更新日: 2016.10.07 14:58
高校生ドライバー佐藤万璃音イタリア挑戦記 第8回:“絶望的なオタク”がイタリアの保養地を満喫
トレヴィニャーノ・ロマーノは有名でもないし高級でもないが、週末には老若男女が小さなエリアに集中するレストランやバーやホテルへ押し寄せる。湖畔の幹線道路から裏の路地へ一歩入ると、おばあちゃんが椅子に座り井戸端会議。摩訶不思議な芸術作品を製作中の工房があり、地元民しか通わないようなレストランも。「まるでジブリの世界に紛れ込んだみたいですね」と笑顔を見せた万璃音。じつのところ彼はヴァレルンガの大会前のトレーニングで足首を負傷していたが束の間それを忘れ、興味深い街並みに興味を示して歩き回った。
お客さんが多く流行っていそうな一軒のレストランを発見。幹線道路沿いのテラスにもテーブルは用意されていたが、「できれば店の中が良いな」という“絶望的なオタク”の希望で店内へ。ここで彼はイタリア語を駆使し、働き者の若い女性店員を相手に積極的にオーダー。スムースな展開に、観光気分で現地を訪れた老齢の日本人一行は安心して彼にすべてを任せた(汗)。
「このアマトリチャーナのスパゲッティ、美味しいですよ。プロシュートも牛肉のグリルも美味しい。でも、僕が作るパスタも美味しかったでしょう? まあ、○○さん(※筆者)がオーダーしたラグーのスパゲッティは、たぶん失敗ではないかと思われます(汗)」
とかなんとかフランクな会話で場は盛り上がり、ヴァレルンガではともかく次のイモラでは冒頭のとおり、万璃音は3連続入賞を果たし、しかも決勝レース3では初優勝を飾った。16シーズンの締め括りとして彼は、10月末にいよいよモンツァでイタリアFIA-F4最終大会へと臨む。どのような形で今季を終え、どのような体制で来季を戦うのか? 17歳の高校生ドライバーの今後に引き続き注目したい。