更新日: 2018.02.15 23:33
BMWがプラグイン・ハイブリッド搭載スポーツカーを量産
ビジョンが現実に:BMWがプラグイン・ハイブリッド・テクノロジー搭載スポーツ・カーの量産化を発表
ミュンヘン/ライプツィヒ発:
2009年開催のフランクフルト・モーターショー(IAA 2009)にて多くの注目を集めながら「BMW Vision EfficientDynamics(ビジョン・エフィシエントダイナミクス)がデビューした。
このスポーツ・カーはBMW ActiveHybridテクノロジーをベースに、カリスマ性あふれるデザインを取り入れ、感動を呼ぶ走行性能と未踏の効率性を実現したモデルである。コンセプト・スタディながら、量産コンポーネント、および量産化間近のコンポーネントを多数採用したこのモデルはアンヴェールと同時に絶大な反響を呼んだ。そして今、多くの人たちが待ち望むBMW Vision EfficientDynamicsの路上走行が実現に向けて大きく前進した。今回BMWは、ライプツィヒの見本市会場にて、スタディ・モデルのBMW Vision EfficientDynamicsをベースに開発された、実走行可能なプロトタイプを発表。発表会では、ハイブリッド・システムを搭載した2+2シーターの革新的な走りを体験できる機会がメディア代表者のために用意された。
コンセプト・スタディのBMW Vision EfficientDynamicsは、未来の「駆けぬける歓び」を体現する車両である。IAA 2009でワールド・プレミアムを飾った後、この車両は未来的なデザインと先進的な駆動技術によりいくつもの賞を受賞した。全高わずか1.24mの2+2シーターは、BMW特有のフォルムを受け継ぎつつ、美観と運動性能を追求している。ガル・ウイング・ドアにより、前席/後席ともに乗降時の快適性を確保するだけでなく、エアロダイナミクスに関して工夫を凝らした結果、空気抵抗係数をCd=0.22に抑え込むことに成功した。フロント・アクスルに3気筒ターボ・ディーゼルとハイブリッド同期モーター、リヤ・アクスルにフルハイブリッド・ドライブ・システムを装備し、システム出力は241kW[328ps]に達する。最新のBMW ActiveHybridテクノロジーにより、走行性能は標準的なスポーツ・カーと比べてもまったく遜色がない。0-100km/h加速はわずか4.8秒、EUテスト・サイクル(KV01)による平均燃費は100kmあたり3.76リッターで、CO2排出量は99g/kmにしかならない(EU-PHEV ECE-R101テスト・サイクルで計測した場合、燃費が1.3リッター/100km、CO2排出量は33g/kmとなる)。
比類のない運動性能と効率性の両立には、いずれも高い効率を誇るドライブ・コンポーネント類、3台のエンジン/モーターのパワーの精緻な結合、ブレーキ・エネルギー回生システムを含む精密なエネルギー・マネージメントが寄与している。さらに特筆に値するのは、スタディ・モデルのBMW Vision EfficientDynamicsはプラグイン・ハイブリッド車である、という点である。
車両の中央に縦位置に配置したシャシー・エレメントには、このハイブリッド・スポーツ・カー専用に開発されたリチウム・ポリマー・バッテリーが格納されている。このバッテリーは、家庭の電源コンセントを使用した場合、2時間半で充電が完了する。電気エネルギーのみを使用し、ゼロ・エミッション走行した場合の航続距離は約50km、また、容量25リッターの燃料タンクにディーゼル燃料を満タンにした場合、行動半径は700kmに広がる。
プラグイン・ハイブリッド・テクノロジー搭載のスポーツ・カー量産の開発に従事することで、BMWは、運動性能と環境性能を兼ね備えた、究極のドライビングを提供するプレミアム・メーカーにおけるグローバル・リーダーとしての地位を一段と確かなものにしようとしている。現在、すべてのBMWモデルには、燃費向上とCO2排出量引き下げに寄与する技術が標準搭載されている。そのための技術革新の根底をなすコンセプトこそBMW EfficientDynamicsであり、ハイブリッド技術のBMW ActiveHybridと電動ドライブ・システムもこの開発戦略に沿って設計されている。BMWの量産型ハイブリッド車としては、すでにBMW ActiveHybrid 7とBMW ActiveHybrid X6の2モデルがデビューを果たしていて、ともに内燃エンジンと電気モーターのコンビネーションが、BMWブランド独自の運動性能を一段と効率的に高めることに成功している。
電気自動車に関しては現在、MINI Eによる大規模な実証実験が実施されている段階で、BMW ActiveEについても近日、日常的な交通条件下での走行テストが開始される。さらに2013年、BMWグループは、電気エネルギーだけで走るモデル「メガシティー・ビークル(MCV)」の生産をライプツィヒ工場で開始する。
今回、ライプツィヒ工場の拡張に時期を合わせて発表したプロトタイプは、BMW ActiveHybrid駆動コンセプトの一貫した進化の証を示すものだが、それだけにとどまらない。この車両には、BMW EfficientDynamics用に細部まで定義された車両コンセプトが、全て盛り込まれている。即ちこれは、BMWグループの開発力の高さをはっきりと物語っている一例である。未来志向のモビリティとBMWが提供する駆けぬける歓びの一体化がもたらす明るい展望、それを具体的に示す良い例がメガシティー・ビークルであり、BMW Vision EfficientDynamicsをベースとするスポーツ・カーである。