ヒュンダイ所属のWRCドライバー、ヌービルがTCR初挑戦でポール・トゥ・ウィン。レコードも更新
「(ポールのラップには)とても満足しているけど、最後のアタックが満足にできなかったことに失望した。充分にアグレッシブとは言えず、コンマ2秒ほど失っている」と、さらなるタイム更新が可能だったとヌービル。
「実際、2度目のアタックに向かう際、僕のミスでピットレーンリミッターを切り忘れて数コーナー行ってしまったんだ(笑)。WRカーのドライビングとはまったく異なるね。当然4輪駆動でなく、タイヤのサイドウォールもずっと柔らかい。ステアリングを通じてのフィードバックは全然違っている。それにこんなに広い道を走ることも滅多にないしね」
「とくにスピードとリヤのスライド量には神経を使って、注意を払う必要がある。TCRツーリングカーは(駆動していない分)リヤの動きがすごくナーバスなんだ。だから、マシンのスライド量とアングルを適切にコントロールする必要がある。その点、ラリーの経験が役に立っているけど、要は速度の管理だけ。本当にその1点に尽きるよ」
そのまま土曜午後に迎えたレース1は、「スタートを決められるか心配」と語っていたヌービルが絶妙なトラクションでホールショットを決めると、危なげなく首位をキープ。後方では1コーナーシケインで多重クラッシュが発生し、ハルダーや現王者のハラルド・プロチェク(ヒュンダイi30 N TCR)らが絡み、後方に下がったこともヌービルに味方した。
さらに4周目のバックストレッチではブラッドリー・バーンズ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)のマシンから火が上がるアクシデントでセーフティカー(SC)が導入され、ヌービルのリードが帳消しとなる事態に。しかしSC明けリスタートも落ち着いた動きで堂々トップランを維持すると、そのまま19周のレースを走破してトップチェッカー。初参戦のTCR規定ツーリングカーで完璧なポール・トゥ・ウインを飾った。
「ただ、可能な限り速く走ることだけに集中した。これも良いセットアップを見つけてくれたガブリエルのおかげだ。マシンは一貫してペースがあり、最後までバランスは素晴らしかった」と、満足げな表情でデビュー戦を振り返ったヌービル。
ゲスト参戦ステータスのため、ヌービルは選手権ポイント対象外となり、2位表彰台に上がったチームメイトのマックス・ヘッセ(ヒュンダイi30 N TCR)が最大得点を手にしている。
続く日曜のレース2に向けては「(リバースグリッドにより)ミッドフィールドからのスタートになるし、今日とは全然違う筋書きになるだろうね。僕の背後では1コーナーで派手なクラッシュも起きていたようだし」とヌービルが予測していたとおり、波乱の展開に。
その要因はアクシデントではなく天候で、予報どおり決勝を前に雨が落ち始めたニュルブルクリンクは、スタート後間もなくして視界が奪われるほどの豪雨となり、9周時点でやむなく赤旗中断からレース終了に。この結果、6周時点で首位に立っていたヘッセが前日に続く最多ポイントを獲得。ヌービルはグリッドからひとつポジションを上げた6位で週末を終えている。