ル・マン/WECニュース

投稿日: 2011.05.09 00:00
更新日: 2018.02.16 02:14

プジョー、ル・マン本番前のスパ1000kmで1-2を達成


インターコンチネンタル・ル・マン・カップ(ILMC)第2戦「1000Kmスパ-フランコルシャン」
ル・マン本番を前に、プジョーがワンツー・フィニッシュ

ル・マン24時間まであと1カ月、プジョーは6時間にわたる手に汗握る戦いを制し、スパ-フランコルシャンでワンツー・フィニッシュを飾りました。優勝はアレクサンダー・ウルツ、アンソニー・デイビッドソン、マルク・ヘネの乗る7号車、2位には48番グリッドスタートのフランク・モンタニー、ステファン・サラザン、ニコラ・ミナシアンの8号車が入りました。ル・マン本番へ向け、チーム・プジョー・トタルは一層力強く、前進しました。

スタートから魅せたプジョー
34,600人の観客が見守るなか始まった土曜のレース、プジョー908の3台は、はるか後方からのスタートとなりました。ところがレース開始早々3台は前へ飛び出します。7号車を駆るアレクサンダー・ウルツは12番グリッドからのスタートでしたが、何と1周目の最後には3位に浮上、9号車のセバスチャン・ブルデーも4位につけ、48番スタートだったフランク・モンタニーは1周で38台抜きという驚異の走りを見せました。

レース開始から30分、アレクサンダー・ウルツは2位に上がり、トップを走るアウディのロッテラーに肉薄、マシンがひしめく中で目の覚めるような追い抜きのテクニックを見せ、給油のための最初のピットイン直前にロッテラーをかわしました。
9号車ではセバスチャン・ブルデーが4位でペドロ・ラミーにバトンタッチ、8号車のフランク・モンタニーは5位という好成績でステファン・サラザンに交代しました。

先頭を行く3台のプジョー
レースは徐々に落ち着き、スタートから2時間半を過ぎると、安定性の光るプジョーは3台の908が上位3位を独占、力を見せつけます。アンソニー・デイビッドソン、ペドロ・ラミー、ステファン・サラザンは高速の走りをキープ、ライバルとの差を広げていきます。
プジョー7号車は次の給油でピットインするまで1位を守りました。マルク・ヘネそして再びアレクサンダー・ウルツ、と6時間の最後まで攻め続け、何の問題もなくレースを終えました。

その後ろでは、表彰台の残2席を巡り激しい競り合いが続きました。3回のパートを全て走りきったのはペドロ・ラミーだけでしたが、交代直前に大きなミスを犯し、プジョー8号車に2位を奪われてしまいます。ラミーから替わったシモン・パジュノーは終了30分前に右フロントハーフアクスル交換のためにピットインを余儀なくされます。結局、ブルデー、ラミー、パジュノーのチームは8位フィニッシュとなりましたが、レースの最速ラップを記録しました。

プジョー、スパ-フランコルシャンで5度目の優勝
6時間にわたる熱戦を終え、チーム・プジョー・トタルはワンツー・フィニッシュ。今年のル・マン本番へ向け、しっかりした手応えを得ることができました。これでプジョー車が、スパ-フランコルシャン1000Kmにて、 5年連続の優勝となりました。アレクサンダー・ウルツ、アンソニー・デイビッドソン、マルク・ヘネは新しいプジョー908で初勝利をあげたチームとして記録に残ることになります。「スパでの5連勝、プジョー908初勝利、ILMCの今シーズン初勝利。喜びが重なりました」と、プジョー・スポールのディレクター、オリビエ・ケネルは語っています。
「予選やテストはあくまでマシンの調整をする場であって、必ずしも好成績が出なくてもいいんだ。でもレースとなると象徴的な意味もありますからね。今日のレースは、まさに計画通りの走りが出来ました。安定性もあり、パフォーマンスも良く、燃料消費やタイヤの摩耗もしっかりコントロールできて、本命ではなかった今日のレースに勝つことができたよ。ただ、勝負はこれからだね」

ILMCでの2度目のワンツー・フィニッシュのおかげで、プジョーはマニュファクチャラーズ・ポイントでのリードを広げ、チーム順位もチーム・プジョー・トタルがトップを奪いました。
4番スタートとなったチーム・オレカ・マットミュットのプジョー908HDi FAPはニコラ・ラピエール、ロイック・デュバル、オリビエ・パニスのチームで10位に入りました。

テクニカル・ディレクター、ブルーノ・ファミン
「4月のル・マン24時間テストは私たちにとっては純粋な調整の機会で、ライバルのことは全く気にせず、計画に沿ってマシンと走りのチェックに終始しました。今回のフリー練習も同様です。スパのレースの位置付けはこれまでと同じく、ル・マン本番への準備。でも、レースとなると競争の意味合いも出てきます。いい結果を残さなくてはなりません。優勝できるかどうか確信はありませんでしたが、全力を出し切ったら、結果が自然とついてきました。ドライバー陣の素晴らしいパフォーマンスに感謝です。この結果はチームの自信になります。ただ、差も小さいことですし、気を引き締めていきます。ル・マンは厳しい戦いになることでしょう」

アレクサンダー・ウルツ、プジョー908 7号車
「最初の走りからとてもよかった。マシンのパフォーマンスが抜群だとすぐにわかったよ。最速で走ったとわかったときは力が湧いたね。タイヤのことは気にかけつつ、ライバルにプレッシャーをかけ、トップに躍り出ることができた。それからはすべてが完璧だった。ル・マン24時間に向かって、とても大きな勝利だ」

アンソニー・デイビッドソン、プジョー908 7号車
「ウルツのタイムを見て、このマシンならいける、と確信した。とても気持ちよく運転できたし、コースとの相性も抜群だった。メカニックから100%プッシュしていけって言われて、そうしたよ。戦略もすばらしく、何の問題も起こらなかった。ル・マン24時間に向けて、すばらしい結果が出た」

マルク・ヘネ、プジョー908 7号車
「今回のレースの大きな収穫は、ル・マン24時間がとても厳しい戦いになるだろうとわかったこと。過去5年間で一番激しいレースになるんじゃないかな。今日の結果はすばらしいけど、スパとル・マンは全くの別物だからね。でも、僕たちのマシンがいかに速くて、安定性があるか、今日のレースで示すことができた」

フランク・モンタニー、プジョー908 8号車
「僕のところは大変だった。たくさんのマシンを抜かなくてはならなかったからね。混雑していたから、他のメンバーみたいに一定のペースで走ることはできなかった。それにタイヤもずいぶんすり減ってしまって、最後のころはバランスが悪かった」

ステファン・サラザン、プジョー908 8号車
「担当した2回の出来に満足している。マシンのバランスもよく、安定していた。セーフティーカーの性で40秒ほどロスしたけど、結局、ロスした分はほとんど走りで取り戻せた。この1週間、マシンにはいろいろ変更を加えた。今回の結果で、ル・マン本番へ向けて、気持ちがいよいよ高まってきたよ」

ニコラ・ミナシアン、プジョー908 8号車
「みんなそれぞれに少し違ったセットアップだったけど、タイヤをとてもうまく長持ちさせることができた。ル・マン24時間に向けて貴重な情報を収集したね。予選は大変だったけど、ちゃんとトップに戻ってきた」

セバスチャン・ブルデー、プジョー908 9号車
「レースが始まったら、どんどん抜いていこうと思っていた。でも、ライバルたちと互角のレースができたのはうれしい驚きだ。ソフトタイヤでスタートしたから、同じタイヤで2回の担当をこなすには慎重にならざるをえなかった」

ペドロ・ラミー、プジョー908 9号車
「コース上はマシンで混み合っていたので、前が空いた時にはリスクを犯しても思い切りプッシュしていったよ。でも、僕はそれをやって失敗した。表彰台独占が見えていただけに本当に残念だ。ル・マン本番に向けていい練習になった。失敗から学んで、問題点を強みに変えていかないといけない」

シモン・パジュノー、プジョー908 9号車
「表彰台に上るために必死だった。行けそうだと思ったけど、テクニカルな問題があった。運が悪かったね。レースの最後に最速ラップタイムを叩き出したことでもわかるように、マシンの調子は本当によかった。それだけに残念だ。ル・マンへ向けて、手応えをつかんだよ」

【最終結果】
1位 Peugeot 908 HDi FAP 7号車(デイビッドソン/ヘネ/ウルツ) 161周 6時間2分3秒799
2位 Peugeot 908 HDi FAP 8号車 (ブルデー/ラミー/ミナシアン) +42分965
3位 Audi R18 TDI, (Capello, McNish, Kristensen) +1周
4位 Audi R18 TDI, (Dumas, Bernhard, Rockenfeller) +2周
5位 Audi R18 TDI, (Fassler, Lotterer, Treluyer) +3周


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