更新日: 2018.02.23 16:43
琢磨「燃料トラブルで、速さを発揮できなかった」
不満の残るトップ10フィニッシュ
第10戦トロント
オンタリオ市で佐藤琢磨がこれまで残してきた成績に比べれば、10位フィニッシュは決して悪い結果とはいえない。けれども、琢磨とNo.14 AJフォイト・レーシング・ダラーラ・ホンダがこの日、見せたスピードを考えると、この成績は残念なものだったと言わざるを得ない。
琢磨は一時4番手まで浮上し、その時点で誰よりも速いペースで周回していたが、ライバルチームの巧妙なレース戦略やフィニッシュ間際に起きた給油関連のトラブルにより、デトロイトでの2位に続く好成績を収めるチャンスを逃したのである。
「本当に一生懸命頑張りました」と琢磨。
「10位フィニッシュという結果には、僕たちの奮闘振りが反映されていないと思います。僕たちは本当にコンペティティブに戦っていたのです」
最初のプラクティスは13番手に終わったものの、今回も琢磨は滑り出しから好調だった。
「なかなかいい状況でした。プラクティスはちょい濡れのコンディションで始まりましたが、僕はとてもコンペティティブでした。路面が乾くにつれて誰もが速くなっていきましたが、いずれにしてもいい幕開けでした」 2回目のプラクティスは大雨となったが、翌日以降は好天に恵まれるとの予報だったため、このセッションでは誰も走行を行わなかった。
この結果、予選前に走行できる時間は減り、土曜日のプラクティス1回を残すのみとなった。
「僕たちはもう少し別のセットアップを試すことにしましたが、決していい結果は得られませんでした。トロントのコースはとてもトリッキーです。このコースがどこよりもバンピーだというだけでなく、アスファルトからコンクリートパッチへと、ひとつのコーナーで3回舗装が変わることがあるからです。コンクリートに前輪が乗るとフロントのグリップが失われてアンダーステアになり、続いてクルマ全体がスライドし、その後フロントがアスファルトに戻ってもまだリアがコンクリート上に残っているためにひどいオーバーステアとなります。したがって、どんなセットアップを選んでもアンダーステアとオーバーステアに悩まされるわけですが、でもそれらを最小限に抑え、不必要に忙しいドライビングにならなくて済むようにもできるのです」
しかし、土曜日の午前中になってもNo.14のマシーンは好ましい状態にならなかったため、予選に備えてオリジナルをベースにしたセットアップに戻すことを琢磨は決意する。ここで琢磨は自分のグループで4番手となって易々と第2セグメント進出を決めたものの、ほんのわずかな差でファイアストン・ファスト6への進出を逃し、8番グリッドからのスタートが決まる。
「第1セグメントには、いつもどおり始めは誰もが硬めのブラックタイアで臨みました。そして、まさにレッドタイアに履き替えてアタックを始めようとしたそのとき、赤旗が提示されました。そこで僕たちは第2セグメントで2セットのレッドタイアを使うことを決めます。自分たちの純粋なスピードを考えれば、ポールポジションの獲得はあまり現実的とはいえません。けれども、ファイアストン・ファスト6にはなんとか進出したいと思っていました。最初の走行ではレッドタイアの感触を掴んで、2回目の走行ではフルアタックを行い、かなりタイムを更新できました。その時点で、僕は全体の5番手だったので、ファイアストン・ファスト6に進出できそうな状況でしたが、最後のラップで3台が僕のタイムを上回り、わずか500分の1秒差でチャンスを逃しました。これがモータースポーツというものですが、それにしても悔しかったです」
「けれども、8番手でホンダ最高位というポジションは勇気づけられる結果で、僕にとってはトロントの予選でのベストリザルトとなりました」