ル・マン/WECニュース

投稿日: 2012.01.28 00:00
更新日: 2018.02.16 07:00

トヨタTS030、初回フルテストで2000kmを走破


TOYOTA TS030 HYBRID
3日間にわたる初回フル走行テストで2,000kmを走破

2012年1月27日(金) フランス・ポール・リカール発

 TOYOTA Racingは、FIA世界耐久選手権(WEC)にLMP1クラスで参戦する“TOYOTA TS030 HYBRID"にとって初となるフルテストを成功裡に終了した。

 第1回目のテストは、1月24日(火)のWEC参戦発表に続き、25日(水)から27日(金)の3日間、ポール・リカール・サーキット(南フランス・マルセイユ近郊、1周5.791km)で行われたもので、今月初旬に同サーキットで今回のテストに先駆け、システム機能の確認を目的に3日間行ったロールアウトに続く本格的なテストの開始である。

 24日(火)の参戦発表会ではミストラル(地中海特有の季節風)が吹いたものの、テスト初日の25日(水)は穏やかな快晴。その後、週末にかけて天気は下り坂であったが、TOYOTA RacingとTOYOTA TS030 HYBRIDは順調にテストプログラムを消化し、データ収集と共に確かな手ごたえを得た。

 ドライバーは、アレックス・ブルツ、中嶋一貴、ニコラス・ラピエールの3人が、THS-R(TOYOTA HYBRID System-Racing)のパワートレインを持つTOYOTA TS030 HYBRIDのテストを担当。先のロールアウトで、システムチェックや基本的なセッティング解析は終わっているため、これを踏まえたテストプログラムが組まれた。

 今回のテストでは、特にロングスティント(長時間走行)でのTHS-Rを含めた駆動系の確認を含め、空力やメカニカルセットアップの最適化に向けた第一段階として、多くのテストメニューをこなした。さらに、ミシュランタイヤの初評価も行った。

 これらのテストを順調にこなしたTOYOTA TS030 HYBRIDは3日間の合計で2,000km余りを走破し、満足のいくパフォーマンスと信頼性を見せた。なお、次回のテストは、2月中旬に予定されている。

木下美明 チーム代表:
今回のテスト結果には満足している。テストは順調に進み、我々の耐久レース復帰初年度に向けての準備に役立つ非常にたくさんのデータが得られた。ハイブリッドという革新的な技術をモータースポーツに持ち込む際には、もちろん多くのチャレンジが必要であるが、チームの取り組みとその結果に大いに勇気付けられ、感銘を受けている。

パスカル・バセロン テクニカルディレクター:
総走行距離という点では、ほんの少し予定に届かなかったが、ポール・リカールでの時間を非常に有効に活用できた。現段階では、我々のパートナーであるミシュランと共に、TOYOTA TS030 HYBRIDに必要とされるタイヤ開発の方向性をまず見極めることが重要であり、今回のテストでは他の性能開発と並行で進められた。また、パッケージ性能の限界をドライバーが見極めようとするにつれ、ペースはどんどん上がっている。彼らの指摘に基づいて、開発のピッチは明らかに加速しており、我々のサーキットオペレーションも大いに捗っている。TOYOTA Racingの開発陣にとっては、とてもエキサイティングなものとなった。

アレックス・ブルツ:
言うまでもないが、再びこのTOYOTA TS030 HYBRIDををドライブすることができて嬉しい。我々は継続的に評価、改良を行っており、この3日間の結果に満足している。チームの頑張りで、ロールアウトの時点から大きく進歩している。今回のテストでは、私はセットアップと操安性、トラクションコントロールを受け持った。タイヤ評価については始めたばかりだ。もちろん私はTOYOTA TS030 HYBRIDを運転できるチャンスを楽しんでいるし、テストをこなせばこなすほど、改良は進んでいく。それは間違いない。しかし、私は完璧主義者なので、細部に至るまで完璧を期するべく、ハードワークをこなしていく覚悟だ。

ニコラス・ラピエール:
テストは上手く行った。私はロングスティントランを受け持ち、多くの周回を重ねられたたことで、TOYOTA TS030 HYBRIDにより馴染むことができ、満足している。私がドライブする時は安定した好天が続いたので、セッティングの変更に対してTOYOTA TS030 HYBRIDがどう反応するかを理解できた。ミシュランタイヤも、第一印象は良く、総じて、周回を重ねるごとに良い感触を得ている。また、ハイブリッドシステムの最適化についても、正しい方向に進化している。我々全員が、TOYOTA TS030 HYBRIDについて理解を深めるごとに、改良に向けてやるべきこともわかって来ている。

中嶋 一貴:
TMGのシミュレーターでバーチャルな走行体験は何度かこなして来たが、ついに実車のTOYOTA TS030 HYBRIDをテストすることができ、非常にエキサイティングだった。クルマは大変ポテンシャルが高く、開発の初期段階にもかかわらずドライバーに自信を持たせてくれたという点が印象的だ。ハイブリッドシステムは非常に興味深い。それはとても自然で、使用時には明確な駆動アシストを感じさせる。我々はテストプログラムの満足いくスタートを切ったが、まだやるべきことはたくさんある。これから回を重ねて行くことになるだろうテストが今から楽しみだ。


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