ル・マン/WECニュース

投稿日: 2011.11.09 00:00
更新日: 2018.02.16 05:55

ニスモ社長「日産初の世界王座は素晴らしい結果」


ミハエル・クルム/ルーカス・ルアー組はドライバーズタイトルを獲得。
JRM Racingはチームズタイトルには届かず
―FIA GT1世界選手権第10戦アルゼンチンサンルイスサーキット)レースレポート―

11月6日(日) サンルイスサーキット(アルゼンチン)
 2011年FIA GT1世界選手権最終戦は、アルゼンチンのサンルイスで今年最後のレースとなる今戦チャンピオンシップレースの走行が行われました。しかし、オープニングラップで多重クラッシュが発生し、このアクシデントに巻き込まれたJRM Racingは、ここでチームズタイトルの可能性が消滅。最後の最後で悔しい幕切れを迎えることとなってしまいました。

 前日に行われた予選レースでGT1ドライバーズタイトルを確定させた#23 JRM Racing NISSAN GT-Rは、数々の成功を収めてきたこの一年に有終の美を飾る勝利を目指してグリッド2番手につきましたが、スタートドライバーを務めたルーカス・ルアー(ドイツ)のレースは、わずか数秒しか続くことはありませんでした。通常のラウンドでもよくあるように、スタート直後のロングストレート、ポジションを巡ってのせめぎ合いが展開されるなか、上位2台同士のタイヤがわずかに接触したことが5台を巻き込むアクシデントに発展。#21 JRM と、同じく日産勢である#21 Sumo Power GTもこの混乱の犠牲となってしまいました。

 一方、残る2台のGT-R勢、15番手からスタートした#22 JRMのリチャード・ウェストブルック(英国)と、4番手からスタートした#20 Sumo Power GTのエンリケ・ベルノルディ(ブラジル)は、このスタートの混乱から抜け出して、4位(#22 JRM)と12位(#20 Sumo Power GT)につけました。セーフティカーがコースから出たと同時にピットストップ時間が始まったため、この間、2台はこのポジションを維持することになりました。2台のピットワークは順調に進み、#22 JRMは2位、#20 Sumo Power GTは7位でコースに復帰しました。さらに#7 アストンマーチンがドライブスルーペナルティに入ったことで、2台はそれぞれの順位はさらにひとつ上がりました。

 #22 がこのまま首位でフィニッシュすれば、JRMがチームズ選手権タイトルを獲得できる計算となり、いい流れができていました。しかし、残り15分というところで、スタートでのアクシデントを再調査した審査委員会が、#7 ヤングドライバーのアストンマーチンと同じく#22もセーフティカー走行中にポジションを上げたと判断、#22にもドライブスルーペナルティが科せられてしまいました。

 この時点で#22のドライバーを務めていたピーター・ダンブレック(英国)がドライブスルーからコースに戻ったのは、アストンマーチンのすぐ後ろでした。ダンブレックのGT-Rはハードに攻めて#7を抜くと、最終ラップで#40フォードGTも抜き、最終的に8位でフィニッシュしました。このレースで獲得したポイントの結果、JRMはチームズ選手権争いではヤングドライバーのすぐ上位につけましたが、首位入れ替えには一歩届きませんでした。

 レース後、#23 JRMのドライバー、ルーカス・ルアーは、チームズタイトルを逃したことに落胆を見せながらも、前日にGT1ドライバーズタイトルを獲得したことを取り上げて「2011年は4勝を収め、私たちにとっては素晴らしいシーズンとなりました。ことしはGT-Rに完璧にマッチしたコースもあったので、素晴らしいリザルトを収めることもできました。不利と言われていたコースでも、堅実なパフォーマンスを発揮することができ、このような素晴らしいマシンを与えてくれた日産には本当に感謝しています。そして、ミシュランと、JRMのメカニックたちにも、心から感謝しています。このうえなくうれしい思いですし、私たちが収めた成果を誇りに思います」と語りました。

 ルアーのチームメイト、ミハエル・クルム(ドイツ)も「気持ちとしては、浮き沈みの激しいシーズンでした。私たちにとって本当に大きな意味を持つツーリスト杯が懸かっていたシルバーストンのチャンピオンシップレースは一番重要なレースでしたし、ポールリカールでダブル優勝を収めて選手権首位に立ったのは最高にうれしい瞬間でした。そして、その後は、前だけを向いて突き進んできました。ルーカス(ルアー)、JRM、そして日産には、すべてを感謝しています」と語りました。

 また世界チャンピオンとなった両ドライバーには、NISMO宮谷正一社長からもお祝いのメッセージが届き「サンルイスに出向くことはできませんでしたが、JRM RacingがNISSAN GT-RでFIA GT1世界選手権のドライバーズタイトルを獲得したという素晴らしいニュースが届き、本当にうれしく思います。ジェームズ・ラムゼイ、ナイジェル・ステップニー、マイケル(クルム)、ルーカス(ルアー)、そしてJRMのチームメンバー全員、そして我々NISMOからのサポートスタッフにも、心からの祝福を贈ります。まさにチーム一丸となっての努力の賜であり、JRMとのパートナーシップが、わずか2年という短い間に世界選手権タイトルという最終目標に結実したことを、とてもうれしく思います」と語りました。

「これは日産が獲得した初めての世界タイトルであり、私の記憶に間違いがなければ、NISSAN GT-Rは、サーキットレースの世界タイトルを獲得した初めての日本車となり、総体的に見ても素晴らしい成果です。また、GT1のほか、SUPER GT(GT500)、ILMC(LMP2)、LMS(LMP2)、ブランパン耐久シリーズ (GT4)と数々のタイトルを獲得し、ルマン24時間でもLMP2クラス優勝を遂げるなど、素晴らしい内容となったこの一年間、熱心な応援を続けてくださった世界各国の日産ファンのみなさまにも、心からのお礼を申し上げます」


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