【ARTA Project】野尻、決勝アクシデントに見舞われリタイヤ

野尻智紀　マカオGP　フォーミュラBMWパシフィックレースレポート
野尻、決勝アクシデントに見舞われリタイヤ

■11月19日（木曜日）フリー走行
結果：0周計測できず

　野尻は火曜日にマカオ入りし、水曜日にはコースを歩いて入念に下見した。マカオは公道レースのため、事前走行ができないからだ。野尻の出場するフォーミュラBMWパシフィックは、木曜日にフリー走行30分、土曜日に予選30分、日曜日の10周の決勝レースですべて。どのセッションも無駄にできないため、事前の下見や、車載ビデオなどでコースを覚えることが重要となる。前週に珠海サーキットにテストに来た時は20℃以上あった気温も、レースの週になると水曜日などは最高気温14℃とマカオとは思えない寒さに見舞われた。　木曜日の午後1時10分から予定されていたフリー走行は、若干遅れて開始された。ところが、コースインした野尻だったがピットロード出口から1コーナーを過ぎると、その先でマシンが止まってしまった。結局、この大事なフリー走行を1周もできずに終えてしまう。帰ってきたクルマをメカニックがチェックするとジェネレーターのトラブルだった。

■11月21日（土曜日）予選
結果：16番手　2分34秒157

　土曜日の予選は夕方4時半からであったが、この日の予選もスケジュールは遅れてスタートした。ジェネレーターを新品に交換し、休みの金曜日一日をかけて再チェックしたクルマは軽くセルモーターを回しただけでエンジンもかかり、野尻はコースインしていった。　初めてマカオのコースを走る野尻は、他の車が予選アタックをするなか、最初はゆっくりと確かめるようにコースを走る。計測1周目、2分51秒822で終えると、2分49秒589、2分42秒595、2分37秒094、2分34秒996と順調にタイムアップしていった。そして9周目に2分34秒157をマークすると、コースにも慣れたのか、今までの走りとは違う予選アタックを開始する。残り時間からするとあと2周できる計算だった。しかし、アタックに入った周のメルコヘアピンを過ぎたあたりで、またもや突然エンジンが止まってしまう。マシンをコース脇に止める野尻。原因は燃料ポンプだった。
　結局、コースに慣れたところで攻めきれずに予選16番手という不本意な予選順位となったが、マカオで初めてのセッションということを考えれば上出来のタイムだ。このタイムを木曜日のフリー走行に当てはめると9番手のタイムで決して悪くはなかった。本人曰く、「最後まで走れれば、あと3秒は縮められた」というのが本当なら、フリー走行のベストタイム2分31秒162に匹敵するタイムが出たことになる。

■11月22日（日曜日）決勝
結果：0周リタイヤ（アクシデント）

　決勝日は朝から晴れて、気温も上がってきた。フォーミュラBMWパシフィックの決勝レースは、午前9時10分スタートと早かったが、前日ほどの寒さではなく、陽射しが多少暖かかった。16番手からのスタートの野尻は、スタート良く、1コーナーを抜けると前のクルマのスリップに付いてマンダリンコーナーに入った。リスボアコーナーまでのストレートで横に並び、抜けると思いアクセルを踏み込んだ瞬間。マンダリンを立ち上がると、前方のクルマがアウト側のガードレールにぶつかってストップ、野尻の前にいたクルマはそれを見て慌ててブレーキを踏む。加速しようとしていた野尻は堪らず前車に乗り上げてしまう。その後、後ろからきた数台のクルマもクラッシュし、コース一面にクルマと砕け散ったパーツが散乱する。このクラッシュでレースはセフティカーが入る。もちろん、野尻のクルマは走行不能で僅かにふたつのコーナーを抜けただけでリタイヤとなった。

●野尻智紀選手のコメント
「憧れのマカオのレースに出ることができましたが、トラブル続きで結果を出すことができませんでした。ただ、今回のマカオ参戦では多くのことを学ぶことができたと思います。予選でたった9周しかできませんでしたが、そのなかでコースを覚え、攻めきるということが少しわかったような気がします。予選は最初から、最後の1周だけアタックしようと、ピットサインで残り時間を出してもらいながら思っていました。アタックできれば、あと3秒くらいはタイムを縮められたと思っています。そうすれば7、8番手からスタートできたはずで、決勝レースでもクラッシュに巻き込まれなかったでしょう。コースも思ったほど難しくはなく、攻めていて楽しいと感じました。もし、またマカオに挑戦できることがあれば結果を出せる自信がつきました。今回の経験を来年以降のレースに活かせると信じています」