スーパーGTニュース

投稿日: 2010.11.04 00:00
更新日: 2018.02.15 23:21

山西康司「#11フェラーリとのバトルはフェアだった」


2010 AUTOBACS SUPER GT 第8戦 MOTEGI GT 250km RACE

GT300クラス
86号車
JLOCランボルギーニRG-3
開催日程
2010年10月23日(土) 公式予選
2010年10月24日(日) 決勝レース

会場:ツインリンクもてぎ (栃木県芳賀郡)/ロードコース(4.801379 km)

天候:予選 晴れ/決勝 曇り
気温:-
路面温度:-
決勝レース:53周(4.8013 km)
観客:32,000人(主催者発表)

予選3位
決勝3位

チームJLOC  http://www.jloc-net.com/index.html
SUPERGT   http://supergt.net/jp/

終盤の激しいデッドヒートを制し、見事今シーズン初の3位表彰台!

土曜日
公式練習
 少し前に横浜タイヤのタイヤテストに参加していたので、そこからギヤ比やサスペンションを微調整してもらってこのレースに臨んだ。殆どのチームがハーフタンクくらいでスタートする中、決勝を意識しほぼ満タンの状態で走行した。タイムは想像以上に良くテスト時のベストと同じくらいでした。しかも前後ハード側のタイヤだった。

 僕としては既に54秒台確実という手応えだった。計測2周目のタイムで順位は6番手。実質トップタイムだった。こういう時こそ慎重になるべきだった。

公式予選1回目
 2人が基準タイムをクリアして、セットの方向を探るが車はいまいち、逆に何をしても跳ねたりエンジンマップがうまく合わないように感じて何が問題かわからなかった。気温が上昇したことやソフト側のタイヤでのフィーリングがイマイチ車に合っていなかったようだ。

 結局戻しながら確認して、少しタイヤに合わせたセッティングをして午後に備えた。決勝で無交換を考えたときには、ソフトの組み合わせが良くない、前後ハードの感触が非常に良かったのでそうしたいと提案したが、全てのタイヤ選択を済ました後だった。

ノックダウン予選
S1
関口選手がアタックし、まずますの感触。

S2
僕が走りアタック1周目のタイムでトップ10に残った。2周目で上げるはずが落ちてしまい、この問題をチームに伝えた。

S3
関口選手が走行し、赤旗解除後、1周に賭けて3番手となった。予選後にはフロントダンパーのトラブルが見つかった。第3戦からフロントに新しいダンパーにトライしていたが、狙い通りの成果が出ていなかった。元のダンパーに戻るだけなので、これは心配はなかった。

日曜日
フリー走行
 ムルシエラゴとの一番の違いは満タンの動き。今回は特にフロントがとても跳ねるのが問題だった。これを解決するためのセットを繰り返し妥協できるレベルまでにはなった。

 決勝はタイヤ交換しない事が前提だったので、オーバーにならないことが一番大事だった。サーキットサファリの時間に、アンダーにもなり過ぎないバランスをとれたところでセッションを終えた。

決勝
 スタートは関口選手。僕等は当初タイヤを無交換作戦か2輪交換と決めていた。一番有利なのはタイヤ交換せずに走りきる作戦、そして無理な場合にのみリヤを交換する予定だ。しかし、スタートしてからフロントタイヤがきついということで、急にフロントを交換することになってしまった。
 やめたほうが良いと助言したが、想像以上にフロントがきついという情報だった。どうしてもそれで走ってくれというので受け入れた。

 コースに出て行く時、PITリミッターが故障していたために、とても慎重に出て行った。最初の1コーナーでグリップはあったが、予想を超えるオーバーステアに戸惑った。周回遅れのエヴァンゲリオンに抜かれたときには追いかけるつもりだったが、最初の1~2周はスピンせずにコントロールするのがやっとで、このときはかなり混乱している状況だった。

 混乱の中、後ろからフェラーリがやってくるのを知った。フロントが少しずつ減ってバランスが取れてはいたが、予定よりも1秒遅いタイムで走るのが限界だと判った。

 そしてフェラーリとのバトルが始まった。予選でアタックしたタイヤで決勝最後まで走りきるわけでトラクションが無かったし、フェラーリはストレートは速かったから抑えるのは難しいだろうとは思った。最初に1コーナーでブレーキングから進入するときに、軽く接触された。

 途中、抑えるために仕方なく何度が軽く接触したがこれは後で先輩として謝った。僕としてはクリーンなレースをやったつもり。2台がリタイヤするようなことはなかったので、非常に面白いショーになったと思うし、そういう意味では11号車も表彰台に登る価値があると思う。いくら速くうまくても巻き添えにして両者リタイヤする人はいるから。

 表彰台を争い非常に緊迫した状況だったが超接近戦でとても楽しいレースだった。フェラーリチームはフェアで、そしてもちろん僕等チームも、両者共にプロフェッショナルなレースをしたと思います。

 僕等が予定通リのラップタイムで走れることが叶えば2位を争えたレースだったという意味では、4位に落ちたリスクを抱えたという意味でも、積み重ねたセッティングや、それらあらゆる努力が報われない可能性があった。これは明らかに作戦失敗だったと思っている。

 しかし8年間ランボルギーニで走ってきて一度もフロント2輪交換をしたことがなかったから。まさかという感じだ。事前にそこまで考えて、ミーティングをしておくべきだったと今は反省しています。

 ワークスのGT500で走っていた頃、もう10年以上前の話になるが、鈴鹿の大雨のレースで、殆どのチームが深溝のソフトで走行する中、浅溝のハードでレースしていることを知らされてなくて、路面の回復に賭けた作戦だったらしいが、そのレースでは何度もグリップ不足でコースアウトした。今回のそれは、フロントが新しいことを知っていたので、それでもそれよりかはずっとましだった。

 無線にも今回は励まされた。レース中の無線交信とは、ゴルフで言うと振りかぶってこれからというときに大声でしゃべられてるような状態で、それが原因でミスをしたのは1回や2回ではないので、あまり好きじゃなかったが、今回モニターに映っていたおかげでタイミングの良いときに無線が入り、それも力になった。昔F3のレースで、SCのタイミングを的確に伝えてもらいアドバンテージを得たレースがあったが、それ以来ぶりに、エンジニアの無線にとても感謝した。

 絶対に諦めずに抑えてくれという無線があり、それがなければ抑えるのをやめたかもしれなかったから。

 率直に言えば今までで最も良いレースをしたと思うレースではあまり反響がなく、今回は3位争いの拮抗した展開でモニターに沢山映っていたので反響が大きかったのだと思う。フェラーリ対ランボルギーニなんて好きじゃない人はいない(笑)

 レースは他のスポーツと比べても決して負けないプロスポーツだと思っている。モータースポーツの素晴しさを、僕等一人一人がプロとして伝えていくことが僕等世代の使命だと思います。

 JLOC代表の則竹さんの功績は素晴しいと思います。監督明嵐さんや、5ZIGENのスタッフ全員がとても頑張って、その努力の積み重ねがガイヤルドの初表彰台に結びついたのは間違いありません。ドライバーも含め試行錯誤を繰り返して、日々積み重ねてきたチーム全員の努力が、シリーズ最終戦になってようやく報われました。

 関口選手もシーズン後半は安定した走りを見せられるようになった。僕も精神的に成長した姿をお見せすることができたんじゃないかと思ってます。

 ご支援してくださったスポンサー様、そして応援してくださった全てのファンの方々には背中を押していただいたと思います。一年を通して、今シーズンサポートをいただきました皆様に心から感謝しております。応援ありがとうございました!!

富士スペシャルカップでも連続表彰台を目指して走ります!!
いや、優勝目指します!
応援お願い致します!!


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