“あえての”コースオフ。勝田貴元がチリ大会のスキップから身に着けた冷静さ/WRC第12戦
しかし、最終日3本目のSS17、オジエがクラッシュを喫したことで勝田を取り巻く状況は一変。土曜日を暫定首位で終えていたオジエが確保していた18ポイントが消滅してしまい、勝田は日曜日の最大獲得ポイントをチームに持ち帰るミッションが課せられた。
「最終日に向けては、チームから『プッシュしていいよ』という話がありながらも、上位勢の動きを見ながら攻めていました」
「ただ、セブ(セバスチャン・オジエ)がクラッシュしてしまったことでチームが危機的状況になってしまったので、フルアタックでポイントをできる限り稼ぐ作戦に切り替えなければなりませんでした」
それでも、ギヤを上げる要請にたくましく応えた勝田は、同じく3台目出走として最速を狙ってきたヒョンデのアンドレアス・ミケルセンを破るステージウインを飾り、日曜の最大ポイントをチームに持ち帰った。
「最後は、良いクルマのパフォーマンスを発揮して走ることができて、スーパーサンデーとパワーステージでともにトップタイムで終われました。自分のフィーリングとしても、すごく気持ちよく走れましたね」
「まさかの展開にはなってしまいましたが、チームの一員として最低限の仕事ができたと思います。そして、ラリージャパンに向けての準備ができた良いラリーだったかなとも思えています」
チームのヤリ-マティ・ラトバラ代表も、「必要な時には慎重に走って自信をつけ、日曜日はごく自然にパフォーマンスを発揮してくれた」と、安定した今回の走りを評価している。
そして残るラリーは、ホームラウンドとなるラリージャパン。多くのファンからも声援が集まるこの大一番に向けて、力強く意気込んだ。
「マニュファクチャラータイトルを争っているなかで、かなり不利ではあるにしろもう僕たちは勝つしかない状況です。トヨタ対ヒョンデが、どういった戦いをしていくのかをすごく注目してほしいですね」
「そして僕個人の目標としては、日本人が日本のホームラリーで優勝すること。それが多くのファンもチームも含めて、みんなが願っている大きな目標でもあるので、自分のポテンシャルを発揮した上で、最後に結果を持ち帰れるように頑張ります」
昨年のラリージャパンでは、フルデイ初日でのタイムロス後に怒涛の追い上げを見せ、総合5位入賞を果たした勝田。今季は、ホームラリーでのベストリザルトを更新する走りで、マニュファクチャラー選手権争いの支えとなる活躍を見せることができるだろうか。