更新日: 2018.02.16 08:51
GSR初音ミクBMW、今季初V「決勝はベストレース」
2012 AUTOBACKS SUPER GT
ROUND2 FUJI SPEED WAY
#0 DRIVER谷口信輝 片岡龍也
#4 DRIVER番場琢 佐々木雅弘
0号車今季初勝利
4号車11位完走
2012年GW後半5月3日・5月4日の2日間、2012 AUTOBACKS SUPER GT第二戦『FUJI GT 500km RACE』 が静岡県のFUJI INTERNATIONALSPEEDWAYにて開催された。今回の第二戦のレース距離は500km。予選は今シーズン初のSUPER LAP方式で行われた。
0号車は谷口信輝・片岡龍也がドライブ、4号車は番場琢・佐々木雅弘がドライブする。
5月3日(木)練習走行・予選
練習走行
初日の天候は前戦岡山に続き雨。ウェットコンディションの下、午前の練習走行からプログラムはスタートした。練習走行は全車深溝タイヤでのスタート。チームのセッションはまず4号車からコースインし、マシンのシステムチェックを行う。続いて0号車もコースイン。4号車同様システムチェックから練習走行のメニューをスタートする。練習走行のメニューを消化し、順調にセッションが進み始めたかと思われた4号車の走行5周目、アクシデントが発生。300R立ち上がりでテールをスライドさせた4号車はコントロールを失い、そのままイン側のガードレールに接触。マシンは左フロント部分を破損し、ダンロップコーナーでストップした。この為、セッションは赤旗中断に。幸い、ドライバーの体へのダメージはなく、PITでは一同胸を撫で下ろす。4号車の車両回収が完了し、セッションは再開。その後度々赤旗中断が入るものの、0号車はトラブルなく予定されていたメニューをこなし、クラス6番手のタイムで練習走行セッションを終えた。
予選 Q1
ROUND2の予選はSUPER LAP方式。Q1の上位10台の車両がSUPER LAPへの進出を認められる。
0号車はBドライバーの片岡選手がQ1に出場。4号車は午前のクラッシュで予選への出場が出来ない。
Q1は13:00~13:15の15分間。Q1セッションは定刻どおりに開始された。午前のセッションでサスペンションのセットアップが決まった0号車は、アウトラップ直後の計測1周目で1'54"540をマーク。クラス6番手のタイムを記録する。0号車はその後も計測を継続するが、セッション開始直後にコース上へ出たOILの為にタイム更新はならず、Q1を6番手で終え、SUPER LAPへ進出した。
予選 Q2 SUPER LAP
Q1に続くSUPER LAPはQ1上位10台のマシンが1台ずつアタックを行いグリッドを決める予選方式。
アタック順はQ1の10番手からの走行となる為、0号車は5番目の走行を予定していたが、Q1 8番手の88号車がSUPER LAPへ出場せず、0号車は4番目のアタックとなった。0号車のSUPER LAPは谷口選手のドライブだ。
SUPER LAP開始時の天候は小雨。雨脚が弱まりはじめている為、走行順への影響が出ないかが懸念される。0号車アタック開始。セクター1は計測済み車両の中最速で通過。続くセクター2ではわずかに遅れるが、谷口選手はセクター3を手堅くまとめ、その時点で暫定TOPを確保する。が、300クラスのSUPER LAPのセッションが進むにつれ、路面状況もわずかながら改善。インターミディエイト装着が当たったマシンもあり、0号車は5番手のタイムで予選を終えた。
今回のラウンド2が開催された5月は、0号車の谷口選手・片岡選手の両Driverの誕生月。Kid's WALK後のPITではささやかな誕生パーティーがチームによって開かれた。
5月4日(木)決勝
天候:小雨のち曇りのち雨/気温:19度/路面温度:23度
コース:セミウェット&ドライのちセミウェット
0号車はフロントローのマシンにグリッド降格があった為4番グリッド。前日深夜まで及ぶ懸命の作業によって修復を終えた4号車は最後尾24番のダミーグリッドにつく。0号車のスタートドライバーは谷口選手。4号車は番場選手がスタートドライバーを務める。
決勝の観客動員数は57000人。レースに先立って行われたPIT WALK・グリッドウォークもいつもにまして盛況だ。最後尾、4号車のダミーグリッドもマシンの復活を祝う多数のファンで賑わっていた。
ク時から今にも雨粒を落としそうだった上空から遂に雨が落ち始める。グリッド上のマシンはいずれもスリックタイヤを装着。レースはセーフティーカー先導でスタートする事になった。14:00決勝スタート。マシンの隊列は路面コンディションを確認しながら走行を開始する。
レースは1周目から動いた。300クラスではコースコンディション的にスリック不利と断じた3台のマシンがまずPITへ向かう。0号車と4号車はコース上にステイ。谷口・番場両選手とPITとの交信が盛んに交わされる。次の周にタイヤ交換へ動いたのは谷口選手のDriveする0号車。同じタイミングで他のマシンも続々とPITへと戻るが、雨雲の動きを読んだチームはジャンプアップを狙い4号車をコース上にステイさせる。
この雨でレース序盤は混戦模様となる。次にチームのレースが動いたのは14周目だった。コースコンディションが改善し、他チームが次々にタイヤ交換へ向かう中、コースに残り浅溝タイヤでの走行を続けていた0号車は、ポジションを着実に上げこの周TOPでPITへ入る。タイヤ交換と給油をスムーズに行ったメカニックは片岡選手を8番手でコースに復帰させた。片岡選手はここから堅実な走りでポジションを次々に上げ、迎えた51周目、ついに0号車はTOPへと躍り出る。
一方、序盤の不利を覚悟の上スリックでコースへ残った4号車は5周目走行中500のマシン追突され、ポジションを22番手に落とす。マシンはリアに損傷を負うが、走行に支障はなくLAPを重ねる。4号車は42周目にポジションを7番手まで上げ、佐々木選手へとドライバーを交代。5周目のアクシデントでリア周りに受けたダメージの影響でPIT作業に手間取り、4号車は15番手でコースへ戻る。
TOPで迎えた58周目、0号車は最後のバトンを谷口選手へ渡すべくPITへ向かう。が、このルーティンのPIT作業直前、第二戦最大のアクシデントが発生。ホームストレートを走行中の15号車が突如マシンのバランスを崩し、PITレーン出口のガードレールに左側面をHIT。15号車は大破し、レースは再びセーフティーカーの先導となる。このタイミングで0号車は3番手でコースへ復帰。0号車の前を走る66号車・11号車はいずれもルーティンのPIT作業を残している。
63周目、セーフティーカーが戻りレースが再開。0号車は4番手、ほぼ同じタイミングでPIT作業を終えた43号車が5番手につける。300クラス事実上の1位・2位だ。0号車は燃費をセーブしつつLAPを重ねる。この時、4号車は11番手を走行。佐々木選手が最後のスティントを番場選手へと繋ぐべく力走。4号車は9番手までポジションを上げ、82周目に番場選手へとバトンを渡す。
燃費をコントロールしつつ、事実上TOPのポジションを守っていた0号車が43号車とのギャップを拡げ、そのままチェッカーを受けるかと思われた78周目、プリウスコーナーで500のマシンに押し出されポジションを5番手に落とす。この機を捉え0号車の前に出たのは最後のPIT作業を終えた43号車と2号車。ここから谷口選手は猛プッシュを開始。BEST LAPの更新を重ねる。前を行く事実上のライバルはTOPが43号車、2番手が2号車だ。
4号車が最後のPITを終え、12番手でコースへ復帰した83周目、レースは大きな動きを見せる。
0号車にとって天恵とも言える雨が再びコース上へ落ち始めた。
谷口選手がドライブする0号車はウェットに向かうコースコンディションの中、BEST LAPを再び更新。前を行く2号車とのギャップが見る間に詰まる。13コーナーでは雨のためにOILフラッグが掲示されている。残り周回も10周強となった92周目、0号車は1コーナーで2号車を捕らえ2番手に浮上。前方にはTOPの43号車が見えている。43号車と0号車のギャップは4秒弱。雨脚はますます強まる。95周目、0号車が300Rで遂に43号車をオーバーテイク。0号車はチェッカーまで後続とのギャップを拡げ、今期初勝利を手に入れた。4号車は番場選手がポジションを一つ上げ11番で完走した。
COMMENT
■鈴木康昭エントラント代表
初音ミクGTプロジェクトが始まってから5年間の中で、今日の決勝がベストレースだったと思います。天気もスタートからガラっとかわり、作戦の立て方、タイヤの選び方…等、非常に難しいレースでしたが、チームの総合力で勝ち取ったレースでした。本当に嬉しいです。
■大橋逸夫 総監督/0号車監督
非常に難しいコンディション下のレースでした。今回のように、雨が降ったり止んだりのレースコンディションでは、ドライバーの経験値が勝ち負けを左右します。(0号車について)ドライコンディションのレースであれば、5位くらいが妥当な結果だったかもしれません。それをひっくり返すだけの荒れた状況、ドライバーもミスしがちな状況、そういったところをチームの総合力で勝てたと思います。4号車については、正直ようやく完走できたレベル。まだまだですが、少しずつ両ドライバーもつかめてきているようなので次戦以降より良い結果を目指します。
■片山右京 スーパーバイザー / 4号車監督
第2戦が終わり、結果的には想定以上に良い結果を得る事ができました。今年のレギュレーションの中では1、2を争うくらいストレートスピードが遅いという、昨年とは正反対の状況でしたので、現実的には「表彰台に乗れれば最高」と考えていました。
(0号車について)
8号車にぶつけられ順位を落とした時には、とりあえずポイントを獲れる位置でのゴールになることも覚悟しましたが、雨というコンディションが良い方向へ働き、更に「レースはまだまだドライバーの努力次第で伸びる部分がたくさんある」という事を再確認できた感動的なレースでもありました。
(4号車について)
決勝前夜に行われた生放送で「4号車の目標は8位入賞」という話が出ていましたが、これはかなり実現可能なラインでした。ラップタイム自体はよかったので、途中のアクシデントなどは非常に残念です。しかし、これで4号車もスタートラインに立てました。今度はいい位置からスタートし、いいペースで走って、トラブルがなければ、みんなに勇気を与えられる瞬間が来ると思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。
■谷口信輝選手
雨が降ったり止んだり…と、かなりの泥試合でしたが、チームの総合力で勝てたレースでした。最高の気分です。他車との接触というアクシデントもありましたが、最後の恵みの雨で逆転できました。いろいろとありましたが、「運がよかった」と思います。周りは速い車ばかりで、速さでは全くかないません。第2戦も表彰台を狙える状況ではありませんでした。ただただ、僕たちはあの条件の中でできる仕事をしっかりやっただけ。チームの総合力の勝利です。
最高の結果でした。
■片岡龍也選手
まずは勝ててよかったです。
ポルシェなど、まわりはストレートが速い車ばかり…。苦しい戦いになるとは思っていましたが、500kmという長丁場のレースではドライバーやチームの総合力で戦えば、表彰台には届くと考えていました。チームも燃料の計算など攻めてくれて、見事な作戦、ピット作業、ドライバー交代など、パーフェクトだったと思います。最後に他マシンとの接触という予想外のパフニングに心が折れかけましたが、恵みの雨と谷口選手の猛プッシュと、最後は運が味方してくれたこともあり、優勝することができました。このような荒れたコンディションのレースを制すことができたのは、まさにチームの総合力。前回の岡山に続いて、僕たちの総合力が出せたのではないかと思います。今後に自信が持てる内容だったと思います。
■番場琢選手
予選前のクラッシュは本当に申し訳ありませんでした。昨日、佐々木選手と「どうにかこの悪い流れを断ち切ろう」とミーティングを重ねて決勝に臨みました。なんとか悪い流れは断ち切れたのではないかと思いますが、8号車にぶつけられたり、目標のポイントゲットができなかったり、全ては前日のクラッシュによって予選を走る事ができず最後尾スタートという結果が起因しています。決勝はドライでのレースと予想されていましたが、スタート直前の雨により予想外のウェットスタートとなりました。ドライタイヤのままコースに残ることを選択しましたが、前日のクラッシュが何度も頭をよぎりました。(コースコンディションが)ドライになるまでは我慢、ドライになって来たらそこで追い上げて…という戦略だったのですが、そこで8号車と接触…。接触時にリアのトランクが歪んでしまい、タイヤ交換時にエアジャッキが全く入らず、ピット作業時のタイムロスにもつながってしまいました。これは、接触時にその位置を走っていた僕に責任があります。しかし、前戦の岡山では全然見えなかったものが、ようやくここで見え、ようやくスタートラインに立てたと思います。23番グリッドスタートで11位ゴールと、12台抜く事ができましたが、僕たちが目指しているのはこの位置ではありません。レースの中で自分なりに課題も見つける事ができたので、次回が楽しみです。次回も全力でがんばります。応援よろしくお願いします。
■佐々木雅弘選手
前日までかなり厳しい状況でした。
朝のフリー走行で3周走り、ウェットタイヤの感覚はだいぶ掴めていましたがFSWではドライタイヤでの走行が初めてだったので、クルマやタイヤの使い方が見つけられず、タイヤのパフォーマンスを落としてしまいました。しかし、その状態から乗り方が見えてきました。いい状態であればもう少しいい状態で走れたかと思います。次戦からは、走りはじめからいいタイムが出せると思います。期待してください。