WTCRポルトガル:ホンダのモンテイロが怪我から復帰後初優勝「最後の1周半は感情が揺さぶられた」
迎えた最終レース3では、ポールシッターのタッシ、フロントロウのモンテイロを先頭に1コーナーをクリアしていくが、その後方でニッキー・キャッツバーグ(ヒュンダイi30 N TCR)とグエリエリが接触。キャッツバーグ車を回収するためセーフティカーが出動した。
レースは3周目から再開されると、今度はトップを走るタッシのペースが上がらず。モンテイロ、イバン・ミューラー(Lynk & Co 03 TCR)に相次いで交わされてしまった。その後、タッシは11番手まで後退した後、リタイアしている。
これで首位に浮上したモンテイロは、2番手ミューラーを寄せ付けずにトップチェッカー。およそ2年前、WTCC世界ツーリングカー選手権時代に起こした大クラッシュからの復帰後、初めてとなる勝利を母国ポルトガルで掴んでみせた。
「今回ばかりは集中力を維持するのが大変だった」とモンテイロ。
「いつもは残り数コーナーになるまで(勝利を)意識しないけど、今回は残り2周くらいから意識し始めた。『本当に勝てるんだろうか?』とね」
「そして一度集中力が弱まると、コースサイドでファンが振っている旗や立ち上がっている姿が目に映るようになってきた。眼の前のコースに集中しなくてはいけないのにね」
「チームメイトがメカニカルトラブルでリタイアしていたから、なおのこと集中するのが難しかった。僕も最初の2周はマシンに違和感を感じていたんだ」
「いろいろなことが頭をよぎったけど、とにかく自分の仕事をこなした。それでも最後の1周半は感情が揺さぶられる状況だったことは確かだよ」
2位はミューラー、3位はミューラーの甥であるヤン・エルラシェール(Lynk & Co 03 TCR)が獲得。ミューラーは「甥と表彰台に上がったこともうれしいが、今回の勝利は土曜日の夜に亡くなったチームメカニックへ捧げたい」と述べた。チームのメカニックは現地6日夕方に体調を崩して病院へ搬送されたが、治療の甲斐なく亡くなった。
「(土曜の)深夜、僕たちは日曜日のレースに出場するかどうかもわからなかったが、亡くなったメカニックの家族がレースを戦ってほしいと言ってくれた。そして僕たちは表彰台を手にできたんだ」
「今回の勝利は彼に捧げたい」
ポイントランキングではレース3でリタイアしたグエリエリが231ポイントで首位を維持。2位にはレース3で9位に入ったミケリスが207ポイントで続いている。
2019年のWTCRは、このポルトガルラウンドを終えてサマーブレイクに突入。第7大会は9月13~15日に中国・寧波で行われる。その後に控える第8大会は10月25~27日に鈴鹿サーキットで行われる日本ラウンドだ。