更新日: 2020.01.20 19:03
【独占インタビュー】松下信治、国内復帰の噂から一転。2020年FIA-F2継続参戦の決意
──チーム名はまだ言えないとのことですが、いい結果が期待できそうでしょうか?
松下:昨年末にMPモータースポーツをはじめ3チームからいいオファーをいただいていました。そのなかでもとくにチーム力向上を狙っているところがあり、おそらくそこに移籍することになると思います。
そのチームはチーフエンジニアだけでなく、他のエンジニアもすべて入れ替わります。プレマからも優秀なデータエンジニアを引き抜きました。
メカニックはもともと優秀で、去年いっさいトラブルも出ていないので、メカニックはそのままです。資金力もそこそこあるし、かなり戦闘力が上がってくる期待はできます。
──松下選手への期待も大きいでしょうね。
松下:チームメイトはルーキーになるので、僕が引っ張っていくことになると思います。
──今後はどのような予定になるのでしょうか?
松下:1月いっぱいは国内でスポンサーさんに挨拶をして、ヨーロッパに戻るのは2月になると思います。そこからテストを経て、3月のバーレーンでの開幕戦に臨みます。
──いまの気持ちを教えてください。
松下:素直にうれしいですね。またヨーロッパでレースできますから。
──今年の目標は?
松下:タイトル獲得です。いいチームに化けそうなので、その可能性は充分にあると思います。もちろんチャンピオンになったからといって、すぐにF1に行けるというほど甘い世界ではない。
でもドライバーとしての評価が上がるのは、間違いないし、去年は開幕でつまずいて、その後もトラブルやミスが続いた。中盤以降は持ち直しましたけど、最終的には初戦の成績が響きましたから。なので今年は開幕戦から、確実に結果を出していきたいですね。
──去年の最終戦アブダビの時点では「もう一年、F2をやりたい」と言ってましたが、現実的に厳しいということは自覚していたのでしょうか?
松下:やりたいという気持ちはずっとありましたけどね。26歳という年齢はF1の世界に入る年齢としては若くありません。でもひとりの人間として見れば、まだまだ若者です。一般的に捉えるとこれからどんなことだってスタートできるときですよね。なので、いま自分から夢をあきらめるのは僕にとっては違うなと。
じつはF2挑戦へと最後に背中を押してくれた人は、マクラーレンの今井弘エンジニアだったんです。暮れにロンドンで一緒に食事した際に「みんな30代くらいになって、自分の人生を少し振り返って、それまでの後悔や、やり残したことを少し悔やむときがくる。ノブがもし、いまこの夢をあきらめたらきっとその先ずっと悔いを背負うことになる。人生で見たらまだ若いんだから、いまのうちにやりたいことをやったほうがいい」と。
そう言われて、踏ん切りがついた感じですね。僕のマネージャーからは「ホンダを失ったらすごいリスキーだぞ」とずっと言われてたんですけど。でも最後は「お前の人生なんだから、最後はお前が決めろ」と言ってくれて、それでホンダとの話し合いに臨めて、いまがあります。