可夢偉以来の快挙遂げた佐藤万璃音「いつでも新たな環境で戦う用意はしている」【独占インタビュー】
「じつはその時期(7月ごろ)からFIA-F2に出場する話が持ち込まれて準備も進めていた。だから、現役F2ドライバーの松下選手にも負けられないと思っていましたね」
――EFOの第6大会オーストリア・レッドブルリンクと第7大会イギリス・シルバーストンに、角田選手もローソン選手も出場しないとなった時点で、彼らふたりにはドライバーズタイトル獲得の権利が消滅しました。気が抜けたりはしませんでしたか?

万璃音:「まったく気は抜けていませんでした。自分の連勝記録を伸ばしたかったし、できるだけ多く勝ちたかったですから」
――そして9月頭、FIA-F2第9大会ベルギー・スパのデビュー戦を迎えました。

万璃音:「F2マシンはEFOのクルマとはまったく違う乗り物。すごく限られた走行時間のなかで戦うことは、自分のアダプタビリティ(順応性)の低さもあってすごく難しかったです」
――スパでは不幸な事故もあってほとんど走れないまま、次は日程が重複しているEFO第7大会イギリス・シルバーストンを欠場してFIA-F2第10大会イタリア・モンツァへ向かいました。
万璃音:「モンツァのフリー走行に関しては、スパよりもかなり慣れてきた感触はあった。ただ、予選はすごく難しいコンディションで、チームも僕もうまく戦えなかった。フィーチャー・レースに関してはタイヤがバラバラになって、入賞圏内を走っていながら、余計なピットストップを強いられました。スプリント・レースは単純に僕のペースが足りませんでした」
――チームメイトのジャック・エイトケンが優勝したレースでした。
万璃音:「はい。しっかり自分と比べられる相手がいるから、毎回対策ができて、学習ができるんです」
――ひさしぶりにEFOへ戻ってきてこの第8大会スペイン・バルセロナは、いきなりの不運に遭遇しました。
万璃音:「はい。土曜日の決勝レース1に向けては、土砂降りで予選を走ることができませんでした。もしも、カーリン勢がそこまで読んで練習走行でタイムを出していたなら、あっぱれですね。僕たちの読みが足りなかった可能性もありました」
「ただ時間は戻せませんから仕方ないです。それにリアムは8番グリッドからのスタートで勝っていますから」
――レース1で10位に終わったとはいえ、EFOタイトル獲得でひと区切り。気持ちはすでに今季のFIA-F2や来季のFIA-F2へ大きく傾いているのではないですか?
万璃音:「いや、モトパークに居るときはEFOのレースに集中していますよ。FEO最終大会のイタリア・モンツァは、イタリアF4時代から走り慣れているコース。不調に終わったスペイン・バルセロナのデータをしっかりと見直して、ポールポジション、優勝、ファステストラップを狙い、有終の美を飾りたいと思います」
――FIA-F2はアブダビ大会が残っています。
万璃音:「アブダビは2018年シーズン終了後のテストで3日間走って、そのうち2日間はカンポスで走りました。2日間のうち1日はジャック(エイトケン)と一緒だったので、それから自分がどのくらい成長しているのか? あるいはまだまだ足りない部分があるのか? しっかりと確認したいと思います」
――来季はカンポスでFIA-F2に参戦するのでしょうか?
万璃音:「それは分からない。ただ、マネジメントチームがしっかりとケアしてくれているので心配はしていません。F3ではユーロF3とFEOで3シーズン戦って今年タイトルを取ることができました」
「先ほど言ったように、今季の開幕戦からFIA-F2で乗るという選択肢もあったんです。でも、やはりタイトルを取りたいと自分の意思でEFO参戦を決めました。今回ここバルセロナでそれを叶えられたのはよかったです」
――F1参戦も視界に入りつつあるのでしょうか。
万璃音:「まだ、自分がF1の舞台にいる光景は想像できません。ここまで、すべて臨機応変に対応している。実際、FIA-F2への参戦も2019年シーズン開幕当初は想像もしていませんでした。でも、つねにどんなレースでも走れるようにふだんから準備を続けることが大切。いつでも新たな環境で戦う用意はしている自負があります」
