ピレリ、マレーシアでの雨用タイヤ投入に準備

2011年　マレーシア・グランプリ
高温と多湿：ピレリ、最も過酷なコンディションに挑戦

2011年4月4日、ミラノ

■グランプリ概略：
オーストラリアではコース上で数多くのバトル、幅広いレース戦略が展開され、見事なF1デビューを果たしたピレリは今週、全く異なる挑戦となるマレーシアGPに臨みます。セパン・サーキットはシーズン中で最も暑く、そして間違いなく最も湿度の高いサーキットのひとつです。気温は約35度、湿度は80％にも達します。そして粗い路面、ヘビーブレーキング、長いストレートと様々な速度域のコーナーが連続するため、タイヤにとって厳しいサーキットです。

前回のオーストラリアGPと同様、今回のマレーシアGPにもプライムとしてハード、オプションとしてソフトのPZeroタイヤが投入されます。しかし多湿のマレーシアでは必ずと言って良いほどレース週末に雨に見舞われることになります。2009年には豪雨のためわずか31周でレースが赤旗中断となり、昨年も予選で多くのドライバーが突然の豪雨に足下をすくわれました。つまり、ピレリにとってはインターミディエイトタイヤと雨用ットタイヤが実戦で初めて使用される可能性が高いことを意味しています。

金曜日の2回のフリー走行には、各チームに2セットずつのドライタイヤが追加供給されます。これは将来的に使用される可能性のある試験的なハードコンパウンドのタイヤで、ピレリの哲学であるエンターテインメント性と最先端のテクノロジーを共存させて開発されたものです。土曜日以降に使用可能なタイヤセット数とは別に用意されます。

■ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター　ポール・ヘンベリーのコメント：
「オーストラリアでの初戦は本当にゾクゾクしましたが、マレーシアでは全く異なる状況に臨まねばならないことは分かっています。高温で、デグラデーションが大きなものになるのです。オーストラリアでは2回または3回のピットストップになるだろうと言い続けてきましたが、マレーシアでは3回から4回に増加するものと予想しています。そして、セパンでは雨が降るかどうかではなく、いつ降るかが問題だと言われるほどですから、今週末はピレリの雨天用タイヤの性能が非常に重要になるでしょう。どんな走りを見せてくれるのか、非常に楽しみにしています。また、フリー走行では各チームに2セットずつの評価用タイヤを供給します。我々は現状に立ち止まって満足しているつもりはないからです。各チームにはシーズン中のテストが認められていませんから、我々にとってもF1チームからのデータとフィードバックを得るための貴重な機会になりますし、各チームにとっても将来のタイヤがどんなものになるかという感触を掴むための良い機会となるでしょう」

■ドライバーのコメント：
ジェンソン・バトン（マクラーレン）：
「マレーシアでもオーストラリアと同じタイヤ、ハードとソフトになるけど、セパンは格段に暑いし、路面温度も高くて45度くらいまで上がるだろう。路面は非常に粗くて、特にとてもスムーズなアルバートパークと比べると大きな差がある。それにセパンではタイヤに高速域での安定性がとても求められるんだ。それらを踏まえると、タイヤにとっては少しトリッキーな週末になるだろう。デグラデーションは大きくなるだろうし、ピットストップも増えるはずだ。路面が粗いから、フロントタイヤもリアタイヤも厳しくなるだろう。摩耗と耐久性という意味では、全サーキットの中で真ん中くらいだと思うけどね」

■テクニカル・ノート：
・マレーシアの首都クアラルンプールの南に位置するセパン・サーキットは、1999年からF1を開催し、現在までカレンダーに残り続けている。
・全長5.543kmのサーキットで、8つの右コーナー、5つの左コーナーがある。決勝は56周、総距離310.408kmで争われる。
・マレーシアGPの最多勝利者はミハエル・シューマッハで、3勝している。ポールポジション獲得もシューマッハが5回で最多となっている。
・マレーシアGPで最もピットストップが多かったのは2004年で、56周のレースでドライバー1人あたり平均2.8回のピットストップが行なわれた。2009年は30周で赤旗終了となるまでに50回ものピットストップが行なわれた。

タイヤ選択：
Soft ／ Hard
Option ／ Prime

■マレーシアにおけるピレリ：
・シンガポールを拠点として、マレーシアでは30年以上前から販売されている。
・アジア・パシフィック・ラリー選手権ではモーター・イメージ・レーシング・チームにタイヤを供給し、マレーシア戦を2007年から09年まで制している。