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投稿日: 2011.06.20 00:00
更新日: 2018.02.23 12:25

琢磨「だんだんマシンのバランスが崩れていった」


ダリオ・フランキッティがシーズン3勝目を挙げ、シリーズポイントでトップタイに
佐藤琢磨はピットでのアクシデントを乗り越えて8位フィニッシュ

1903年に初めてのレースを開催した、歴史のあるサーキットであるザ・ミルウォーキー・マイルでのレースは、雨の心配もあったが曇り空の下でスタートし、225周の激しい戦いが繰り広げられました。
フラットな1マイル・オーバルでのバトルは、目まぐるしく順位の変動するエキサイティングなものとなりました。レース序盤はポールポジションからスタートしたダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)が独走しましたが、予選4番手だったトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)がペースを上げ、116周目に彼からトップを奪いました。さらに、167周目のピットストップでエリオ・カストロネベス(Team Penske)が目覚しい速さでのピット作業により3番手からトップへと躍進。レース中盤過ぎからフランキッティのマシンはハンドリングが微妙にくるい始めており、3番手まで順位を下げました。
しかし、カナーンは195周目のターン4でスピンし、クラッシュでレースを終えました。カストロネベスもタイヤのパンクによってピットインを余儀なくされ、優勝戦線から脱落しました。

ライバル勢のミスや不運に助けられてレースリーダーの座へと復活し、レース序盤の圧倒的な速さを取り戻したフランキッティは、終盤では他を寄せつけることなくシーズン3勝目のゴールへと悠々と飛び込みました。この勝利はフランキッティにとってインディカー・シリーズにおける29勝目で、リック・メアーズに並ぶ歴代9位タイの勝利数となりました。また、ポールポジションと最多リードラップの両ボーナスも合わせた53ポイントを獲得したことにより、フランキッティはポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)とシリーズ・ポイント271点の同点で並ぶことにもなりました。
2位には12番手スタートのグラハム・レイホール(Chip Ganassi Racing)、3位は10番手だったオリオール・セルビア(Newman Haas Racing)がそれぞれ入りました。

佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は、レース序盤で予選順位と同じ5番手を走っていたものの、タイヤの消耗が激しかったことが影響し、順位を落としてしまいました。その上、1回目のピットストップでスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)と接触するアクシデントのためにタイムをロスし、さらにペナルティも科せられたため、1周の周回遅れまで後退しました。しかし、フルコースコーションが2回続けて出され、そのうちの1回目でピットストップを行わない作戦を遂行したことで、佐藤はトップと同一周回へと戻ることに成功しました。マシンのハンドリングはレースを通じて万全ではなかったものの、リードラップに戻ってからの激しいバトルを戦い抜いたことにより、最後はカストロネベスのアタックをしのぎきって8位まで順位をばん回してのゴールを迎えました。

コメント
ダリオ・フランキッティ(優勝)
「路面の変化を常に察知しながら、すべてのラップを全力で走っていました。マシンのハンドリングが変わっていく中で、どのような調整をすればマシンのバランスが取れるのか、その判断がとても難しいレースでした。ミルウォーキーで勝つことは大きな喜びです。トニー・カナーンとのバトルは最高にエキサイティングでした。私が使ったHondaインディV8は、インディ500とテキサスでの2レースを戦ったもので、その走行距離は1475マイルにも達しましたが、ゴールの瞬間も快調そのものでした。今日の優勝によってシリーズポイントでトップタイになれました。今後も勝ち続けていきたいですね」

グラハム・レイホール(2位)
「今シーズン3回目の表彰台に上ることができ、とてもうれしいです。最後のリスタートからはダリオ・フランキッティにチャレンジするつもりでしたが、残念ながら彼のペースにはついていくことができませんでした。それでも、こうして上位フィニッシュを重ねていくことが今の自分たちには必要だと思っています。今年の私たちの目標はランキングのトップ5に入ることです。今日のようなレースを今後も重ねていくことができれば、勝利を挙げられる日は必ず来ると思います。予選でのパフォーマンス・アップが重要な課題なので、そこに今後は取り組んでいきたいと考えています」

オリオール・セルビア(3位)
「ピットストップで4番手から12番手へと大きくポジションを落とした時には、もうばん回は難しいと考えていました。しかし、リスタートで何台かをパスすることができ、表彰台に手を届かせることができました。予選ではコーナーでアウト寄りのラインを走る方が速かったのですが、レースではイン側を走れるマシンが有利でした。今日、Newman Haas Racingは私が3位に入賞しただけでなく、ルーキーのジェイムズ・ヒンチクリフが冷静な戦いぶりをみせて6位となりました。今後も上位でのフィニッシュを重ねられるよう、チーム一丸となって全力を注ぎ込んでいきます」

佐藤琢磨(8位)
「厳しく、長いレースでした。スタート直後はいいペースで走れていたのですが、だんだんマシンのバランスが崩れていき、速いペースを保つことができませんでした。非常に混雑していたピットストップでは自分のピットに入るところで他のマシンと接触してしまい、レース再開後にピットをドライブスルーするペナルティを科せられてしまいました。そのせいで1周の周回遅れとなりましたが、フルコースコーションが2回続けて出されたことを上手に利用してリードラップへの復活を果たしました。そして、トップ10までポジションをばん回することもできました。チームのクルーたちに感謝します。彼らの仕事がすばらしかったからこそ、初めてのミルウォーキーのレースで多くのよい経験を積むことができました」

ロジャー・グリフィス|HPDテクニカル・ディレクター
「ミルウォーキーならではのすばらしいバトルでした。ダリオ・フランキッティとChip Ganassi Racingを祝福したいと思います。彼らは少々ラッキーな部分もありましたが、最後まで確かな戦いぶりを貫き通したのが彼らでした。グラハム・レイホールもかしこい戦いぶりで2位フィニッシュを達成しました。シーズン前半は結果が出せませんでしたが、ここへきてレイホールは安定感を手に入れつつあります。KV Racing Technology-Lotusは、予選から見事なパフォーマンスを見せ続け、レースでも上位を走り続けましたが、トニー・カナーンとE.J.ヴィソはアクシデントを起こしてしまいました。非常に残念な結果となりましたが、彼らが力をつけて来ていることは間違いありません。今後のレースに期待をしたいと思います。ミルウォーキーと同じような激しいバトルが繰り広げられるショートオーバルでのレースは、今年からスケジュールに加わったニュー・ハンプシャーでも見ることができるでしょう」


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