更新日: 2018.02.15 13:29
【ポルシェジャパン】ポルシェはライプツィヒ工場で新しい生産・物流システムを構築
ポルシェはライプツィヒ工場で新しい生産・物流システムを構築
最大限の生産性とともに製造されるパナメーラ
ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.ヴェンデリン・ヴィーデキング)は、2009年4月、ライプツィヒ工場でポルシェ第4のモデルレンジであるパナメーラの生産を開始しました。プレミアムスポーツカーメーカーであるポルシェは、この世界で最先端の自動車工場において最新の生産方法を採用し、SUVであるカイエンと4ドアのグランツーリスモであるパナメーラを同一のラインで組み立てます。同時にポルシェは、自動車業界では革新的な物流システムを構築することで、保管エリアをほぼ完全に撤廃してコストの低減に成功しました。ポルシェの取締役で生産物流部門の責任者であるミヒャエル・マハトは、ライプツィヒ工場でジャーナリストを前にして、「世界中の工場で、ここライプツィヒほど徹底的にリーン生産という原則が貫かれている工場はほかに存在しないと思います」と語っています。
総面積300ヘクタールにおよぶライプツィヒ工場では、生産効率を可能な限り高めるために、大がかりな建設工事が必要でした。ポルシェは約1億5,000万ユーロを投資し、床面積2万5,000平方メートルの新しいアッセンブリーホールに加え、物流センター、試作/解析センター、実習生研修のためのワークショップを建設しました。ポルシェ ライプツィヒGmbHの取締役会会長、ジークフリート・ビューローは、「ライプツィヒ工場とそこで生産されているカイエンは、申し分のないサクセスストーリーを歩んでいます。私達の工場の優秀なスタッフは極めてモチベーションが高く、卓越した品質を提供してくれます。ライプツィヒでパナメーラを生産するための要件は、これ以上ないほど整っているのです」と述べています。
パナメーラの生産にあたって、改善を迅速に実現する新しい物流システムが編み出されました。正確にスケジュールが組まれた工程表にすべての協力会社を組み込むことで、部品が頻繁、かつ生産ラインで使用されるちょうど1時間前に供給されることが可能になりました。このため、コストのかかる保管エリアはほとんど必要なくなり、自動車業界で世界的にもユニークな形態となりました。ポルシェの協力会社の多くはドイツ企業であるため、パナメーラのドイツ国内の付加価値比率は70 %に達します。マハトは、「パナメーラは会社の精神に完全に則った、高品質のあかしである“メイド・イン・ジャーマニー”の車なのです」と語っています。
ミヒャエル・マハトにとって、カイエンとパナメーラという2つの異なるタイプのモデルを1つの生産ラインで組み立てることは、「物流の離れ業」をやってのけることも意味しています。両モデルのエンジンは、すべてポルシェのツッフェンハウゼン本社工場からトラックでライプツィヒに運び込まれます。ボディは、カイエンの場合は最初から部分的に装備品を取り付けた状態でブラチスラバ工場から鉄道で運ばれ、パナメーラの場合はまずフォルクスワーゲンのハノーバー工場から鉄道で運び込まれたのち、ライプツィヒ工場の専用ラインで個別にインテリアが取り付けられます。そしてカイエンとパナメーラのボディが同じ製造工程に達した以降は、どちらのモデルにも数え切れないほどのカスタマイズオプションが存在するにもかかわらず、完成まで同じラインで組み立てられます。
2002年8月に操業開始したライプツィヒ工場の建設のため、ポルシェは1億2700万ユーロを投資し、リーンプロダクションという方針を徹底的に実現しました。その際にはツッフェンハウゼンで得られた経験が非常に役に立ちました。ポルシェはすでに1990年代の初め、会社を立て直すために日本の生産ラインを手本にして、メイン工場における生産体制の改革を成し遂げ、再び成功への道を歩み始めたからです。ポルシェはお客様からの高い要求と期待に応えるため、何よりもライプツィヒ周辺地域の専門スタッフを信頼し続けています。ポルシェ ライプツィヒGmbHでは現在、約600人のスタッフが働いています。2003~2006年には限定1,270台のスーパースポーツカー、カレラGTがライプツィヒ工場で手作業で生産されました。今年の初めには、25万台目のカイエンが生産ラインから送り出されています。SUVスポーツカーであるカイエンには、V型6気筒ディーゼルエンジン搭載モデルも加わり、現在7種類のバージョンがラインナップされています。ライプツィヒ工場には、そのほかにも非常に現代的なカスタマーセンターや、ドライブインおよびテストセクション、全長6kmのオフロードコースが備わっています。そして会社の敷地では、70頭の希少な野生の牛や馬の群れが「景観の管理人」としてのどかな生活を送っています。
ポルシェはライプツィヒの街でも名声を得ています。特に5年前にニコライ教会を支援した際には注目を浴びました。ポルシェが180万ユーロの寄付をしたことで、有名なラーデガスト オルガンを完全に修復することができたからです。ベルリンの壁の崩壊から20年が経過し、またカイエンの生産拠点としてライプツィヒ工場の建設を決定した時から10年が経過した今年、ポルシェとライプツィヒは、パナメーラによってサクセスストーリーに新たな章を付け加えようとしています。ミヒャエル・マハトは、「私達はライプツィヒに工場を建設したことを後悔したことは一度もありません。カイエンの成功が私達の正しさを証明しています。パナメーラもライプツィヒで生産しない手はないのです」と述べています。
パナメーラによって、ポルシェはラグジュアリークラスの購入者層に新たに訴求しようとしています。パナメーラの特徴は、ハイレベルな快適性、余裕あるスペース、そして低燃費ながら極めてスポーティな走行性能を備えている点にあり、ラグジュアリークラスにおいてまったく新しいコンセプトを打ち出しています。このグランツーリスモはドイツでは今年の9月12日に市場に導入され、当面は最高出力400 PSのV8自然吸気エンジンと、最高出力500 PSのV8ツインターボエンジンを搭載した3種類のバージョンがラインナップされる予定です。パナメーラの販売台数は、ライフサイクル全体で年平均約20,000台を見込んでいます。