にスピードアップしてグリッドは16番手まで上げたが、月曜のプラクティスではトラフィックでのハンドリングを狙い通りに向上させることができず、グリッドに並べるマシンのセッティングはもう一度検討をし直さねばならない状況に追い込まれている。
しかし、苦境から抜け出してレース終盤には上位でポジションを争うという、過去のインディ500で何度も見て来ている戦いぶりが琢磨なら再現可能と期待したい。