更新日: 2023.06.14 22:07
12回目の挑戦で勝ち取ったインディ500。予選で17番手からニューガーデンが勝てたワケ
ニューガーデンは13歳にカートを始め、入門フォーミュラで活躍して2008年にチームUSAに選出。スカラシップでイギリス・フォーミュラ・フォード・フェスティバルに遠征し、初出場で優勝を果たした。
翌年からはイギリスでのレース生活をスタートさせ、2010年には当時新設されたGP3に出場。当時はF1を目指して奮闘していたが、GP3で1年を過ごしたのちアメリカへ戻り、インディライツ(現インディNXT)に参戦した。
アメリカでトップを目指すことに方針転換したニューガーデンは、2011年のインディライツデビュー戦でいきなり優勝(セント・ピーターズバーグ)。さらにその後4勝を挙げ、シーズン14戦中5勝、3度のポールポジション、10回の表彰台という圧倒的成績でシリーズチャンピオンとなった。
翌2012年、サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングからインディカーにデビュー。3シーズンを戦ったが、この時は目立った成績を挙げられなかった。
しかし、フィッシャー&ハートマンのチームがエド・カーペンター・レーシングに合流(CFHレーシング=カーペンター・フィッシャー・ハートマン・レーシング)したことで状況は一転。2015年シーズンは第4戦のバーバー・モータースポーツ・パークで初優勝を飾り、さらにトロントのストリートレースでキャリア2勝目を挙げた。
そのまま流れに乗りたいニューガーデンは、2016年のテキサスでスピンしたコナー・デイリーに激突されて手を骨折するも、痛みに耐えて出場したレースを完全に支配して優勝。
2016年は自己ベストとなるシリーズランキング4位となり、この精神力の強さと勝利にかける情熱がロジャー・ペンスキーの目に止まったことで、翌年からニューガーデンはチーム・ペンスキーで走ることとなった(この時のランキング上位3人は、チーム・ペンスキーのドライバーたちであった)。
ニューガーデンは速いだけでなく、自らのミスによるアクシデントが少ないドライバー。ゴールまでを見通した冷静な戦いぶりを若い頃から見せている。
マシンを降りれば爽やかな笑顔をみせるナイスガイな彼は、レースになればフェアかアンフェアか意見の分かれるライン採りを平然と行うし、接触だって厭わない。“ここが勝負どころだ!”と見た局面ではリスキーなアクションも迷いなくやってのける。
そして、それらは冷静に計算されたアクションでもあるのだ。ニューガーデンは、誰にも負けない勝利への強いこだわりを持つタフな勝負師なのだ。
今までに27勝、16回のポールポジションを記録しているニューガーデンは、「インディ500は特別なレース。それを制さない限りはインディカードライバーとしてのキャリアを成功したものとは呼べない」とまで言っていた。
先月の勝利でインディカーにおけるキャリアを完璧なものにした彼は、優勝やポールポジションへの意欲をさらに高めており、今後もトレードマークである攻撃的ドライビングを変えることなく戦うだろう。
次なる目標はキャリア3度目のシリーズチャンピオン。インディ500の次に開催されたデトロイトで今シーズンの17戦中7戦が終了。10戦を残してニューガーデンはポイントレースでトップを行くアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)に70点差でランキング3位につけている。