更新日: 2018.02.23 10:32
【Honda】伝統のインディ500でエリオ・カストロネベスがポール・トゥ・ウイン 武藤英紀は10位でフィニッシュ
伝統のインディ500でエリオ・カストロネベスがポール・トゥ・ウイン
武藤英紀は10位でフィニッシュ
2008年5月24日(日)
決勝
会場:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(全長2.5マイル)
天候:晴れときどき曇り
気温:26~29℃
1909年に完成し、建設100周年を迎えたインディアナポリス・モーター・スピードウェイにおいて93回を数えるインディ500が開催された。今年も伝統にのっとって2週末にわたる予選で、決勝へと進出する33人のドライバーが選ばれ、ポール・ポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(Team Penske)が決勝でも勝利を飾った。
カストロネベスはレース序盤に6番手まで下がったが、周回を重ねる中でポジションをばん回し、142周目にトップへと返り咲いた。そして、2位へと順位を上げてきたダン・ウェルドン(Panther Racing)に1秒9819という差をつけてチェッカー・フラッグを受けた。カストロネベスにとってインディ500における勝利はこれで3回目、Team Penskeにとっては15勝目となった。Panther Racingは2005年のインディ500ウイナー、ウェルドンを起用してインディ500を戦ったが、あと一歩で優勝に手が届かず、2年連続の2位。悔しさをにじませていた。3位はダニカ・パトリック(Andretti Green Racing)。彼女はインディ500における自己ベストである4位を更新し、女性ドライバーとしてインディ500史上初となる、トップ3入りを果たした。
全長2.5マイルのコースを超高速で走るインディ500は、気温の変化や風向きにも影響を受けるほどにデリケートで、マシンのコントロールには高度なテクニックが求められる。決勝レースは200周、500マイルの長丁場で、壁に囲まれたコースだけにドライバーには少しのミスも許されない。そのような状況下で、カストロネベスは順位を落としても全く慌てず、冷静な戦いぶりでレース終盤にトップに立ち、そこからは2位以下を突き放してゴールへと飛び込んだ。
ビクトリーラップを終えたカストロネベスは、メインストレートでマシンを降りるとグランドスタンド前のフェンスによじ登った。2002年以来となる彼のパフォーマンスにファンは熱狂していた。
インディ500に2回目の出場を果たした武藤英紀(Andretti Green Racing)は、予選16位で6列目イン側グリッドからスタート。予選までよりも暖かくなったコンディションでマシンのハンドリングが非常によく、50周までに10位までポジションを上げた。しかし、3回目のピットインをするタイミングがアクシデントと重なる不運があり、一時は18位まで順位を下げた。その後、4回目のピットストップでは作業を終える前にジャッキが降ろされてしまうミスが発生し、14位までばん回していた順位を20位までダウンさせてしまった。それでも武藤はモチベーションを高く保つよう心がけ、最後まで順位争いをしながら10位でのゴールを果たした。
コメント
エリオ・カストロネベス(優勝)
「信じられない。この涙が私の気持ちのすべてを表していると思う。Team Penskeは本当にすばらしいチームだ。このチームと、多くのスポンサーは、脱税疑惑で厳しい立場に置かれた私の無罪を信じ、サポートし続けてくれた。私に再び走るチャンスを、人生を与えてくれた。だからこそ、彼らのためにも今日勝てたことがうれしい。レース中には無線のトラブルがあり、ピットストップでギアがニュートラルに入ってしまう問題も出た。しかし、インディというのは本当に不思議な場所だ。我々のマシンはレース終盤に目覚ましいスピードを発揮するようになった。そして3度目の優勝を飾ることができた。本当に信じられない一日となった」
ダン・ウェルドン(2位)
「エリオ・カストロネベスをパスするまでの力が今日の我々にはなかったのだろう。しかし、非常に満足のいくレースだったと胸を張って言うことができる。自分もチームも、持っている力の100%を発揮して戦うことができたからだ。私のキャリアの中でも、これだけの戦いができたレースは決して多くはない。カストロネベスに勝負を挑むことはできなかったけれど、チームは今日の2位という結果を誇りに感じていいと思う。努力が足りなかったための2位だとは思わない。クルーたちはピットストップのたびにポジションを上げてくれた。我々はすばらしいレースを戦ったんだ」
ダニカ・パトリック(3位)
「レースを通してAndretti Green Racingのピットストップはすばらしかったわ。マシンの調子がレース終盤にとてもよくなっていたので、給油の必要もなく、思う存分に戦うことができると思い、私としては最後の35周がずっとグリーンで戦われることを期待していたの。残念ながらレースの終盤にイエローが出てしまったけれど、見ごたえのあるレースになっていたと思うし、ファンも私たちのバトルを思う存分に楽しんでくれたことでしょう。今日は本当に速かったエリオ・カストロネベスに『おめでとう』と言わなくてはならないわね」
武藤英紀(10位)
「カーブデイのセッティングから空力バランスを少し変えたマシンは、今日の暑いコンディションの下でとてもいいハンドリングになっていました。序盤からオーバーテイクをどんどん重ね、順位を上げていくことができました。しかし、ピットに入るタイミングでアクシデントが起きて順位を落とし、その後にもピットでのミスがあって、同じ相手を何度も抜いていかなければなりませんでした。今日の僕らのマシンは10位を争うものなどではなく、トップグループでの争いができるマシンでした。トップ3に入れるマシンになっていたと思います。そういうマシンがありながら、他のことがうまくかみ合わず、とても悔しい」
エリック・バークマン|HPD社長
「エリオ・カストロネベスが見事な戦いぶりで勝利を収めた。速いマシンを手にしている自信が、彼に落ち着きを与えていたのだと思う。トップを走ることは少なかったというのに、ピットストップを重ねる中でマシンをさらに向上させていったのだろう。彼は終盤に先頭に立つや、2位以下を突き放して逃げきった。バスケット・ボールの試合などと同じで、ゲームの最初から最後まで同じ緊張感を保つのは難しい。カストロネベスはレース終盤に持てる力を出しきることができた。だからこそ勝利を手にできたのだと思う。
Panther Racingは2年連続の2位。優勝を逃しはしたが、すばらしい成績だと思う。ダニカ・パトリックは実力をさらに伸ばしていると感じる。この1カ月を通して安定した速さを見せていた。彼女がまた優勝を飾る日は近いだろう。
100周年を迎えたインディアナポリス・スピードウェイで行われた今年のインディ500は、我々Hondaがエンジンの単独供給を行うようになって4年目である。そして、今年も我々はレース中にひとつのトラブルも出すことなく、伝統のレースを支えることができ、誇りに思う」