更新日: 2018.02.23 16:30
琢磨「僕たちにはもう少し良い週末が必要」
狂い始めた歯車
第4戦 バーバー
2015年ベライゾン・インディカー・シリーズで好成績を収めたいと期待する佐藤琢磨の望みは、4月の週末に3週連続で行われた3レースを終えても、まだかなえられていない。その最後を締め括る格好になったのが、絵に描いたように美しいアラバマ州のバーバー・モータースポーツ・パークでの1戦だった。
AJフォイト・レーシングのダラーラ・ホンダに乗る琢磨はリードラップでレースを走りきったものの、思わぬ接触や予想もしないタイア・デグラデーションなど様々な出来事が起きた結果、不本意な17位でフィニッシュすることとなった。
週末の滑り出しはむしろ明るい期待が抱けるもので、最初のプラクティスでは、湿っていた路面が乾き始めるまで琢磨はタイムチャートのトップを守り続けていた。
「とても勇気づけられました」と琢磨。
「コース上にはまだいくつも川が流れていたし、湿った部分も残っていました。それがどんどん乾いていったのは、誰にとっても同じことです。僕たちはずいぶん長い間、P1につけていましたが、残り10分でコースが乾いてくると、他のドライバーたちがようやく速くなり始めます。この頃、僕たちには少し問題が起きていて、順位を落とすことになりました」
それでも10番手というポジションは納得のいくものだったが、2回目のプラクティスではさらに順位を落とすことになる。「とにかくスピードが足りませんでした。僕たちは、シーズン前に行われたオープンテストではコンペティティブで、このときのセットアップをベースに、シーズン序盤のレースで得たアイデアを盛り込んだセットアップに仕立ててバーバーにやってきました。僕たちはマシーンを改良しようとしましたが、うまくいきませんでした。グリップの点でもバランスの点でも僕たちは苦しみ始めていたのです」
バーバー戦は2日間での開催となるため、フォイト・チームは思い切った対策を施して予選に臨むことを決めた。
「たった2日間しかないので、時間はとても限られていました。そのなかで、いったい何ができるというのでしょうか? とても難しい状況でしたが、きっとうまくいくだろうと期待してマシーンを調整し、予選に挑みました。ただし、2回目のプラクティスが終わった段階で、僕たちは予選の第2セグメントに進むのは難しいと判断していました。しかも、このコースはオーバーテイクが非常に難しいので、予選が極めて重要になることは明らかでした」
「通常、予選最初の走行にはブラックタイアを使用してマシーンやブレーキをウォームアップし、アタックに備えて感触を掴むことになりますが、僕たちは最初から全力でいかなければいけない状況でした。僕たちふたり——僕とジャック・ホークスワース——はマシーンのポテンシャルを余すところなく引き出さなければいけなかったので、柔らかめのレッドタイアを2セット投入することを決めました。この場合、第2セグメントでは使い古したレッドタイアを使用することになりますが、まずはトップ12に進むことが先決でした。僕は予選で2セットのレッドタイアを使ったことはこれまでありませんでしたが、それでも僕たちは19位と20位に終わってしまったのです」
ギャンブルは失敗に終わり、琢磨もホークスワースも予選グループの10番手に沈み込んだため、トップ6のみが進出できる第2セグメントに駒を進めることはできなかった。しかも、琢磨が属した予選グループのほうがほんの少し速かったので、琢磨はチームメイトの隣にあたる20番グリッドからレースに挑むことになった。