更新日: 2018.02.16 02:01
アウディ、超軽量テクノロジーをル・マンに投入
2011/04/25
アウディ、超軽量テクノロジーをルマンに投入
● ルマン24時間耐久レースまで、あとわずか7週間
● 全社を挙げて開発した超軽量テクノロジーが明らかに
● 革新技術を投入したAudi R18 TDIで、ルマンに参戦
<インゴルシュタット発、2011年4月21日>
今年のルマン24時間耐久レースへの出場にあたって、アウディが今後の中核技術として据えて開発を続けている超軽量テクノロジーが公開されました。6月11〜12日に開催されるルマン24時間耐久レースに出場する3台のAudi R18 TDIが、復活祭の週末にルマンで開催されるテストデイで、その姿を現し、アウディの軽量化技術の一端が初公開されました。
Audi Sport Team Joest(アウディ スポーツ チーム ヨースト)からエントリーする3台のAudi R18 TDIは、その主な素材にピュアカーボンファイバーを採用しています。昨年のルマン24時間優勝者のマシンに与えられる、栄光のゼッケン1番を付けた印象深いブラックのマシンは、これまでになく軽量かつ強固な構造となっており、今後、市販モデルを開発する上で重要な役割を果たすことが期待されています。
アウディモータースポーツの責任者、Dr.ウォルフガング ウルリッヒは「カーボンファイバーはボディ構造の軽量化に最適な素材です。我々は時間と手間を掛けてこの素材による超軽量化技術を開発し、ルマンでお披露目します。長年のモータースポーツ参戦の歴史の中で、軽量化技術は常に我々の課題でした。過去に我々が得てきた技術はもちろん、中でもR18 TDIの開発を通じて磨いてきた軽量化構造に関する技術は、走行性能の向上あるいは低燃費と低エミッションに貢献するという点で、将来、市販モデルを購入するお客様へご提供する技術となるのです」とコメントしています。
R18 TDIは、これまでアウディ全社が培ってきた軽量化技術が“超軽量”の段階にまで進化し、将来に向けて反映されることを示す絶好の存在です。「より軽量な車両はより低燃費なので、軽量化技術はルマンを闘う上で非常に重要なポイントとなるのです」とウルリッヒは言います。レースのレギュレーションが変更され、より低出力の小型エンジン(Audi R18 TDIの場合は540hp / 397kW)で出場しなければならない今年にとって、軽量化技術の必要性はより高くなっています。
一方、ルマンのLMP1クラスには最低重量900kgという規定がありますが、車両開発に当たってはこの数値を下回ることが目標とされました。これは、最低重量に合わせる為のバラストを適切に配置することで、より低重心かつ重量バランスの良いマシンに仕上げるためです。
「R18 TDI開発に当たっては、車両重量について非常に論理的な追求を続けてきました。シャシやボディに限らず、ギアボックスやエンジンに至るまで入念に軽量化を追求し、我々はあらゆる部分をグラム単位で軽量化してきたのです」と、Audi Sportの技術責任者、マルティン ミュールメイヤーは軽量化の重要性を強調します。
一体型のカーボンモノコックシャシは、その製造に極めて高度な製造技術を必要とします。しかし、それだけが、ルマン用車両に採用された革新的技術ではありません。ボディについても再設計を行い、その結果、初代と2代目で40kgもの軽量化を成し遂げています。「軽量ボディの製造は、非常にレベルの高い技術的挑戦でした」と、Audi Sportの技術プロジェクトリーダー、クリストファー レンケはコメントしています。
今年のR18 TDIに採用されているV6 TDIエンジンは、従来のV10 TDIエンジンに比べて重量が25%軽くなっています。「全体でサイズの小型化を進める一方で、新しい開発方針と、これまでにないコンセプトを導入しました」と、Audi Sportのエンジン開発部門責任者、ウルリッヒ バレツキーはコメントしています。
新開発の6速ギアボックスには、カーボンファイバー素材を多用しています。完全にLED化されたヘッドライトシステムも、通常のライトシステムには不可欠な冷却システムをも不要にし、軽量化に貢献しています。また、ギアシフト機構を圧縮空気式から電気式に変更したことで、R18 TDIでは圧縮空気装置が廃されました。コクピットに対して最適化されたエアフローシステムを実現し、コクピット内の空調環境を確保しています。
アウディモータースポーツの責任者、Dr.ウォルフガング ウルリッヒは「新型Audi R18 TDIには、数多くの革新的ソリューションが盛り込まれています。これらの新しい技術はレースのレギュレーションをクリアするために生み出されたものですが、その根底には、将来の市販車に役立たせるという側面も持っていました。それこそが、Audiがスポーツプロトタイプに力を注ぎ続ける理由なのです。そして今、ルマンにおいてAudiが超軽量技術を披露することは、いかにモータースポーツプロトタイプの開発と市販モデルの開発が手と手を取り合って進んでいるかを示すものです。私はこの“超(ウルトラ)”という言葉が、近い将来にクワトロやTDIの様に、Audiの技術を象徴する言葉として広がっていくと考えています」と、誇らしげにコメントしました。