更新日: 2018.02.16 02:15
GT-Rが1、3位獲得。「チャンスを待った」とクルム
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
NISSAN GT-Rが、GT1アルガルブ優勝と3位を獲得
— FIA GT1世界選手権第3戦(ポルトガル・アルガルブ)レースレポート —
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5月8日(日) アルガルブ・サーキット (ポルトガル)
FIA GT1世界選手権第3戦は5月8日、ポルトガルのアルガルブ・サーキットで決勝となるチャンピオンシップレースが行われた。前日の予選レースではGT-R勢でポディウム独占をという快挙を達成したNISSAN勢は、この日のチャンピオンシップレースでも圧倒的な強さを誇り、ルーカス・ルアー/ミハエル・クルムのドイツ人コンビによる#23 JRM Racingが優勝、ジェイミー・キャンベル・ウォルター(英国)/デイビッド・ブラバム(オーストラリア)組の#21 Sumo Power GTも3位に入った。
NISSAN GT-R勢の上位3台は、このレースをポールポジション、2番手、3番手グリッドからスタート。グリッドのフロントを同一メーカーが占めることも、GT1が世界選手権化して初めてのことだった。そして、リチャード・ウェストブルック(英国)の#22 JRM Racingは最初のコーナーを制して、スタートからのトップポジションを守り切った。
経験豊富なウェストブルックはフレッシュタイヤの利を活かし、25分が経過するまでに2位に続く#23 JRM Racing に8.5秒の大差を築いた。一方でキャンベル・ウォルターはタイヤ圧が高すぎるトラブルに見舞われ、グリップとハンドリングに影響を受けていたが、3位奪取を狙う#8アストンマーチンからの執拗なプッシュを巧みにブロックしていた。さらに後方では、前戦のゾルダーでのレースによるグリッドペナルティで5つポジションを下げて13番手からスタートした#20 Sumo Power GTのエンリケ・ベルノルディ(ブラジル)が、猛烈な追い上げを見せてピットタイムまでに8位にまで浮上していた。
全てチームがドライバーおよびタイヤ交換を終了した時点で、#22と#23の JRM Racingはそれぞれトップ、2位を維持。Sumo Power GTの2台はポジションをひとつ落とし、4位(#21)、9位(#20)でコースに復帰した。おそらく、今回最大の見せ場となったのは、ドイツ人コンビのピットストップ。JRM Racingのチームメイトに比べ数秒早くピット作業を終えて、#23はわずか1秒ほどの差で#22の後ろでのコース復帰を果たした。
ミハエル・クルムに交代した#23が、#22のピーター・ダンブレックをかわすのは、まもなくのことだった。外見からは感じることはなかったが、ダンブレック車はトランスミッション周りと思われるトラブルを抱えていた。そしてその直後にブローを起こし、27周でリタイアとなってしまった。
これで残念ながら残るNISSAN勢は3台となったが、ダンブレックのリタイアによりブラバムの#21 Sumo Power GTが3位に浮上。リカルド・ゾンタ(ブラジル)の#20 Sumo Power GTは8位に上がった。ブラバムとゾンタは先行車のパスを目指して全力を尽くしたが、レースはこのままフィニッシュ。しかし、その後、他車に30秒のペナルティが科されたことで、#20は7位に繰り上がった。
レース終了後、ルーカス・ルアーは「もちろん、とてもうれしいです。最初のコーナーを無事にクリアしようと少し緊張していましたが、今日はとてもうまく行きました。スタートをうまく決めて、リカルド(・ゾンタ)とサイド・バイ・サイドのバトルになりましたが、最初のコーナーで競り負けたので後ろにつきました。彼は、一周半ほどはフレッシュタイヤが温まるまでに少し苦戦していたようでしたが、その後は差を広げられました。その後私は、後続との間にギャップを築きながら、リカルドとの差を広げないように努めました」と語った。
「メカニックたちが素晴らしいピット作業を行ってくれたので、ミハエル(・クルム)は、ピーター(・ダンブレック)のわずか1.5秒遅れにつけることができました。チームメイト車は最終的にトラブルに見舞われましたが、これもレースです。時にラッキーなことがあれば、アンラッキーなこともあります。昨日の1-2-3フィニッシュと共に、NISSANにとって本当に素晴らしい週末になりました」
ルアーと共に#23 JRM Racing GT-Rを駆るミハエル・クルムは「今日は昨日よりもかなり暑かったので、スティントが終わるまでタイヤを維持することは誰にとっても難しいことでした。私はピーター(・ダンブレック)のそばにつけていましたが、フィニッシュまで続く長いバトルになるだろうと思っていました。僕は少し肩の力を抜き、冷静に、タイヤが減って首位に立つチャンスが来る最後の10分まで待とうと考えました」と語った。
「すると前兆もなく、彼が突然スローダウンし始めたので、彼のマシンに突っ込みそうになりました。もちろん、チームメイトとバトルしてお互いにクラッシュするようなことにならずに済んだことには安堵しましたが、彼らは昨日のレースで勝っていますし私たちと同じくらい優勝に値するだけのいい走りをしていたので、リタイアは残念です」
ジェイミー・キャンベル・ウォルターは「ここ数戦はうまく行っていなかったので、最初のコーナーを完璧にクリアできたことはよかったですね。残念ながら序盤はタイヤ圧が高すぎて、8号車のアストンマーチンがハードにプッシュしてきました。圧もどんどん高くなっていったので、できる限りスムースにマシンが動き過ぎないようにドライブするには苦労しました。幸い、ピットストップまでポジションを維持することができました。そして後半はデイビッド(・ブラバム)が素晴らしい走りを見せてくれました。ゾルダー戦があの結果に終わっていたので、Sumo Power GTにとって素晴らしいリザルトとなりました」と語った。