更新日: 2023.03.03 20:52
【インディカー2023プレビュー】昨年9勝を挙げた常勝軍団チーム・ペンスキーの牙城を崩すのは?
ペンスキー、ガナッシの2強を倒すことができるチームがあるとしたら、それはマクラーレンかアンドレッティだ。シリーズナンバー3の座を競い合っている彼らだが、この2シーズンほどマクラーレンの優位が続いている。
今年その差が広がってマクラーレンがトップ3の一角を占めることとなるのか、アンドレッティが巻き返すのかは大いに注目されるところだ。
F1進出の話が進行中のアンドレッティとしては本業のインディカーで苦戦を続けているわけにはいかない。
おもしろいことに、ロッシは久々の勝利を挙げたが、チームを離れることになった。彼はオワード、ローゼンクヴィストとの3カー体制を敷くマクラーレンの一員となる。この3人がスムーズにチームワークを発揮できるようになるのか、フリクションが生まれるのか。
マクラーレンはインディ500には4台目をエントリーさせ、ベテランのカナーンを乗せる。前年のインディ500で2、3、4、5位に入ったドライバーたちが1チームに名前を連ねることになったわけだ(優勝のエリクソン以下はオーワード、カナーン、ローゼンクヴィスト、ロッシの順だった)。
進歩を続けてきているチームだが、フルシーズンの3カー体制になるのは今年から。ドライバーたちの協力体制の構築も含め、マネジメント部門の力量が問われる。
アンドレッティはロッシの抜けた穴にカイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)を持ってきた。アンドレッティで2021年にインディ・ライツチャンピオンとなったカークウッドは、AJ・フォイト・レーシングで1シーズンを戦って経験を重ね、今年の開幕前テスト2回(サーマルクラブとセブリング)で上々のタイムを出していた。
カークウッドにスピードが備わっているだけでなく、アンドレッティのマシンがライバル勢との差を詰めてきているとしたら、ハータとグロージャンのパフォーマンス向上も当然あり得る。
参戦2年目のデブリン・デフランチェスコも含め、今年はアンドレッティ勢がよりシリーズを混沌と、そしておもしろくさせることが期待される。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダは2022年ルーキー・オブ・ザ・イヤーとなったクリスチャン・ルンガー(21歳)のさらなる成長が楽しみ。グラハム・レイホールとジャック・ハーベイの奮起も期待したい。彼らはインディ500で女性ドライバーのキャサリン・レッグを登用することにもなっている。
メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダは今年もふたりのインディ500優勝候補=エリオ・カストロネベスとシモン・パジェノーというベテラン2人を走らせる。アンドレッティ・オートスポートとの技術提携は今年も変わらない。
リナス・ヴィーケイとコナー・デイリーのコンビをキープしたエド・カーペンター・レーシング/シボレーにはあと一段のステップアップが必要だ。
フンコス・ホーリンガー・レーシング/シボレーのカラム・アイロットは初勝利を挙げても不思議のないスピードを見せてきている。あとはチームのレベルアップ次第。今年はアルゼンチンのツーリングカーチャンピオンであるアグスティン・カナピノを起用しての2カーに体制を拡大するが、それがアイロットの足を引っ張ることがないようにしてもらいたい。
カナピノがどこまで素早くインディカーに順応し、チームメイトに迫る走りを見せるかにも注目だろう。
デイル・コイン・レーシングは人材流出で苦況に追いやられたが、昨年ルーキーながら大活躍したデイビッド・マルーカスと、インディライツ上位ランカーのスティング・レイ・ロブという若手2人(どちらも21歳)を走らせる。
AJ・フォイト・レーシング/シボレーはサンティーノ・フェルッチをエースに迎え、インディ・ライツで走っていたベンジャミン・ペデルソン(23歳)を起用する。
2023年もNTTインディカーシリーズは混戦必至。全17戦でエキサイティングなバトルが繰り広げられることになる。