更新日: 2018.02.15 17:22
【クライスラー日本】 2010年北米国際モーターショー: クライスラーグループ LLC、パワートレイン戦略を抜本的に変更
2010年北米国際モーターショー: クライスラーグループ LLC、パワートレイン戦略を抜本的に変更
クライスラーグループ LLCでは、燃費改善に役立つ技術を採用することで、パワートレインのラインアップの改革を進めています。これにより当社全体の燃費は2010年から2014年の4年間で25% 以上向上することになります。
フィアットとの新たな提携の結果、当社の5ヶ年事業計画では、先進的な電気自動車戦略を含めた妥協の余地なきパワートレイン攻勢を進めることとなりました。
パオロ・フェレーロ クライスラーパワートレイン統括 シニア・ヴァイス・プレジデントは、「クライスラーグループでは、フィアットが持つマルチエア、直噴、ターボ、トランスミッションといったパワートレイン技術を当社のパワートレインに速やかに適用することにより、優位性を確保していきます。これにともない、グループの 現在のパワートレインラインアップは、2014年暦年までに80% 以上が変更となります」と述べました。
強みを補完しあう観点から、フィアット パワートレイン部門はディーゼルテクロノジーおよび小型ガソリンエンジン(1.8 L以下)のノウハウを結集するグローバルな中心拠点、またクライスラー パワートレイン部門は、大型ガソリンエンジンおよび電気自動車テクノロジーのノウハウを結集するグローバルな中心拠点となります。最大の目標は、パワートレインおよび車両に関するノウハウを融合し、活用することで、両社ともクラストップの燃費効率を達成することです。
新型4気筒エンジン
4気筒エンジンのラインアップについては、フィアット パワートレインのマルチエア搭載1.4 L 直列4 気筒FIRE(Fully Integrated Robotized Engine)エンジンの導入により拡大を図ります。1970年代初頭、組立工場の自動化は一般的なものではありませんでした。「FIRE」という言葉はフィアットが製造工場の生産工程にロボットによる自動化を採用したことから生まれました。現在では組立工程の機械化は広く普及していますが、FIREのブランド名はフィアットのパワートレインラインアップに当時からそのまま残っています。
1.4 L FIREエンジンには、自然吸気とターボの2つのタイプがあります。いずれも1気筒当たり4バルブを装備し、マルチエアと呼ばれるフリー可変バルブ機構(FVVA)を実現する最新の技術が採用されています。マルチエアは、燃費と出力を向上させながら、排出ガスを大幅に削減する高度な電子制御油圧式可変バルブ機構で、同等のエンジンと比較して出力を最大で10%、低回転トルクを最大で15% 向上させながら、燃費と排出ガスを最大で10% 低減します。このマルチエアシステムは、ハードウェアや燃焼制御に関してフィアット パワートレインが取得した一連の特許にもとづくもので、各シリンダー個別に、しかも1ストロークの間でバルブリフト量とバルブタイミングを自在に変化させることができます。なお、小型車によく適したこのマルチエア搭載1.4 L FIREエンジンは、フィアット500が北米初の搭載モデルとなります。
仕様:
マルチエア搭載1.4 L 直列4気筒 FIREエンジン
最高出力 100 hs (75 kW)/ 6,750 rpm
最大トルク 95 lb-ft(129 N・m)/ 4,250 rpm
マルチエア搭載1.4 L 直列 4気筒 FIREターボエンジン
最高出力 170 hs(128 kW)/ 6,750 rpm
最大トルク 170 lb-ft(231 N・m)/ 3,000 rpm
クライスラーのパワートレインには、以上に加え、マルチエア搭載 新型2.4 L直列4気筒 ワールドガソリンエンジン(WGE)が追加されます。この新型エンジンは、クライスラー パワートレインがフィアットのテクノロジーの統合を急ピッチで進めていることを示す好例となっています。クライスラー パワートレインの2.4 L WGEは、燃費と出力を改善するフィアットのマルチエアテクノロジーを搭載しており、先代のエンジンと比較すると、出力と低回転トルクが向上しながら、燃費と排出ガスは少なくなっています。なお、 このエンジンはターボタイプも今後の導入に向けて現在開発を進めています。
仕様:
マルチエア搭載2.4 L 直列4気筒 ワールドガソリンエンジン
最高出力 190 hs(142 kW)/ 6,000 rpm(推定)
最大トルク 175 lb-ft(237 N・m)/ 4,200 rpm(推定)
新開発V6ペンタスターエンジン
クライスラー パワートレインでは、V型6気筒ガソリンエンジンのラインアップについても、現在の6基に代えて先進低燃費3.6 L V6ペンタスターエンジンを導入します。このエンジンは、2010年第2四半期に導入予定の新型 2011年モデル ジープ・グランドチェロキーが初めての搭載モデルとなります。クライスラーグループの新開発 ペンタスターV6は、滑らかな回転と低燃費、すぐれた性能を実現すべく厳選したさまざまな技術を統合したもので、クライスラー史上最も進んだ6気筒エンジンとなっています。燃費効率はクライスラーグループのこれまでのV6と比較して平均で最大8% 改善。また、最大値の90% に当たるトルクを1,800~6,400 rpmの広い回転域で発生します。この3.6 L V6ペンタスターエンジンを搭載する新型 2011年モデル ジープ・グランドチェロキーでは、先代に比べて最高出力は33%、トルクは11% 改善されます。なお、ペンタスターV6は今後の導入に向けて、マルチエア、直噴、ターボなどのテクノロジーを搭載できるよう設計されています。
仕様:
3.6 L V6ペンタスターエンジン
最高出力 280 hs(209 kW)/ 6,400 rpm
最大トルク 260 lb-ft(353 N・m)/ 4,400 rpm
新しいトランスミッションテクノロジー
クライスラー パワートレインでは2010年のミッドサイズ Dセグメント車を皮切りに、フィアットの6速乾式 デュアルクラッチトランスミッション(DDCT)をクライスラーグループの車に採用していきます。DDCTは、性能を強化しながら、燃費効率を10% 改善するもので、エコノミーとスポーツの2つモードをなめらかに 切り替えることができるほか、許容トルクは最大260 lb-ft(350 N・m)となります。マニュアルトランスミッションとオートマチックトランスミッションの最大の長所を兼ね備え、ロックされたギア機械式動力伝達経路の高い効率を実現すると同時に、オートマチックトランスミッションのすぐれたドライバビリティと快適な 走りをお届けします。
電気自動車
クライスラーグループは2009年11月、エンジニアリング組織を変更し、クライスラー、フィアット両グループにとっての電気自動車の開発拠点となることを示しました。従来さまざまな電動開発グループに分散していた資源を主力のパワートレインおよび車両エンジニアリングに集中化したことは、クライスラーグループが研究開発の成果を自動車生産にどのように活用していこうとしているかをはっきりと物語るものとなっています。
クライスラーグループでは現在、5ヶ年計画の一環として、従来型ハイブリッドを採用したラム・1500の開発を進めており、2010年の導入を予定しています。また、米エネルギー省と共同でラム・1500 ピックアップトラックおよびミニバンのプラグインハイブリッドモデルによる小規模なテストフリートを構築する計画も継続しています。また、電気のみで走行する自動車については、ビジネスに役立つことに着目し、2011~2012年に向けて小型電気デリバリーバンを適切なビジネス用途向けに開発することを検討中です。
クライスラーグループでは、電気自動車のために多大な資源を割り当てており、この最先端技術分野に引き続き貢献していきます。