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投稿日: 2010.04.12 00:00
更新日: 2018.02.23 11:18

【Honda】インディカー・シリーズ第3戦アラバマ  H.カストロネベスが今季初優勝 武藤英紀は15位、佐藤琢磨はトラブルで25位


April 11 2010

IZOD IndyCar Series Indy Grand Prix of Alabama presented by Legacy Credit Union

2010年4月11日(日)
決勝

会場:バーバー・モータースポーツ・パーク:全長2.3マイル
開催地:アラバマ州バーミングハム
天候:快晴
気温:24~26℃

エリオ・カストロネベスが今季初優勝
武藤英紀は15位、佐藤琢磨はトラブルで25位

 インディカー・シリーズ第3戦インディ・グランプリ・オブ・アラバマは、今シーズンが初開催となるイベントだ。使用されるサーキットはバーバー・モータースポーツ・パーク。2003年オープンと新しいコースで、全長2.3マイルに15個のコーナーを配したテクニカルなものだ。

 開幕2戦はともに雨の影響を受けたが、アラバマでのレースは3日間すべてがすばらしい天候に恵まれた。初めて開催されるインディカーのレースに対しては地元の注目度も高く、好天もプラスに作用して5万人を超す多くのファンが決勝日のコースサイドに陣取った。

 開幕2戦より1名多い25名のドライバーが出場し、午後2時40分過ぎにスタートしたレースは90周で争われた。燃料満タンで30周を走れればピットストップは2回で済む計算で、レース前にはこの数字をクリアするのは難しくないと見られていた。ところが、実際には燃料消費に十分に気を配った走りでなければ30周を走るのは不可能だった。

 ポールポジションからスタートし、シリーズ新記録となる開幕3連勝を狙ったウィル・パワー(Team Penske)は、12周目に出されたフルコース・コーションでピットに向かった。しかし、この作戦は結果的に失敗で4位フィニッシュが精一杯となった。

 パワーがピットに向かったフルコース・コーション1回目にコース上に残り、トップに立ったのは予選3番手のエリオ・カストロネベス(Team Penske)だった。その彼をリスタート直後のターン5で予選4番手のマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)がパスし、トップに躍り出た。アンドレッティは切れ味鋭い走りでトップを走り続けた。

 レースはフルコース・コーションが1回しか出ないまま終盤へと突入。そして、ゴールまで7周というところでアンドレッティが燃料補給のためにピットロードに滑り込んだ。これでカストロネベスがトップに復活し、彼はゴールまでその座を守り抜いた。勝因はレースの序盤から続けていた燃料のセーブを心がけた走りにあった。レース中盤のカストロネベスはアンドレッティと同ペースで走りながら燃料消費を大きく抑え、1回目のピットストップから30周を走って2回目のピットストップを行った。ベテランならではの緻密な走りでカストロネベスは今季初勝利、インディカー・シリーズでの通算17勝目を記録した。Team Penskeは開幕からの3連勝を飾った。

 2位はスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、3位はダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)のものとなった。2回しかフルコース・コーションが出されなかった今回、彼ら2人もカストロネベス同様に2回のピットストップでゴールまでを走りきった。

 武藤英紀(Newman/Haas/Lanigan Racing)は、1回目のフルコース・コーションでピットインを行う作戦が裏目に出たため、トップから1周遅れの15位でのゴールとなった。マシンの仕上がりはよかったが、フルコース・コーションが2回しか出ないレース展開では作戦を活用してのポジションばん回は不可能だった。

 佐藤琢磨(KV Racing Technology)はスタートで1つ順位を落としたものの、7位でレース序盤を戦っていた。順調に見えていた彼のデビュー3戦目だったが、11周目に突然アクセルワイヤーが切れて失速し、マシンはコース上にストップした。セーフティカーに牽引されてピットに戻り、マシンの修復を行ってレースへと復帰。しかし、リタイアするマシンのないレースとなったため、レース終盤にはトップグループと同等のペースでラップを重ねていた佐藤だったが、順位は最下位の25位となってしまった。

コメント
エリオ・カストロネベス(優勝)
「レース序盤に前を行くマイク・コンウェイ(Dreyer & Reinbolod Racing)らのペースが速く、何か別の作戦に出る必要があると考えた。それで我々は燃料のセーブを強く心がけることにした。リスタートではアンドレッティにパスされた。彼の走りは我慢強さも備えたすばらしいものだった。彼の後ろにつけて走りながら、燃料セーブ作戦を徹底し続けてチャンスを待った。優勝したらフェンスに上るのが私の伝統だ。それを初開催のレースに集まってくれたファンに見せることができてうれしい」

スコット・ディクソン(2位)
「カストロネベスをパスできていたら最高だったが、2台そろってトップ3フィニッシュできたのだから、チームにとっていいレースだった。燃料をセーブしろという指示がピットから出ていた。要求通りの数字を実現するのは難しかった。しかも、同時に前を行くライバルにプレッシャーを与え続けなければならない状況だった。我々のマシンは最速ではなかったが、最大限の性能を引き出して戦うことができた。次戦ロングビーチがとても楽しみだ」

ダリオ・フランキッティ(3位)
「今日の我々は燃料をセーブする作戦で戦っていたが、それは本当に難しいチャレンジだった。レース終盤は周囲に周回遅れのマシンが多く走っており、パワーとのバトルを難しいものとしていた。最後はサイド・バイ・サイドでゴール。こうして表彰台に立ててうれしく思う。たくさんのファンが集まってくれた決勝日はすばらしい雰囲気に満ちていた。また来年戻って来られることを楽しみにしたい」

武藤英紀(15位)
「最初に出たフルコース・コーションでピットインし、順位をばん回しようとしましたが、あのタイミングでピットインしたチームは皆、ポジションを落としていました。トップを走っていたパワーもスピードはあったのに勝つことができなかった。ここがインディカーのレースの難しいところです。バーバー・モータースポーツ・パークは本当にオーバーテイクが難しく、予選順位の悪かった我々はギャンブル的な作戦に頼るしか戦い方がありませんでした。昨日の予選でもっと上位のグリッドを獲得していないといけませんでした。タイヤの消耗が激しかったこともあって燃料セーブもほとんどできない、とても難しいレースになっていました。来週のロングビーチでは予選の順位をもっとよくして、作戦の幅をもっと持てるようにして戦いたいと思います」

佐藤琢磨(25位)
「スタートは少し慎重にいって、順位を1つ落としましたが、トニー・カナーン(Andretti Autosport)とターン2からターン5までサイド・バイ・サイドのまま走ったりとトップグループでバトルができていました。ソフトコンパウンドのタイヤでスタートしたので、特にフロントタイヤの消耗を激しくさせないよう注意を払って走っていました。そうした中、突然スロットルケーブルが切れてしまいました。惰性でピットまで戻れたらよかったのですが、最後の山を越えることができませんでした。マシンはバランスの取れたものになっていました。レース終盤には上位陣とのバトルもあり、存在感を示すことはできたと思います。結果的には残念なものになりましたが、ピットストップもできたし、燃料が減っていくに従って変化するマシンの挙動、タイヤのグリップの低下がどのように進むのかなど、とても多くを学ぶことのできたレースでした」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー
「朝方こそ涼しかったが、レースはすばらしい晴天になり、初開催のイベントには本当に多くのファンが集まってくれた。芝生の敷かれた土手に大勢のファンが陣取る景色は、満員のグランドスタンドよりも楽しさを醸し出す。彼らが優勝したカストロネベスへと送った声援はとても大きかった。
コース幅が少々狭いのでレースがどのようなものになるか心配していたが、スリリングなオーバーテイクシーンのあるエキサイティングなバトルとなった。ピットにいつ入るか、作戦面の難しさもあるレース展開ともなり、ファンは存分にインディカーならではのレースを楽しんでくれたものと思う。
作戦のよさと、すばらしい走りで勝利をつかんだカストロネベス、そしてTeam Penskeを讃えたい。その一方で、見事な走りでトップに躍り出たアンドレッティは、残り7周で燃料補給が必要になって勝利を逃した。佐藤は好スタートを切って序盤に上位を走ったが、残念なことにアクセルワイヤーにトラブルが出てストップした。しかし、修理したマシンでレースに復帰し、完走を果たしたことで多くを学んだことだろう」


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