更新日: 2019.06.13 11:54
TCR EU第3戦:スパ大会はアクシデント続発。土曜レース1では複数回横転の大クラッシュも
フロントロウに並ぶアウディ2台が順当にダッシュを決め後続を引き離しに掛かるのと対照的に、セカンドロウ3番手発進のチームWRT、マキシム・ポティ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が悪夢のスタートで飲み込まれ、オーレリアン・コンテ(プジョー308 TCR)、ブリシュ、ジミー・クラレット、そしてマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR)の背後7番手にドロップ。
するとこれが引き金となりマルチバトルが勃発し、シケインでのコンテとブリシュのプジョー対決では、両者もつれあったままコースオフを喫してスローダウン。さらに後方でもテディ・クラレットが他車と絡んでクラッシュを喫し、早速のセーフティカー(SC)導入となる。
SC隊列のスロー走行中にピットでリペアを終えたブリシュのみ2周遅れで復帰すると、4周目のリスタート以降も各所で肉弾戦が展開され、中団ではWTCRと掛け持ち参戦するトム・コロネル(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)がジャンニ・モルビデリ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)らとポジションを激しく入れ替えてのバトルを展開する。
迎えたファイナルラップでは最後の表彰台争いも激化し、ポティとコンテがペナルティすれすれの攻防劇でポジションを奪い合い、ポティが最後の最後で自身のスタートグリッド位置を奪還すると、同ラップの後方ではJSBコンペティションのプジョー308 TCRをドライブするフランス出身のティーンエイジャー、リル・ウォードがセアト・クプラTCRと絡んで激しくロールオーバー。
スタブロー手前で4回転したマシンはルーフを下にしてグラベルトラップに転がる大事故となったが、彼女はすぐにメディカルセンターに運び込まれたのち近郊の救急病院にも搬送され、腕にケガを負ったものの翌日にはサーキットに戻り、パドックに無事な姿を見せている。
その日曜レース2のグリッドには、エンジン交換とボディ修復を経たファイルズのヒュンダイも復帰し、ドゥサン・ボルコビッチ(ヒュンダイi30 N TCR)がリバースポールからスタート。
しかしこのレース2も前日を上回る大荒れの内容となり、レーススチュワードは5件以上の審議を抱える事態となり、複数の接触と2件のジャンプスタート疑惑の裁定がレース後まで持ち越されることに。
最終的にトラック上でのすべてのアクシデントを回避したブリシュが今季2勝目を飾り、グリッド上で最もタフでクレバーなドライバーであることを証明。2番手にはジミー・クラレットが続きプジョーのワン・ツーかと思われたが、チェッカー後にボルコビッチ、ウルティアとの接触によりペナルティが課されてドロップ。繰り上げ2位にオモラが続き、アンドレアス・バックマンが最後のポディウムを獲得。4位にC-ECUテストながらさすがの好走をみせたサットンが入り、プジョーのコンテが続くトップ5となった。
この結果により新たな選手権リーダーにブリシュが浮上し、13点差でマグナス、さらに11点差でコンテが続くランキングとなったTCRヨーロッパ・シリーズ。次戦ラウンド4はオーストリア・レッドブルリンクを舞台に、7月12~14日に開催される。