ラリー/WRCニュース

投稿日: 2009.07.14 00:00
更新日: 2018.02.15 14:06

【キャロッセ】エボXでの緒戦、柳澤が3位でポディウムフィニッシュ!


FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権開幕戦:「ラリー北海道」
エボXでの緒戦、柳澤が3位でポディウムフィニッシュ!

2009年FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)第4戦及びアジアカップ開幕戦「ラリー北海道」(全日本ラリー選手権第5戦併催)が7月10-12日、北海道帯広市を拠点に開催された。CUSCO RACING からは、昨年に引き続き、柳澤宏至と炭山裕矢がアジアカップに登録、国際イベントでの緒戦を迎えた。柳澤のコ・ドライバーは昨年同様に中原祥雅が務め、炭山は新たに加勢直毅をパートナーに迎えることとなった。 新たにマシンを三菱ランサーエボリューションXにスイッチしたチームにとって、今季は大きな転機。参戦登録も、製品販売市場でのターゲットが舞台となるアジアカップに集中していく。6月には、前哨戦として全日本選手権イベントであるMSCC東京ラリーに参戦した両クルーは、万全の体制で北海道に乗り込んだ。

チームはスタート前の火曜日にテストを実施。この日は帯広でも30度を超える夏日となり、YOKOHAMA053もハードコンパウンドのテストしか行うことができなかったほどの暑さ。東京ラリーでは途中リタイアに終わったこともあってセッティング不足が懸念されていた柳澤だったが、このテストでは充分に走り込みを行い、足回り、ディファレンシャル、ドライバーのマシン慣熟と課題を順調に消化。順調に今季緒戦への準備を整えていった。

7月10日金曜日は、北愛国サービスパークでのセレモニアルスタートに続き、隣接のスーパーSSで1本を走行。翌土曜日から本格的なラリー競技が開始された。この日は、帯広から約100km北東にある陸別を中心に、ダートコースでのショートステージの他、林道でのロングステージを走る。イベント最長となるKUNNEYWA(28.75km)を3回使用するタフな設定をこなし、帯広に戻ってスーパーSSを2回走行して締めくくりとなる。この日の総ステージ走行距離は169.74kmと、WRCの1デイ分にもひけをとらない強烈な長さだ。総合では、APRC3連覇中のコディ・クロッカーと99年のAPRCチャンピオン・田口勝彦が、ベストタイムを取り合う接戦を展開。その中、柳澤は序盤、周囲とのタイムやマシンでの限界点を見極めながら、精一杯の攻めを見せる。全日本車とのタイムを比較しても、東京ラリーからかなりタイムアップを果たしており、早くも手応えが感じられる上々の滑り出しだ。

総合順位では随所で大きな動きがあり、SS3で、単発参戦の新井敏弘が、ボールジョイントが抜けるトラブルでリタイア。SS6でもAPRCのガウラフ・ジルが転倒して脱落すると、ここで柳澤が3位に浮上した。一方、足回りが決まらず調子が上がらなかった炭山は、3回目の使用で路面がひどく荒れたイベント最長ステージで、シフトチェンジの一瞬に路面の穴にマシンが落ち込むというタイミングの悪さから駆動系にトラブル、ここでリタイアとなった。ここでは田口もパンクしたまま7km走行して1分近くをロス。柳澤は、3位キープして初日を終了した。

デイ2は、足寄の牧場内ステージ、帯広北部近郊の音更周辺でのスペクテイターズステージなど、オープンなステージが多い。イベント最終は、帯広でのスーパーSS・4回目の走行だ。しかし、この日を3位で迎えた柳澤は、スタート時点で首位との差が2分、2位とも50秒近く差がついている。後続の4位にも1分以上引き離しており、残るステージ距離は60km。ポジションを堅守しつつ、次戦を踏まえたセッティングテストが2日目の課題となった。快晴・ドライコンディションとなったこの日、柳澤は、同じくエボXを駆るインドのガウラフ・ジルとタイムを比較しながら、セッティングを変えながらの走行。今季残るインドネシア、中国での参戦を視野に、マシンの熟成を図りながらポジション維持を果たし、見事3位ポディウム圏内でフィニッシュを迎えた。スーパーラリー規定の適用を受けて再スタートした炭山も、この日は順調にステージをクリアし、デイ2だけでの順位では7位に収め、今季残る2戦での飛躍に期待を高め、今季の緒戦を終えた。

CUSCO RACINGは、アジアカップ次戦の「マレーシア・ラリー」をスキップし、10月3-4日に開催される第6戦、「ラリー・インドネシア」に参戦する。

柳澤宏至
「実質上の今季緒戦となりましたが、3位とは言ってもタイムが離されているので、課題は残りました。とはいえ、慣れないマシンでの緒戦でいきなり3位に入ったという手応えがあったことも事実。この後、詳しく分析してみますが、上位との差はキロ当たり1秒周辺だと思うので、様々な点を見直して少しずつ差を詰めていき、それを積み重ねてこの差を縮めていくことが今後の課題ですね。今季残りのインドネシア、中国では、最短の方法でこのタイム差を詰めていきたいです。相手の背中は見えているので、今後に大きな期待を持つことのできる3位です」

炭山裕矢
「初日前半のロングステージでは足回りが決まらずに離されてしまったのですが、最後の方はペースアップして行くことができました。新しいマシンへのスイッチは、ベース車両自体の性格が違うので、大きくなったことで高速での安定感が増したという長所があれば、ナローの下りではその大きさがネックになるという短所もありますが、どのマシンにも長短はあるもの。変わったことによる違和感はありません。残りの2戦では、マシンの動かし方をさらに熟成させて、北海道でできなかった所を詰めていきつつ、周囲との比較を行っていきたいですね」


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